見出し画像

麗しき美の煌めき──皇居三の丸尚蔵館収蔵品展


11月5日日曜日に石川県金沢市の石川県立図書館と国立工芸館で開催されている皇居三の丸尚蔵館収蔵品展にいってきました。

皇居三の丸尚蔵館収蔵品展

皇居三の丸尚蔵館とは

そもそも"皇居三の丸尚蔵館"とはどんな施設か知っていますか?

"皇居"と名前がありますが独立行政法人国立文化財機構が所管する国立の博物館です。
ざっくり言うと、代々皇室に伝わってきた宝物のうち、昭和天皇の死後に国に寄贈され国庫に帰属した美術品を保管、研究、公開するための施設です。
令和5年10月1日付で管轄が宮内庁から国立文化財機構に移管されました。
尚蔵館自体は東京にあり、現在開館記念展が開催されています。

皇室と石川

加賀藩三代藩主、前田利常の四女富姫(ふうひめ)が後水尾天皇の猶子八条宮智忠親王に輿入れされたことをきっかけに利常と後水尾天皇の関わりは強まっていきます。
利常の正室と後水尾天皇の中宮が姉妹であり、利常と天皇は義兄弟の関係にもありました。  

後水尾天皇は日本史選択ならおなじみ紫衣事件の時の天皇。幕府が禁中並公家所法度などで朝廷の権威への圧力を強める中、後水尾天皇は譲位します。
展示の最初に、

後水尾天皇(院)は、武家が到底実現できない高度に雅な文化を展開し、幕府への怨嗟の念を昇華しました。

(図録より)

とあり、文化振興に力を入れていた加賀藩とのつながりを感じました。
この文言を見たときちょっとドキッとしました。そこまではっきりいっちゃうんだ…
後水尾天皇が利常に贈った美術品からも”幕府ちょ~うざい”感が隠しきれてなくておもしろかったです。ほんとに嫌いだったんだな

では心とメモに残っていた展示品をざっとご紹介。

刀 無銘正宗(名物 太郎作正宗)

刀剣は3振り出陳されていて、それぞれ打刀、短刀、剣で見比べるのも楽しかったです。
太郎作正宗は音声ガイドで”正宗の中でも特に優れた”と紹介されていました。
離れたところから全体を見るとすっと筋がまっすぐ通って上品な印象でしたが近くで見ると肌がキラキラと光っていて派手だな!?ってなりました。国宝の重み?みたいなどっしり構えたきらめきが美しかった。

短刀 銘正宗(京極正宗)

京極正宗パネルの刀身写真

不思議な形してるー!ほっそりとしているのに高貴な雰囲気が漂います。
刃区(はまち・刀身のなかで刃のつく部分が茎に向かってくぼんでいるところ)がほとんどないのでもともとはもっと身幅が広かった説があるそう。でも秘蔵の品として大切に保管していた京極家で使われていたとも考え難くて、いったいどこでどんな風につかわれていたんだろう…想像が膨らみます。台所で大根のかつらむきとかしてたのかな
取っていたメモに”マット加工した螺鈿細工みたいな肌”と書いてあったんですが本当にきれいな肌でした。太郎作正宗よりは控え目なキラキラ。太郎作正宗が星雲なら京極正宗は流星群のような印象(伝われ)

群獣図屏風 丸山応挙

鹿、トラ、リス、馬…と動物たちがたくさん柔らかなタッチで描かれていましたが一番驚いたのは首輪をつけた飼い犬が描かれていたこと。平然とトラの隣で座ってる飼い犬、メンタルが強いなって。たくさん甘やかされて育てられてきたのかな…かわいいね…

動植綵絵 伊藤若冲

チラシやポスターのトップを飾る動植綵絵

私はこれが見たくて石川県まで来たんだ!!!

