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イトーキのアクトチェアをもっと知ってほしいので。

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我が家にアクトチェアがやってきた。このチェアは大手オフィス家具メーカーのイトーキ製にもかかわらず、なぜかネット上にレビュー記事があまり見当たらない。しかも試座しようにも都市部のショールームくらいしか展示がなく、コロナ禍の2021年においてはそうやすやすとチェアのために遠征はできない。そんな状況で10万円という投資額に見合う買い物なのか悩んだ末、いちかばちかというよりも、悩むのに飽きてもう勢いで購入したのだ。

そんな自身の体験から、アクトチェアの購入を迷う方の参考になればと、このチェアのお気に入りポイント、イマイチなところ、その他もろもろを紹介したいと思う。

○:4Dアームがぐいんぐいん動く

最も気に入っているのはアームが上下、左右、前後、内向き外向きと自由に動かせる点。姿勢に合わせベストポジションに肘を置けるのがとてもいい。

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私はチェアの上であぐらをかく癖がある(マナーの悪さは目をつぶってほしい)。以前使っていたチェアは固定式のアームが前方に出っ張っており、あぐらをかいたときに膝に当たるという難点があった。チェア買い替えにあたり、膝に接触しない位置に動かせるアームはマスト条件だった。

PC作業のときはキーボードが打ちやすい前方に、くつろぐときにはスマホを操作しやすいよう体のそばの高い位置へとアームを動かす。操作レバーはアーム前方についており、アームに肘を預けたまま指先でスイっと操作できる。求めてたのはこれだよこれ!

○:上半身を動かしやすい

イトーキクラスの大手メーカーのオフィスチェアなら当たり前の機能だが、アクトチェアは後ろにもたれたときの倒れ具合の固さを調節できるようになっている。以前使っていた格安チェアはリクライニングの強度調節機能がなく、ちょっと寄りかかろうもんならバタンと全力で倒れるタイプだった。リクライニングに惹かれて買ったはずなのに、リクライニングすると疲れるように感じることがあり、いつの間にか角度を固定した状態でしか使わなくなっていた。

この1年テレワークと出社を織り交ぜたスタイルで働いていて、なぜ会社のチェアだと疲れないのだろうと不思議に思うことが何度もあった。そんなある日、会社でPC作業が一段落し、後ろにぐぐっと上体を反らしたときに気づいた。会社のチェアは体重の預け具合に合わせてロッキングの深さが変わる。だから上体を緊張させることなく反らせるのだ。ちなみに会社のチェアはイトーキのプレーゴチェアである。

また、アクトチェアは背中を1本の支柱で支える構造のため、肩の動きにフィットして背中がゆらゆら揺らめくようになっている。座りながらも上体を動かしやすいというのは上半身の凝り固まった首こり肩こり重症者にはとてもありがたい。

○:最短655mmの間口を通過できる

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実は購入の最たる決め手は寸法だった。当初購入を検討していたのはオカムラのシルフィーで、肘部の幅は648mm、脚部の幅は696mmであった。対して我が家の最も狭い間口は655mm。回転式5本脚だから脚部を回せばギリギリ通るかもしれないが、ネットで調べても41mmの差を通過したレビューが見つからない。間口のところで脚部を回転させるとしても、チェアの上部を壁に寄せられる余裕がなければ通せないのではないか。そう思うと購入する勇気が湧かない。相談次第では部屋に入れてからの組立もできるようだが、将来引っ越して部屋から運び出す可能性を考え、シルフィーを断念した。

このため間口を通過しそうなサイズのチェアを探し直したところ、イトーキのアクトチェアが候補に上がった。脚部は680mmでオーバーしているが、間口と脚部に約30mmの差があるチェアの搬入事例のレビューが見つかった。また、チェアの上部がスリムなため間口で端に寄せて脚部を回転させやすく、通過可能と推測できたのが購入の後押しとなった。

実際に搬入してみたところ、脚部を回すことなくスムーズに通過したのでとてもホッとした。これで今後引っ越すときも安心。

☓:座面の奥行きが短い

逆にイマイチだったなという点も紹介したい。先に書いたとおり私はチェア上であぐらをかく悪癖がある。そのため座面に足を置くスペースがほしいのだが、割とカッツカツだ。アクトチェアは座面を前方に伸ばせるが、伸ばした状態でもカッツカツ。普通に座って膝裏にこぶし一つ入るくらいなのでもう少し長さがあったら嬉しい。なお、アクトチェアのデザイナーの方が「在宅勤務者向けにあぐらをかくことを想定したチェアを検討してもいいかも」といった発言をされている記事を読んだ。イトーキさん期待しています。

