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パイロット式目標設定と実行方法

パイロットがフライト計画を立ててフライトを実施するというステップが、何かをやろうとして計画を立てて実施するというステップに参考になるということが改めてわかりました。ビジネスとして、学習として、遊びとして、なんでも使えそうな気がします。

玉那覇が受講している美らカレッジという沖縄のビジネス講座から学んだ目標達成の手法として用いられている考え方が、まさにパイロットがフライト計画を立ててフライトを実施するステップと同じだ。と思ったのです。

①目標設定

A空港を出発してB空港へ行くというフライト計画がパイロット版とすると、現状から〇〇を達成するというのが通常版。

パイロット版だと、那覇空港から出て久米島空港へ行く。那覇空港から鹿児島空港へ行く。那覇空港から香港空港へ行く。那覇空港から世界一周して戻ってくる。など

通常版だど、お金を貯めてゲームを買う。英語検定2級を取得する。スポーツパイロット資格を取る。プロパイロットになる。独立して起業する。お金を貯めてマイホームを買う。など

②現状把握の情報収集

目標が設定されると次のステップは情報収集です。現状を把握した上で必要と思われる情報を集めてみます。

パイロット版だと、飛行機の整備状況は?機体や装備品の不具合は?点検日までどのくらい?パイロット(自分)の体調は?最近の飛行経験は?機体には慣れてる?飛ぼうとしている空港・空域・エリア・時間帯(夜?昼?)には慣れてる?搭乗者がいるのであればその方々の体調は?小型飛行機に乗り慣れてる?パイロット資格持っている人いる?計画している空港や空域は問題なく使用できる?予定通り出発できない場合、または着陸できない場合の代替案は?他航空法上必要なことと、安全のために知っておくべきことなど多岐に渡ります。

通常版であれば、現状から〇〇を達成するためにはいろんな角度から現状を把握して分析することが必要になるでしょう。初めてやる時とか、まだ慣れない時に大切なのは完璧を求めないこと。完璧はないです。いくら準備しても後述するズレが生じてきます。大切なのはその数をこなすことで何を準備すればいいのかの精度が上がってくるからです。失敗は成功の元です。1週間考えるだけの時間で何も実行しないのと、1時間で考えて1週間試行錯誤する方が遥かに成功へ近づくからです。

③目標の細分化

設定した目標の実現のためのサブゴールの設定、これは後述する進捗確認にも使います。設定した目標に応じて実行できる期間が異なります。短期間で終わることもあれば、長期に渡ることもあるでしょう。

パイロット版だと、飛行経路上にチェックポイントをいくつか作ります。飛行経路を目的地に向かって真っ直ぐ向かうのか?それともいくつか経由地点を設定するのか?それぞれのチェックポイント通過の予定時間は?燃料消費量は?速度は?高度は?天候は?空域の問題点は?エリアの問題点は?

通常版であれば、設定した目標の大小にもよりますが、例えばざっくり1年後にはどうあるべきか?を考えてみて、それを四半期(3ヶ月毎)でサブゴールを設定し、その上で1ヶ月、更に1週間、できれば更に更に1日と落とし込む「チェックポイント」を作り込みます。

それぞれのチェックポイントをクリアすることで次のチェックポイントに進むことができるのです。なので必ずサブゴールが次に向かうステップになっていることを再確認します。

具体的にパイロットが離陸時に最初のチェックポイントに向かう際に考えていることを書いてみます。これはNavigation Flightの最初の作業です。準備してあるNavigation Log(航法計画書)に書いてある内容を確認します。

・離陸滑走路の確認

・離陸中に「もしも」があったら何をするかを確認

・離陸後の出発方法(速度・方向・高度・通信)と周辺の障害物などの確認

・最初のチェックポイントの場所までの方向・時間・高度などの確認

④実行

最終目標を頭に入れて実行開始です。パイロットであれば目的地を頭に入れて(当たり前か)最初のチェックポイントに向かって離陸開始です。

やる事はすでに決めていますからやるだけです。自分で設定した最初のチェックポイントに向かって実行あるのみ。

フライトと同じ。出発前に最終目標の確認から細分化した全ての計画を確認するのです。なんで今これをしてるんだろうというがないように。離陸前に確認する行動と同じように具体的計画を確認して1日を開始しましょう。これを美らカレッジでは全員が確認できるラインへ投稿して自分への行動計画を発表してみんなに約束して自分を奮い立たせてるのです。

⑤進捗確認と修正作業

実行開始すると計画通りにフライトしているのか?遅れているのか?予想外の事態は発生していないか?などの進捗確認が必要です。現状と事前に作成したNavigation Log(航法計画書)と見比べながら状況確認します。もし差異があるのであれば、次のチェックポイントまたは、最終目的地に到着するために必要な修正作業は何なのかを考えて、新しい修正案を作り出し、それを実行する必要があるのです。つまり前述の④実行と⑤進捗確認と修正作業の繰り返しです。

フライトの例をあげてみます。遅れているようであれば...

エンジン計器を確認して設定したパワーになっているか?パワー調整が必要になるかもしれません。設定していたパワーであれば予定していた速度は出ているのか?速度・外気温・気圧・高度などの計器を確認して速度を算出します。予定の速度でなければなんらかの抵抗が発生しているかもしれません。もしかして車輪を下ろしたまま?機体に着氷?それなりの対処策を講じます。予定の速度であれば向い風が計画より強い可能性がある。どれくらいの向い風になっているかを計算します。高度を変えると風がどのくらい変化するのかを事前の気象情報や上空から入手できる気象情報から高度変更を検討します。高度を変えずフライトを継続するとして同じ向い風がくるとしたら次のチェックポイントはどこくらいかかるか?最終目的地にはどのくらいになるのか?パワーアップして速度を増やすと、合わせて増える燃料消費量はどれくらいになるのか?最終的に十分な燃料となっているか?などなど。

通常の計画を実行する際にも差異がないかを確認し、差異が発生した場合の対処策を考え、再計画を実行するということとなります。フライト中は常に実行しています。地上でも日々実行することとなりますが、地上の場合には1日の終わりにゆっくり考えて今日はこうだったから、明日以降はこのプランで行こう。でいいと思います。

パイロット訓練ではこのような考え方と行動を日々の訓練で養っていきます。最初は短いフライトから始まり、徐々に距離を伸ばしていくのです。

次回のパイロットクラブではパイロットの飛行計画作成と進捗確認方法についてお話しします。



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