今回のメイン展示といっても過言ではない国宝、動植綵絵。
まず目に飛び込んでくるのは鮮やかな赤で、昨日描かれたと言われても信じられるくらいに彩度が高くて綺麗でした。
鶏の毛の一本一本まで今にも風に吹かれて靡きそうな躍動感があって、絵が上手い以外の感想が出てこない自分の語彙が恨めしく感じるほど絵が上手いです。これはぜひ実際に見て欲しい迫力。
若冲は京都の青物問屋に生まれ、生活に苦労する必要がなかったため高級な画材をふんだんに使っていたそう。納得の色あいと風格。

鶴桐文様蒔絵飾り棚

こちらは国立工芸館の方に展示されていました。蒔絵、螺鈿の精巧さや模様の美しさ、棚全体の構え姿がとっても優美で展示室に入った途端目を奪われました。飾り棚に実際に飾られていた装飾品も展示してあって、人に使われていた在りし日の姿が目に浮かぶようでした。ため息が出るくらい素敵だった…

ここからは隣接の石川県立歴史博物館と加賀本多博物館の展示についてです。

石川県立歴史博物館

石川県立歴史博物館

赤煉瓦のレトロな建物の中にあります。
その名の通り石川県の歴史を石器時代から学べます。タッチパネルのクイズや実寸大の古墳の石室に入れたりしてとっても楽しかったです。

ここで家族が脱落し私1人で展示を回ることになりました。妹曰く頭と足がパンパンでもう無理、だそう。確かに2館展示ということもあり普段の博物館よりたくさん歩いた気もします。

秋季特別展「御殿の美」

"御殿の美"と言うことで京都の二条城本丸御殿、名古屋城二の丸御殿、そして金沢城二の丸御殿の設計図や調度品、屏風、襖に釘隠しなど御殿の全てが詰まった展示でした。
日本の建造物にはつきものの火災を乗り越えて現在まで伝わるのはたくさんの人の努力あってのことなのだとあらためて実感しました。

余談ですが私の好きな武将、結城秀康公の書状もあって思わぬ方向から心臓を貫かれました。

音声ガイドは借りるつもりはなかったのですが、ガイドの声優さんが寺島拓篤さんだったので思わず借りてしまいました。勧めてくださった係のお姉さんありがとう…何を隠そう、私は昔寺島さんが声を担当されていたキャラクターが大好きだったので幸せな30分弱の解説時間でした。

サインパネルは撮影、SNS投稿可


加賀本多博物館

加賀本多博物館

加賀本多家は徳川家康の重臣、本多正信の二男政重が初代。(正信いま大河ドラマですごくいい役回りしてるのでみてください、正信役の松山ケンイチさんの芝居がかったお芝居が癖になります。)
「八家」と呼ばれた加賀藩の年寄役を勤める家です。一大名の家臣としては異例の五万石という家禄を受けていました(当時の大名の3分の2が家禄五万石以下の時代に、です)。
本多家初代政重は奉公先を転々としていたようで、正信の二男でありながら関ケ原では宇喜多秀家の家臣として西軍に与し、その後直江兼続の養子となります。その後加賀前田家に仕えるのですが、お、おもしれー男…………

火事具足

ピカピカ派手でかっこいい衣裳!火事と喧嘩は江戸の華といいますが加賀でも火事は避けられない木造建築のさだめ…
当主用はもちろんのこと夫人用まであり、火事に対する気合いの入れようが垣間見えました。

もうどうしたらいいか分からなくなったので鑑賞メモをそのままご覧ください。

鑑賞メモ

伝わりますか、この混乱っぷりが。
お察しの通り最後の兼若の刀に情緒をめちゃくちゃにされています。展示ケースにずらっと4振り並んでいたのですが本当に私好みすぎて兼若の前に10分くらいいました。

幸い展示室に私しかいなかった(博物館自体半分貸し切りくらいに空いていた)のでガラスケースギリギリまで近寄り、三歩離れて眺め、メモとスケッチを取り、を繰り返していました。最高。派手で強くてキラキラな刀が好きです。ただ興奮しすぎて文字のメモがほぼ主観の感想文なんですよね、もうちょっと正気を保てるようにしたいです。

こんのすけ

こんちゃん可愛いゾーンです、お付き合いください。


朝、開館前に並んでたら出てきてくれました。可愛いー!!

お髭ついてる!!可愛いー!!ひゃくまんさんとおそろいだ💕💕

おしりまで可愛いー!!!!
全方位敵無しに可愛いおっきいこんのすけに会えてよかったです。ツーショまで撮ってもらった🫶

京極正宗パネル

高解像度の推しは健康に良い。

おしまい

根性で常設展まで全て見た最高弾丸金沢旅でした!
皇居三の丸尚蔵館収蔵品展自体は11月26日まで開催されているのでぜひ。後期展示では京極正宗の展示はありませんが王羲之の書がでます。できることなら行きたかった。

またいつかお会いしましょう。では。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?