座面といえば、アクトチェアはお尻を包み込むバケットシートもウリの一つのようだ。私の大きなお尻でもフィットするか心配したが、問題なく収まった。カタログなどではお尻部分がR強めに丸まってるように見えるが、座ると見た目ほど丸みを帯びているように感じない。何度かテレワークで座りっぱなしを経験したが、腰痛は起きなかった。

座り心地はシルフィーに比べれば固め。シルフィーは柔らかすぎて底づき感を感じる人もいるので、どちらがいいかは一概に言えないが、座り心地を気にするならやはりショールーム等で試座するしかないと思う。

☓:ヘッドレストが合わない

大きな誤算だったのがヘッドレスト。仕事中に頭が支えられて楽になると期待していたが、なんだか首が疲れる。身長160cmの私の場合、後頭部はヘッドレストの盛り上がった位置に接触する。また、ヘッドレストは反発力が強く、前傾にならざるを得ない。これがストレートネックで首コリのひどい私には合わなかった。もう少し身長が高ければ接触位置が首付近になりちょうど良かったのかもしれない。私にはどうしても合わなかったので六角レンチで外してしまった。

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☓:リクライニングがもの足りない

我が家は狭いためデスクスペースを確保できず、元々愛用していた円形のダイニングテーブルとアクトチェアを組み合わせて使っている。このためテレワークだけでなく、食事や映画視聴など日常生活でもアクトチェアで過ごすことが多い。そんなときに、もう少し後ろにリクライニングが倒れたらいいのにと思う。リラックスして長時間座るにはやや物足りない角度なのだ。ただ、本来の用途はオフィスチェアなので、デスクワークメインの人には十分なのかも。

その他:ピボット部の経年劣化の可能性は低そう

ここからはメリット・デメリット以外のことを紹介したい。アクトチェアの動きやすさのポイントは背中の支柱のピボット部分。

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購入前はネットで小さな画像を見ることしかできなかったため、ピボット部分は石油タンク用ポンプの握る部分のような、柔らかくて折り目で伸縮するようなプラ素材を想像していた。

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そのため経年劣化しやすいのではないかと危惧していたが、実物はゴムのような素材であった。トリセツの品質表示を見ても材質が何かは読み取れないが、数年で劣化して破損しそうな感じではないので一安心。

その他:寒冷地なので樹脂脚

私が樹脂脚を選んだ理由は、足が触れたときにヒヤッとしたくないからだ。温暖な気候の地域に住む人は気にしないかもしれないが、こちらは雪国。真冬のテレワーク中に足が冷えるのは絶対に嫌なので樹脂脚一択だった。

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上の画像は脚の裏側。樹脂脚といえど強度を保つ構造になっているので安心(体重預けるチェアなんだからそりゃそうか)。アルミミラーの美しさにこだわりが無ければ樹脂でもいいと思う。1万円くらい安いし、チェアのデザイン自体がカジュアル路線なので樹脂の方が統一感を感じる。

結論:4DアームもっとPRして

使ってみてイマイチだと感じる点も正直あったものの、アームがぬるっと動いて自分の好きな位置にピタッととめられる心地よさが上回っており、状況に応じて楽な体勢がとれるのがとても気に入っている。やはりこのチェアの最たる魅力は4Dアームだと思う。

アクトチェアを買う前は「そんなにアーム動かすことあるかな?」と、この機能の有効性に半信半疑だった。しかし実際毎日10回以上はアームを上げ下げしたりスライドさせているので、作業内容に応じて腕の位置を変えることで肉体的な負荷軽減を無意識に行っているんだと思う。このチェアに座るまで考えたことなかったけれど、人の腕って重くて、ちょっとした動きや位置で背中や肩に負担がぐっとかかっているんだと実感した。

これほどアーム位置の自由度が高いチェアは少ないので、イトーキはもっとこの点をPRして差別化して売り出したらいいのになと思う。高級チェアを求める人にとって価格は最優先事項ではなく、ちょっと高くても自分に合ったいいチェアを買いたいはずだ。チェアは座り心地で選びがちだけど、正直座り心地に大きな差って感じにくくて、試座できた商品の中からしっくりくるものをなんとなく選んでしまう。そうなると家具屋などに置かれているシェアの高いメーカーのチェアが有利になる。実際私も当初はシルフィーを購入するつもりであった。4Dアームみたいに他のメーカーがまだ注力していない良い機能を実感してもらえるよう、試座できる場面を増やしてください、イトーキさん。

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