Illustratorで作る藤の花
~繰り返しの多い&有機的な形状のパーツをどうにかしよう~
0.そもそもなんで今の季節に藤の花なのかというと
動画で使うためにつくりました。(作業時期的には花の咲いていた頃だったんですが、TIPS記事を書いている時間がまったくなかった)
https://www.youtube.com/watch?v=05L3X9V58tw
藤の花は細かい花が寄り集まって咲くので全部手書きした日には作業量が大変なことになる
そこでご用意したものがこちらの自家製「藤の花ブラシ」(Illustrator製)
1.花のパーツを作ろう
家の近所に生えてる野生化した藤(藤棚ではなく杉の木に巻き付いて生えている)や100円ショップで売っていた造花とかを参考に花の形を整理し、まずはカラーパレットをつくりました。
藤紫(#a59aca)を参考に薄い部分と濃い色を塗り分けるために色を追加しました。今回はシンプルにしたかったので花が3色・葉っぱ(全ボツ)を2色。
藤の花は房の根本から先端に向けて順番に咲いていくので、ざっくりと
・上のほう(すでに咲いている)の大きい花
・下のほう(これから咲く)の小さい花
・房の先端にある花
があればどうにかなります。手元にあるつまみ細工で花を作る手芸本でも似たようなパーツ分けをしていたので藤のデフォルメのデファクトスタンダードといえる。
ただしこれだけだと平面的なので
・正面向きの花
を追加して立体感を与えることにしました。
……といってもあんまり詳しく書くことがないんですよね。基本的な作業は
「角を丸くする(新しめのIllustratorにはコーナーを丸める機能があるのでワンクリック&ドラックで丸くなります)」
「塗りを分割して花びらの重なりと陰影を表現する」
「三角形を若干ハートっぽい感じに変形させる」
なのであとは花の写真などを見ながらそれっぽい形に整えて……
1-オマケ.葉っぱをつくろう
(結局動画では全ボツにしていますが、せっかくなので掲載しておきます)
フジの葉っぱはマメ科の植物の特徴である羽状複葉(軸の左右に鳥の羽のように並ぶ+先端に1枚葉っぱがついている奇数羽状複葉)なので、1つ作ってコピペで増やし……
できました。ブラシに登録して手頃なパスに適用するとモサっと葉っぱが生えてきます。
それはそれとして花の方に戻ります
2.花の房をつくろう
1で作った花のパーツを配置して房をつくります
ここで
「左右で若干ズラして配置する」
「正面向きの花を左右反転したりサイズを小さくしながら配置する」
ことで機械的な繰り返しパターンっぽさをごまかしておくと有機的な花の感じが出ます。逆に完全左右対称にすると模様っぽくてそれはそれでアリかもしれない。
3.ブラシにしよう
できあがった房パーツを引っ掴んで「散布ブラシ」として登録します。
サイズ:93%~103%(ランダム)
間隔:10%~30%(ランダム)
散布:-2%~2%(ランダム)
回転:-3°~3°(ランダム)
今回は"散布ブラシ"と言いつつベースになるパスになるだけ添わせる設定です。
ここでブラシを適用するパスの「中心」ではなく、「房の根本」から房を出したいときは散布ブラシとして登録する前にこういう形の長方形(線なし・塗りなし)を背面に置くと良いです。
どういうことかというと「オブジェクトの回転中心を制御する」の項を参考にしてください。
上がそのまま登録したもの、下が縦長の長方形を敷いたもの
あっそうそう 配色をいじれるように「彩色」方式にするときは"色相のシフト"に設定しておくといいです。
今回は同系色でなおかつ3色しか使っていないので「色相のシフト」のほうが綺麗に色が変わります。
まとめ.
・同じオブジェクトでもちょっとずつズラしながらコピーして若干の変化をつける
・花の色は実物に寄せるのもいいんですが「和風な花なので和風な(若干彩度が控えめな)色にする」という塗り方もアリ
・題字のフォントはOradano明朝+むつきの合成フォントです。活版印刷風の雰囲気をそのままにかな部分を若干すっきりさせて可読性を上げるお気に入りコンボ
手書きで「おさいせんばこ」と書かれた箱が置いてある。投入されたサポートはガソリン代になり、動画の素材になります。