己斐の現在地2022

「己斐」というまちをご存知でしょうか。

己斐は広島市のデルタ地帯の西端に位置する地域で、地域内にはJR西広島駅、広電西広島(己斐)が立地しています。

広島市西区のJR駅では、中心部に近く北西部へのアクセスが便利な横川、アルパーク、商工センターがあり副都心的な立ち位置の新井口が先行して開発されており、己斐は交通の便が比較的便利でありながら再開発が後回しにされていました。

そんな己斐ですが、長きにわたる懸案事項だったアストラムライン延伸問題がひとまず西広島駅で決まったこともあり、ようやく再開発が始まりました。

JR西広島駅


こちらはJR西広島駅。2022年11月に橋上駅舎が全面開業しました。これにより、長らく平屋の駅舎に木造の跨線橋だった駅が悲願のバリアフリー化された現代的な駅と相成りました。どうでしょう、かっこよくないですか?私はこの駅舎を大変気に入っています。


デザインは本当に気合が入っていると思う
むさしのおむすびとそばが美味い
みどりの窓口は廃止されてしまった

あまりにも開放感溢れる駅舎に木材をふんだんに使ったデザイン。広島近郊の駅の中ではトップクラスに良いデザインの駅に生まれ変わったといっていいでしょう。

己斐は児童書として有名な「ズッコケ三人組」の舞台でもあり、作者である那須正幹さんの地元です。地域おこしの一環として聖地巡礼パネルなどが各所に設置されており、西広島駅にはメインキャラクターの銅像があります。


ズッコケ三人組作中ではこの近辺を「花山」と呼んでいる
別に南口に置き場がないわけではないから、南口に置いてほしい

旧駅舎時代は南口にあったのですが、現在は北口に移されてしまって若干寂しい雰囲気があります。

そんなここは西広島駅の北口です。駅前広場の整備に向けた区画整理がいよいよ本格的に始まりました。


現在は駅舎工事が完了しているので、工事関連施設はすべて撤収している
本当にただの路地
投稿している時点で既にこの景色は消滅している

現在は閑静な住宅街が広がっていますが、ここにきちんとしたロータリーと団地方面へ向かう県道伴広島線に接続するアクセス道路が整備されます。
これによって己斐上(地域名)方面の団地等へ向かうフィーダーバスであるボンバスの一部路線が北口発着に変わります。


将来的には都市計画道路己斐中央線と一体化され、上空にアストラムラインが建設される予定で、完成は2030年代。かなり先の長いお話です。


ここに書いてあるのは全体計画のほんの一部

正面に見える己斐公民館は移設されます。どこかと言うと、北口を出て左側に広がる市有地。こちらも最近工事が始まりました。


広場のおかげで開放感がある

再び西広島駅に戻って今度は南口です。

こちらも2022年11月から再整備工事が始まっています。

今はロータリーの真ん中の島にバス停がありますが、機能的なロータリーに再編されます。


ロータリーの南側です。
駐輪場やちょっとした飲食店などが並ぶ一帯ですが、こちらは数年前に再開発計画が立ち上がっています。当時の報道では、100m級のタワーマンションなどを想定している、とありましたが、そんな夢のある計画から早数年。続報はありません。

ところが、区画内にある己斐交番が西広島駅にすっぽりと収まる形で移転しました。進展があるといいのですが…


ビリーザキッドはだいぶ前に閉店しているが、何故か看板が残っている

反対の北側はこんな感じ。こちらも古い雑居ビルが密集(一部空き地になっているので密集ではない)していて、かなり狭いです。


周辺では唯一のスーパーであるゆめマート。スーパー不足。

狭い。
ここは先述のフィーダーバス(ボン・バス)や広島バス25号線の一部が走行するルートでもあり、とにかく狭い。

この先に県内No.1女子高と名高いノートルダム清心高校があり、登下校の時間には大量の生徒がここを歩きますが、この狭さなので普通に危険。今のところこの一帯の再開発などの話はありません。


