江戸前エルフを語る#4
しばらく日が空いてしまったが、アニメ「江戸前エルフ」をオーディオコメンタリー風に語る。今回は第4話「古今東西エルフ合戦」。ついに、大坂のエルフ・巫女が登場し、物語に華やぎと広がりが出てくる回だった。ファンの間でも人気の高い話数だが、さっそく語っていく。
〇アバン
「東京都中央区月島」
陽気な音楽とともに、なぜか尾崎さんの低い声で始まる違和感。その理由は直後に明らかになる。
「せっかくの沖縄なんで、パッションフルーツソルベで」
ストリートビューで沖縄旅行ごっこにいそしむエルダに付き合う小糸。”せっかくの”という接頭語がなんだかんだ小糸もちょっと楽しんでる気持ちを伝えている。
「え?今日なんかあったっけ?」
この時のエルダのふんにゃりした横顔がたまらなく好き。
〇Aパート
「うちホームシックになってもうてん」、「ほんまに?!」
ヨルデ初登場シーン。ご神体ラジオで向日葵役の生田輝さんが「最初の泣きからヨルデ」と語られていたように、作画・声ともに原作のイメージのままのヨルデ。最初はしょんぼりしていた耳が、最後はぴょんと上にあがる。この感情表現もヨルデの可愛さの一つ。
「ごめんください」
見事なまでの関西弁。ご神体ラジオでも釘宮・生田両氏の最初の一言はこれだった。
「ゔぁぁ~ひまわりぃ~!なんでおらんぐなってん~!」、「おらんくなったのはあんたや」
このやりとりだけで、ヨルデと向日葵がどういう関係か一瞬で分かる。大阪らしいテンポの良いやり取りと向日葵と冷静な突っ込みが冴える。後ろで流れる新喜劇風の劇伴もシーンとマッチしていて好き。
「小糸はええ子やで向日葵。ジェラート食べさしてくれてん」「泣きやまへんかったんですね。すんません」「あ、それ言っていいやつなんすねー」
向日葵の一言からヨルデをどう扱えばよいか察する小糸。向日葵と小糸の気持ちが通じ合い、距離がちょっと近づく感じがよても良い
「なあエルダ。うち新幹線乗ってんで。お前は乗ったことあるん?んん?」
負けず嫌いのヨルデがドヤ顔でエルダにマウント。左右に体を振るのが可愛さを引き立て、全く嫌味に感じさせない。素晴らしいアニメ演出。
「リングベリビョルリング」
出演声優が選ぶ3大言いにくいセリフの1つ。当人2人はいたって真剣なので、とても良い声で掛け合いが続く。最後は、小糸が間違えなければ永遠に勝負がつかないと指摘されて素の「え!?」。小清水さん、釘宮さんの緩急自在のお芝居が見られる隠れ名シーン。
「エルダの方がかしこや~!!うちの方がエルダよりお姉さんなのに!うちの方がすごくなくちゃあかんのに!」
ヨルデが551の肉まんを下りものだと言ったことに対して、エルダがそれは違うぞ訂正したところから拗ねて泣いてしまうヨルデ。ここから最後エルダに勝負は引き分けとなだめられて機嫌を取り戻すまでの釘宮さんの泣きの演技は出色。
その後、推しのコンサートがあるからと嵐のように去って行った大阪コンビと疲れ果てる月島コンビ。後日来た向日葵の超陽キャメッセにたじろぐ小糸。Aパートだけで30分の密度はあるくらいの強烈さを残してアイキャッチへ。
〇Bパート
「へー、ほいっ!」
エルダのくしゃみ。「へー」で吸って、「ほいっ!」で吐いているように聞こえる。マンガのエルダが現実に来たらこうくしゃみするんだろうな、と思わざる得ない。小清水さんの高い技術力が光る演技。
「これからは定期健診も私がするから」、「やーだ!やーだ!へーほひっ!!」
茜ちゃん登場。先代と違ってエルダを甘やかさない方針だが、なんだかんだ優しい。
「ネ、ネット茜の病院の悪口を書く!「うるせー!」ぶぎゃ―――!!!」
さんざん注射は嫌だと暴れまわった末にブスリとやられて力尽きるエルダ。エルダってこんなに声出るんだと思ったくらい、ここの演技は激しかった。
「巫女よ巫女よ」「分かった分かった!心細いんだね!一緒にいるからもう!ね!」
風邪で弱っているエルダが小糸を離してくれず、最後は折れて一緒にいることに。ちゃんと保護者ムーブする小糸は、エルダのことが大好きなんだと伝わる好きなシーン。
「うちは40.2度や、うちの勝ちや」
この風邪をひいて声も出ないけど、エルダに勝ってちょっとうれしい表情が出るところ、釘宮さんの演技が完璧すぎて何度も見返してしまう。
「お米って洗う時、台所洗剤でいいの?」「洗剤じゃなくてお水で洗うんだよ」
原作で読んでいるから分かってはいたけど、声に出ると笑ってしまう。どうしてその発想になるのか、小柚子も普通に訂正しているし・・・。小糸のストロングスタイルが垣間見える一コマ。
パンチを効かせるためカレースパイスを入れたおかゆをもっていったところ、そこには小柚子特性のかつ丼を食べるエルダの姿が。おかゆはカレーと認識され、カツカレーとしておいしくいただかれた。一方、ヨルデは串カツをねだり、向日葵は「エルフって風邪ひくと揚げもん食べたくなるんかな」とひとりごちてエンディングへ。
ご神体ラジオで小清水さんはヨルデについて「原作を読んだ時から声はりえちゃん以外考えられなかった」と語っていた通り、完璧なはまり役だと思う。それもツンデレではない、天真爛漫な可愛さ。釘宮さんの得意なジャンルでありながら、ある意味新境地を開拓したキャラクターとも言える。原作者の樋口先生も「釘宮さんのヨルデを見て、彼女のキャラクターが変わっていった」と語るように、アニメがマンガに与えたインパクトは大きかった。
以降の話数で出てくる金沢コンビもまた、この作品に華やかさと広がりを持たせてくれるキャラクター。その紹介も追ってやりたい。
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