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【10/4,5は天子の日】比那名居天子の考察【何番煎じ?】

こんばんは、こんにちは。
飛び亀です。

10/4は天子の日、10/5は天子の日、10/6は天子の日(遅刻)です。
大変都合のいい話ですね。

東方Projectにおいて根強く大人気キャラであり続ける一人、我らが比那名居 天子ちゃんについて好き勝手書きます。

天子ちゃんは考察しがいがある

東方キャラというのは、その元ネタについて深く考察されることはよくありますが、キャラそのもの(性格や生い立ちなど)をガッツリ考察されることって、案外少ない印象です。

ところが、この天子ちゃんというのは特に近年再登場した「東方憑依華」以降、その人物像がたびたび考察されています。

こちらと比べたら大したことも書けないと思いますが。


なぜ天子の人物像が考察されるかといえば、彼女の中に大きな矛盾というか葛藤を抱えているさまが原作でそこはかとなく描かれているからです。

まあ東方はそもそも言動の矛盾したキャラばかりですが、彼女はその矛盾に大してそこはかとない葛藤をもっていることが、憑依華において仄めかされたのが大きいでしょう。

その点は先のブログにも書かれていますが、私からも後述します。

人物像が分かりづらい東方キャラの中において、人物像そのものを考察する材料が豊富にあるのが天子ちゃんです。そこがまたよいのです。

天子ちゃんは災害級のワガママ娘である

彼女の初登場は、弾幕アクションゲームである「東方緋想天」
そのラスボスとして君臨しました。

天界に住む天人であり、地上に生きる存在よりも偉い、というのが大雑把な立ち位置です。

基本的に天界は悟りを開ききったような人間が最終的に行き着く世界であり、天人はあらゆる欲を捨てています。そのため地上には未練も興味もないというのが一般的な天人の解釈です。

ところが、この天子ちゃんは天人ながら地上に興味津々。
彼女の見下ろしていた幻想郷では、たびたび「異変」が起き、それを巫女が解決していました。

「楽しそう!」

天子ちゃんは、ついに地上に降り、異変を起こすことにしました。
これはすなわち暇つぶしであり、遊びです。

天子ちゃんは自らの能力「大地を操る程度の能力」により地震を起こして神社を倒壊させ、さらに天界から盗んできた「緋想の剣」の力により局地的な異常気象を起こす、という天地をひっくり返すような異変を起こします。

局地的ながら災害級の異変を起こした天子は、目論見通り巫女に退治されます。でも、それで良かったのです。そういう遊びだから。

次に天子ちゃんは神社の立て直しを請け負いつつも、ひっそりその地盤に要石(※)を埋め込むなど、神社を自分の手の内に入れようとします。
これが幻想郷の賢者、八雲紫にバレて成敗された天子ちゃんですが、結局今でも神社の地下には要石が眠っている……はずです。

その後、弾幕勝負の中で幻想郷に受け入れられた天子ちゃんでした。

※要石
地震を鎮める石。しかし、本来起きるはずだった地震の歪みを溜め込むため、要石を取り除くと逆に大地震が起こる。


自分の遊びのために大異変を起こした天子ちゃん。

その後は「ダブルスポイラー」等で射命丸文の取材に応じるなどもありつつ、異変に関わってくることはなかったのですが、「憑依華」において再度シナリオに大きく関わってきます。

天子ちゃんは不良天人である

と、憑依華の話に移る前に。

これは緋想天の時点で明らかになっている話ですが、天子は天界において「不良天人」として扱われています。

その理由は、先述したような欲にまみれた本人の性格、そしてそれと密接に関わる彼女の生い立ちにあります。

一言でまとめれば、天子は修行を積んで悟りを開くことで天人になったわけではありません。

大昔、天子の一家(比那名居家)の上司(名居家)が地震を司って功績を積み、神霊化しました。そのおこぼれとして、部下である比那名居家も天界に住むことを認められたのです。

地上に暮らした頃の天子は「地子」という名前でしたが、彼女はまだ幼い身でした。つまり天子は、親の上司の功績で天界に移り住んだ、言わばただの転校娘です。

たまたま親のコネで、学○院に試験もなく転入したと考えていいでしょう。

こういうことが天界にはよくあることなのかどうかは分かりませんが。
とにかく修行も何もなく天人となったことで、比那名居家そのものが「不良天人」だと周囲の天人から言われているわけです。

この点、比那名居家を天界に連れてきた奴にも問題がある気がしますが、それが上司である名居守なのか、緋想天おまけ.txtに記載のある天人、大村守(上司の上司)なのかは分かりません。

さて、曲がりなりにも要石担当の神官のしていた比那名居の親御さんはともかく、本当に子どものまま天界に連れてこられた地子、改め天子ちゃんへの悪影響は大きいものでした。

