2022年2月18日基本的対処方針分科会での発言

2022年2月18日の基本的対処方針分科会での私の発言です。

大竹です。私は基本的対処方針の政府提案に反対します。適用解除については賛成しますが、一部地域の期間延長については反対します。5点申し上げます。

第一は、「肺炎の発生頻度が季節性インフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められること」というまん延防止等重点措置の実施する要件を満たしているか疑問だからです。オミクロン株の感染拡大から一ヶ月以上経過していますので、肺炎の発生頻度についてのデータが出ていると思います。そのデータをもとにして季節性インフルエンザの肺炎発生頻度と比べる必要があります。新型コロナと季節性インフルエンザの症状に関する一般的な比較ではなく、オミクロン株の肺炎の発生頻度についての比較が必要です。営業時間規制という私権制限の条件として明記されていますから、この比較は必要です。もし肺炎の発生頻度が相当程度高いとは言えないのであれば、法律の改正か解釈を変更する正式な手続きが必要ではないでしょうか。

第二は、第6波においてクラスターの発生数が少ない飲食店への営業時間規制は、オミクロン株対策として効果的なのか疑問です。飲食店の利用者を減らしてクラスターの発生を抑えるための協力金というよりも、飲食店利用者が減ったことに対する補助金政策になっているのが実態ではないでしょうか。実際、まんえん防止等重点措置を出していない自治体で、飲食店から蔓延防止重点措置への要請が出ているという報道があります。顧客の減少で売上が減少していることへの対策は必要かもしれませんが、もともと密集が発生していない場合にはまんえん防止等重点措置の政策効果はありません。この制度が再分配政策として使われているのなら、飲食店以外でも感染リスクを考慮して需要が減った飲食店以外の業種との不公平な補助金になると思います。効果的ではない上に不公平な財政支出ではないでしょうか。税金をもとにした予算の使い方として問題があります。

第三は、保健所の濃厚接触者の把握、観察については、緩和されましたが、オミクロン株では発症までの日数が短いことから、そもそも濃厚接触者の追跡にあまり意味がないとされています。オミクロン株ではほとんど意味がない濃厚接触者の活動を制限することをやめるべきだと思います。また、無症状者、軽症者が大多数を占める中、検査陽性者数の全数把握を続けることに意味があるのか疑問です。

第四に、医療提供体制として、感染者数が多く、軽症者がほとんどであるという特徴をもつオミクロン株では、重症化リスクが高い人だけをどの診療機関でも早期に検査・診療する仕組みに変えることが医療提供体制の逼迫を解消する手段として望ましいはずです。治療薬も増えてきて、ワクチン接種が進んだ状態にあるのに、限られた病院でしか感染者の治療を行わないという方針の維持にどのような合理性があるのか疑問です。ただし、高齢者施設での医療提供を充実するための対策が盛り込まれたことには賛成します。

第五に、水際対策の緩和が明記されていてその方向性については賛成しますが、もう少しスピードアップする必要があると思います。国内で既に感染が広がっている状況では厳しい水際対策を続けることは、合理性がなく弊害の大きい政策だと思います。

(追記)私が基本的対処方針分科会で政府提案に明確に反対意見を述べたのは2月18日が最初ではありません。1月25日、2月3日、2月10日の会議でも明確に反対意見を述べております。


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