foghorn

北の国の小さな街で、人並みだったり、時にはたぶん人並みじゃなかったりした少年時代を過ご…

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北の国の小さな街で、人並みだったり、時にはたぶん人並みじゃなかったりした少年時代を過ごした男です。 大人になってからは、広告代理店に勤めています。企業の広告コミュニケーションのお手伝いをしています。

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  • 連作短編【fragments】

    ほとんど自伝のような、少しはそうでもないような物語を、時系列はその時々で行ったりきたりしながら、連載していきます。

最近の記事

unfortunately

血液型占い、動物占い、手相占い、星占い、おみくじ…… 物心ついた頃から、とにかくそういったものが好きではなかった。 子どもの頃に観て感動した映画の影響で、未来は他人に導かれて進むものではなく、自分で切り拓いていくものだと信じていたからだ。 一方で、自分の過去には関心があった。正確には、自身が生まれる以前を含む過去のどんな人達の人生が自分につながっていて、いまこの場所にいるのか、いわゆるルーツに対する強い興味があった。それは自分の未来へのヒントになるのでは、という期待があった

    • nobody

      教員免許を取得するための実習で故郷に戻ったのは、数年ぶりだった。 何せ広い土地以外と農産物以外にはほとんど自慢できるようなものがない街なので、僕は暇さえ見つけては母の車を借りて、これまた何も特筆すべきところがない隣街まで、何の用事もないままいつも出かけていた。 ある日その隣街のガソリンスタンドへ入ろうとした時、僕は思わず声が出そうになるほど動揺してしまった。「オーライ、オーライ」と丁寧に僕を導くスタンドの店員が、僕にとってはどうしても忘れられない存在だったからだ。 人間は

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