周囲から不良と言われながら欲望にまみれた生き物である子ども時代を天界という歌と踊りと桃しかない世界で過ごした彼女は、さぞかしひん曲がったことでしょう。

本物の不良になりました。

そして、溜まった欲望の解放承認欲求(異変を起こせる私がいる!)のために、幻想郷を巻き込んだ異変(緋想天)を起こしたのでした。

天子ちゃんは承認欲求の塊である

憑依華で再登場した天子は事実上の裏ボスとして君臨し、とんでもない心の裏をさらけ出していきました。

ある日、彼女は天界で大変貴重な「丹」をつまみ食いするという妖精みたいないたずらをし、天界追放処分を受けました。たぶん一時的なものでしょうが。
「久々に地上に降りた」天子は、そのとき幻想郷で一大ムーブメントになっていた完全憑依異変に参加する、というのが憑依華での天子の立ち位置です。

しかしこの憑依異変には夢の世界が絡んでおり、夢の世界の人物たちが暗躍します。夢天子もその一人でした。

夢の世界の人物は当然本人と半ば同一人物ではありますが、夢だけに本人の意識無意識を誇張して表現してしまうという特性があります。

それを踏まえて、夢天子の発言を見てみましょう。

憑依華天子

憑依華天子2

※スクショミスって縦横比おかしくなりました

「お前達を倒したら 天界を滅ぼし 地上を滅ぼし 人類を滅ぼし 地をならし 美しい四季を作り 新しい生命を造り 悲しむ事のない心を創り 貧する事のない社会を作り この世界全てを創り直してやろう!」

正味、東方であるだけに、力を暴走させたラスボスとしてそれっぽいこと言ってるだけという印象もありますが。
それを差し引いても、抑圧から解放されて暴走した夢の発言として1つ1つ汲み取っていくと重いわけです。

やはり自分を認めてくれない天界など滅んでしまえと。
地上や人類に対しても、幼い頃暮らしていた地、そして今楽しんでいる地でもありながら、滅んでしまえという思いがある。

その代わり、ユートピアを私が創る。

極端に誇張された想いではありますが、そうした系統の負の感情を抱いて生きているのが天子であることが明らかになったと見ていいでしょう。

これは全て「私を認めろ」というのが発端と考えられます。

本物の天子は、天界においては緋想の剣を盗んでみたり丹をつまみ食いしてみたり
地上においては異変を起こしてみたり憑依異変に混じって暴れてみたり
とにかく自分の存在をアピールしています。

天子ちゃんは強靭ハートである

さて、夢天子は天界を壊すと明言していますが、本物の天子ちゃんが天界で行っているのは、先に挙げたような妖精のいたずらレベルのことです。

さらに、ちょっと先にも書きましたが、憑依華において天子が地上に降り立ったのは緋想天の異変以来と思われる描き方をされています。
少なくとも「久しぶりだな」「なんでお前が地上にいるんだ?」といったセリフを方々から吐かれているので、滅多に地上には降りてこなかったと考えられます。

ところが、天子はダブルスポイラーできっちり文やはたての取材を受けています。また東方三月精でも明らかに憑依華より前の時系列において、神社のお祭りに参加している描写があります。

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※下の帽子かぶってるの天子ちゃんだよね?

こちら、三月精を描いている比良坂氏の独断ではなく、ZUN氏の判断であることは明らかになっています。

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つまり、後発作品である憑依華において「天子は滅多に天界から降りてきていない」設定に変更されたと考えられます。
ZUN氏のなかで、意図的かどうかはともかく、天子は緋想天後も軽々しく地上で遊んでいるわけではなかったという設定が今は固いのだと思われます。
(なお茨歌仙を読むと、憑依華後は今度こそちょくちょく地上に現れていますが、それは後述します)

つまり天子は、あんなに内心嫌っている天界にしばらく籠もっていたという話になります。それでも、天界で行うのはいたずら程度のこと。一方、地上では大暴れです。

この点、理由をいくつか考えてみます。

・言うほど天界に不満はなく、地上は地上で偉そうにできるから暴れちゃう
・あくまで自分は天人なんだという振る舞いをしたい
・周りの天人も強いので、大仰には逆らえない

結論、全部そうなのかなと思いました。

「言うほど天界に不満はない」というのは先程までと矛盾があるようですが、暴れるほどのストレスではないというか、天子ちゃんの強靭なハートをもってすれば天界生活も耐えうるのでしょう。

というか、そうやって長い長い年月を過ごしてきたわけで、幻想郷を知った今、その抑圧が解放されてきたと見るべきですね。抑圧されてきたパワーがものすごいことは、憑依華での夢天子の場面でも描かれています。

天子ちゃんは矛盾だらけの嫌われ者である

ちなみに、天子ちゃんの強靭なハートを保っている1つの方策が、天人としての振る舞いだと思われます。

地上の民に対して偉そうに忠言をしたり、やったこともない飲み会の幹事をしてみたり、自分への命令を許さなかったり。大変に幼いレベルと周囲からも言われていますが、とにかく偉ぶることで自分の殻を守る。