撮影日は丁度ハロウィン当日

こちらはKOI PLACEという広場です。4年前までは広電会館という建物があり、その昔はいわゆるターミナルデパートのような感じだったそうですが、老朽化もあって取り壊され、再開発の検討のために暫定的にこうして整備されました。

しかしこの広場が大変に良い空間。芝生広場やちょっとした店舗、カフェスペースがあり、非常に開放感のある空間です。

天気のいい日には子どもが芝生広場で走り回っていたり、休日になるとほぼ毎週ペースで何らかのイベントが開催されており、見事ににぎわっています。

個人的にはこのままでいいのでは?と思っていますが、暫定期間の終了が近づいています。コロナによって広電を取り巻く環境はかなり厳しくなりましたが、広電はどんな答えを出すのか。


投稿時点では既に更地になっている

向かい側はマンション予定地。こちらはパチンコ屋や居酒屋、カラオケ屋が入っていた建物ですが、こちらも狭いし汚いしで廃墟感がありました。

人の流れ的にここに集客施設を配置するのは無理があるので、妥当です。己斐地区では最高層となる60m級の高層マンションとなるようです。利便性もいいので結構人気な物件になるのでは?というのが素人考えです。

すぐ隣の総合開発ビルは少し前に核テナントのもみじ銀行の支店が撤退し、マンションギャラリーに。学習塾も入りましたが依然状況はよくありません。このあたりも一体的に開発するのが理想ですが、さすがにこの地域でそんな大規模なものをやるには分が悪いですかね。

広電西広島(己斐)駅


富山駅でバズった人間踏切は、20年前からこの駅で行っている

こちらは広電西広島(己斐)駅です。
2000年に路面電車の己斐電停と鉄道線の西広島駅が完全統合となり、大阪駅のような大屋根が設置されています。もう20数年経つので、ところどころ汚いです。が、2000年の時点で既にこんな駅ができているというのは驚くべきことです。

以降広島港、横川駅、広電宮島口と続く広電のターミナル駅改修の一発目。同時期にドイツシーメンス製のコンビーノこと5000形グリーンムーバーが登場しており、現在のLRTにつながる革命的な駅でしょう。広島電鉄のデザインセンスは極めて優秀です。 


ちょっと奥にあるお好み焼き屋は結構リーズナブルな価格で頑張っている

JRと広電の間に挟まれる形であるのが旧西国街道で、こちらは先ほど上から見下ろしていた再開発の区画です。地域最大の繁華街といったところでしょうか。


「つなげよう!!己斐の未来とアストラムライン」

最近横断幕が新しくなり、イラストが新型車両に変わっています。


駅の東側には宮島街道という道路があります。出てみると…


露出の設定が難しい

シャッターのオンパレード。ザ、シャッター街です。

これはこれでノスタルジックで、夜なんかは結構いい感じの雰囲気ではあります。

道路を挟んで向かい側の区画には駅前で唯一の飲食チェーンココイチがあります。


平和大通りと宮島街道の境界でもある

こちらは新己斐橋。太田川放水路は二つの川を人工的に一つにまとめたもので、広島デルタの守護神的な存在。


山に張り付いているのは高須台。アストラムラインはこの山の向こう側からやって来る

すきです
 太 田 川


己斐橋、高速4号、JR山陽本線と山陽新幹線まで見える

新己斐橋は北側を望むとなかなか雄大な山を見ることができるうえに開放的なので結構好きです。


妙に私鉄らしさを感じるホーム
こういうの好き
こういうのも好き

己斐はその名前からもわかるように、「鯉」との関係も深いなどなかなか歴史的な魅力があると同時に、今まさに新たな姿に生まれ変わろうとしているまちでもあります。

そんな己斐のまちのことを、ぜひ頭の片隅にでも入れてもらって、一度訪れてみてはいかが。


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