あなたのことを傷つけても傷つけても
湧き出す組織液は体を治しホルモンは心を癒す。
あなたにずっと残る傷なんてない。
残る傷はあなたが残したいだけよ。あなたはとっても元気でしょ。
記憶の中に埋もれないよう何度だって思い出しては傷つけて、生きる意味感じるためのリストカット、斜線刻んで。
あなたは私のことを忘れていく。忘れてほしい。記憶の紙屑の中、そこの方に消えてしまえばいい。文字も見えなくなって存在も忘れてほしい。

あなたが忘れないように刻むタトゥーは文学になりあなたが忘れてもほかの人が覚えていられるようにしている。泥水を吸って花は咲く。
どんな経験でさえ、血液でさえ水分で花を咲かせる。人はその花を覚えているだろう。
どんな肥料が根にあるかは肥料をもたらしたものだけが知っている。
花を咲かせる才能。自分もその花に寄せられた虫でしかないのに、一丁前に虫の死骸を肥料に咲いてほしくない。
葉が喰われた跡を綺麗だなんて思わないで。
その花を見たくない。誰の心にも残ってほしくない。
蕾と虫の関係の中で生まれたものを見せびらかさないで。
茎の中で留めておいてよ。

忘れればいい。忘れてしまえ。

地中の虫だけがきっと憶えていよう。


作った時期:2021年1月4日
出した訳:かさぶたになったから。

つくることへ生かしてゆきます お花の写真をどうぞ