「私は天人だ!」

「天界なんて嫌いだ、好きにさせろ!」

この2点が天子ちゃんの中で矛盾しつつ同居していて、それゆえにファンから多大な心配をされています。

この点を二次創作ではどう扱っているか。
例えば有名どころでは幻想少女大戦のシナリオ
そこでは、天人ではなく比那名居天子としての在り方を自分で認め、力を発揮、幻想郷の面々とも仲良くなっていく姿が描かれていました。

そういう思春期の悩みみたいな少年漫画的な展開に持ち込みやすいのが天子ちゃんの面白さでもあります。

が、東方原作ではキャラの成長を描くことがまず滅多にありませんので、天子ちゃんは確かに今も矛盾を抱えたままです。悪いところが表に出て目立つので、幻想郷の面々にも大変嫌われている描写が多々あります。

そりゃそうです。
あまり後先も考えていないので、本当に幻想郷を潰す可能性のある異変を起こしました。
久々に降りてきては好き勝手に暴れ、できもしない幹事をやって酷い飲み会も開きました。
偉そうなことを言って人をたしなめますが、どれもこれも天子自身だってできていないことでした。

天子ちゃんは強くてカッコいい天人である

天子ちゃんが嫌われているのは、一貫して偉そうで迷惑な奴だからです。

そして偉そうなのも迷惑なことをするのも、ここまで書いたように天界への嫌悪承認欲求好きにやりたいという欲望、それでも天人としてありたいという心の防衛が複雑に葛藤した結果のはずなのです。

が、その表れ方が非常に単純です。
もう一度言いますが、一貫して偉そうで迷惑なのです。

かつ、良い意味でも悪い意味でも大変に明朗なのが彼女です。
何をするにも「あはははは!」と楽しそうに、とんでもないことをしでかす。散々偉そうに述べている忠言についても、「ま、私にはできそうもないけどねー」などと軽々しく言ってのけるのが彼女です。

だから、葛藤の表れ方がそこはかとないのです。
幻想郷のキャラクターたちにはもちろん、ファンにとっても彼女の抱えている葛藤の重さは分かりづらい。

最初に載せたブログにあるように、個々のセリフを読み解いていくと、天子ちゃんの抱えている葛藤は相当重いのではないかと思わされます。

でも、その割りには本人のキャラクター性にはブレがなく、とにかく一貫して偉そうで迷惑で明るい子なのです。

結局、これは彼女のポテンシャルというか、強靭なハートというか、絶妙にバランスが取れているというか、そういうことなのかなと思っています。


ここで、天子ちゃん最新の活躍である茨歌仙ラストのお話です。

あるとき、霊夢が行方不明になります。
茨歌仙ラスボスである某鬼に囚われ、地獄に連れて行かれてしまっていたのですが、それを見抜いて華扇の家から地獄への入り口を開いたのが天子でした。

そしてさらに、ラスボス相手に苦戦する霊夢の助太刀をしたうえ、攻略のヒントを与えるという大金星の活躍をしたのが茨歌仙の天子ちゃんです。

ここに来て、こんな活躍をするとは正直ファンとしても思っていませんでした。

この子、めちゃめちゃできるじゃん。


緋想天でシナリオ上ほぼ全員抜きをしたときから私はそういう見方をしていましたが、天子ちゃんは本当に強いのです。

憑依華のテキストでは、ものすごい強いという描かれ方と大した奴じゃないという描かれ方を両方されていました。二次界隈においても、天子ちゃんの強さについては諸説ある印象でした。

私は明言します。
天子ちゃんの強さの格は、ちゃんと天人レベルであると。
それは最強ランクの妖怪に匹敵するものと考えています。賢者レベル。幻少だったら本当はコスト3.5だと思っている。

だいたい天人らしい教えに則っていないことの自覚はありながらも、偉そうな小難しいことをパッと述べる知恵もある。

本人がそれだけの格を備えているからこそ、内に秘めた葛藤を抑え込んでおけるのでしょう。

天子ちゃんは自由である

ただし、逆にその葛藤が本人の備えた格を覆い隠し妖精じみた自由な性格が前面に出ているのが普段の天子ちゃんです。

そういうバランスの上に成り立っている。
だからたぶん、本人の生い立ちに関わるようなシリアスなシナリオの上に立たせたら、なかなか重さもある濃い物語になるでしょう。

一方、一般的なシナリオ上では、天子は「強くて自由」なキャラであり、何でもやってくれそうな気配さえあります。

ちなみにZUN氏本人が「いい性格をしている」と天子について書いており、天人という面倒くさい立場さえなければ動かしやすいキャラなんだと思います。
実際、天界というタガを外した結果が茨歌仙の活躍です。

強いくせに妖精なみのフットワークの軽さがある
ある種レミリアと属性は近いのかもしれませんが、幻想郷においては立場も守るもののない天子はさらに自由です。

二次創作においては天界から降ろすことさえできれば、自由なキャラになる。そこも人気の秘訣かもしれません。

逆に天人としての天子を描こうとするとなかなか重くなりますので、気をつけてください。


とりあえず、ダラダラ書いて着地点も見えなくなってきたので、今回はここまで。
しかし何よりデザインがいいよね、天子ちゃんは。

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