見出し画像

しと

雨がしとしと降っている。
街は雨のカーテンの内側で静か。
僕の意識は川底の石。
揺れていて、遠い。

僕は雨を歓迎する。
雨の静けさを肺に入れ、吐き出すのは軽い罪。
その生温かさはあっけなく雨の冷気に奪われて消える。

手脚がしとしと濡れていく。
僕も街もどんどん鈍る。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?