【文語⑦】夕闇にぬぎすてられし靴下のあしのかたちを抱きて寂しき
実はこのくらいだったら、文法がまちがっているかもしれないというむやみな不安におそわれることもなくなってきました。進歩です。とはいえ、不安がないことはいいことですが、ぽかミスはいつになってもあるものなので、今しばらく品詞分解はちゃんとやりたいと思っています。
品詞分解
ぬぎすて:ぬぎすつ [動詞、タ行下二段、未然形] ※「捨つ」を転用
られ:らる [助動詞、連用形、未然形接続] 受身
し:き [助動詞、連体形、連用形接続] 過去
抱(だ)き:抱(だ)く[動詞、カ行四段、連用形] ※古語だと「いだく」か
て:て [接続助詞]
さみしき:さみし [形容詞, 連体形]
今回品詞分解をして一番驚いたのは、結句の「寂しき」のきの品詞ですね。なんとなくで詠んだものを自分で見てみて、過去の助動詞かな?と思ったのですが、なんと形容詞「寂し」のシク活用の一部でした(連体形)。過去の助動詞「き」は基本的に連用形活用なので、「寂し」に接続する場合は「さびしかりき」になるようです。実際今野先生の本にも『「なかりせば」の「なかり」は形容詞「 なし」の連用形』という風に言及があります。
短歌では連体形終止は結構あるとどこかで読んだ記憶があるのと、実際違和感もないので、特に修正は必要なさそうです。ただし、形容詞の連体形で終止している歌の用例をぱっと自分で挙げられるわけではないので……しばらく意識してみようと思います。
それにしても、やっぱりあった勘違い。これだから油断はできませんね。ただ、そのほかは大丈夫だと思います。これが一昔前だったら、「ぬぎすてる」が古語辞典にないけどどうしよう…、とか「抱(だ)き」は正しくないだろうか…とか迷っていたかもしれません。右も左も分からないと、正しく悩む場所も分からない。今は、あるていど視界がひらけているので、厳密には「ぬぎすてる」は古語には用例がないけど「捨つ」と同様としよう、とか自分で判断できるようになっています。
いや、結構たのしいですね。毎回なんやかや間違えるのも結構たのしいです。
それでは本日はここまで。
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