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残酷

 今朝、とあるワイドショーを見ていた。コロナ禍で、年収300億だった人が3000万の借金を負い路上生活を余儀なくされ、収入減から妻との関係も悪化し離婚協議進んでいる男性に密着した、という内容だった。

 「堕ちるのは一瞬やなぁ」心の中からそう感じるとともに、恐怖を感じる。

 「堕ちるのは一瞬」

先日、ある映画を鑑賞し同じことを感じた。 

 そのある映画とは、「恋の罪」という映画だ。この映画は、2時間半の中にパーティーに出てくるオードブルの料理のように、様々なものがこれでもかと盛り込まれている。

 内容的には、小説作家の奥さんが夫とのレス生活に自信の性欲を抑えることができず、AV出演を機に道を踏み外し、最終的には夜な夜な街に繰り出し、いわゆる"立ちんぼ"になるというものだ。(もちろんこれだけではない。実際には地中海の海底のように、もの凄く奥が深い内容だ。)

 ワイドショーで取り上げられた男性も、「恋の罪」の主人公の女性も、そのままの道を歩んでいればこれほどまでに堕ちることはなかっただろう。しかし、たった一つの契機で際限なく底辺へ突き落とされてしまう。

 男性は、路上で「何か下さい。」と書いたプレートを掲げ頭を下げていた。女性は、汚い洋服に汚い言葉で過ぎゆく男性に手当たり次第声をかける。

 現実か否かは別として、私にはこの2人の人物が重なって見えた。

 堕ちる契機は、いつ何時現れるかは分からない。誰しもがコロナの出現を予想できなかった。コロナ禍でこんなにも疲弊した社会を想像できなかった。たった一度の不貞行為にこれほどまでに溺れる自分を想像できなかった。その快感に自分の全てを奪われることなど想像できなかった。

 全ては予想外のこと。ただ、この予想外の状況で踏ん張れる力があるか。自分を律することができる精神力が。ここに人間の"真価"が問われているのではないだろうか。

#コロナ禍
#恋の罪
#予想外
#真価

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