OPTはO1ビザ取得の絶好のチャンス
O1ビザを取得してパイロット職だけでなく色々な方面から相談を受けるようになりました。その相談内容をまとめておきます。
Q&Aスタイルとしてこちらで共有しますので参考にしてください。
O1ビザから永住権、そしてMaster CFI(以下MCFIとします)やF1ビザからOPTまでいろいろ聞かれました。今回は学生ビザからインターンシップについて書いてみます。
特にアメリカで勉強中の方々、これからアメリカ航空留学や航空大学留学を考えている方々からの質問をまとめてます。
Q 学生ビザ(F1ビザ)からO1ビザを狙うのはありですか?
大学卒業後の就職できるビザとして一般的なH1Bビザがありますが。H1Bビザは抽選制度に変わってしまいました。抽選に漏れた人や抽選ではない方法を考えている人には「あり」とお答えします。O1ビザには発給数に制限がないです。学生ビザで付与されるOPTを活用して1年から3年の期間で実績を付けることができれば十分できることだと思います。何をどうやったら取得できるかどうかを今から研究しておくと良いと思います。実際新卒1年目でO1ビザを取得された方もいるそうです。
Q OPTとはなんですか?
Optional Practical Trainingのことで、大学で勉強し学位を取得した分野において現地で実施できるインターンシップのようなものです。
Q OPTは何年間利用できるのですか?
大学卒業後1年です。STEM分野で4年制大学卒業すると3年利用できます。
Q STEM分野とは何ですか?
Science・Technology・Engineering・Mathematicsの分野です。栄養学の学位をとった人がSTEMだったので3年間OPTが利用できて永住権を取得したというケースもあるそうです。
Q パイロットはSTEM分野に入っているのですか?
はい。パイロットだけではなく科学技術系人材はアメリカで非常に不足している(全世界でも不足している)のでバイデンアメリカ大統領は2021年1月にSTEM人材に対して大きな政策を打ち出しています。
Q どういう政策なんですか?
Biden Administration Announces Actions Impacting STEM International Students & Scholarsという記事をご覧になってください。
STEM人材はO1ビザ対象となりました。EB2という永住権のカテゴリー2のNIW(National Interst Waiver)へも条件が拡大されたようです。STEM人材はビザや永住権取得の可能性が広がったという事です。
Q 永住権も申請できるのですか?
EB2 NIWで申請できる外国人は「一般のアメリカ人にはない経験者」です。Breeze AirwaysではEB2パイロットプログラムとして募集を開始していますが、飛行時間1万時間以上という高い条件が設定されています。
もちろん今後の情勢によっては、そこまでの経験がなくとも会社がスポンサーになってもいいとか、弁護士と上手くロジックを組み立てて永住権の取得も十分可能になることも考えられます。
Q O1ビザと永住権どちらを狙った方がいいですか?
今回O1ビザの取得もいずれは永住権への申請を目指すものです。最初から永住権で申請して取得できればベストですが、ここは弁護士と相談してください。申請者の経歴によってケースバイケースになると思います。
仮に両方可能性があるとすれば、それぞれの取得費用と取得期間を考慮してどちらかに決めたらいいと思います。私の場合はO1ビザ・EB1・EB2 NIWといずれも可能性があるという弁護士の話でした。私はすぐにでも永住権が欲しかったことと、一回のビザ費用で済むためEB1又はEB2 NIWでお願いしますと伝えましたが、弁護士からはO1ビザから始めることを勧められました。
理由としては、O1ビザは申請時にプレミアムサービスを使えば2週間で結果がわかり、面接予約状況次第では1~2ヶ月で取得できるとのこと。一方EB1はプレミアムサービスは使えるから2週間で結果は出るものの、最終的に取得できるまでに8ヶ月以上かかること、そしてEB2 NIWの場合にはプレミアムサービスはないことが伝えられました。なので私の場合にはO1から始めたというわけです。
Q O1に必要な大学新卒で卓越した能力を持つインストラクターになることは難しいと思うのですが可能ですか?
MCFIはO1への登竜門だとして別の記事でも書いたことですが、Master CFI(MCFI)取得を目指すことが第一歩です。しっかりロジックを理解して行動すれば大丈夫です。とにかく最初はCFIとして働くことが第一ステップです。
Q 大学新卒でOPTを利用してCFIとして働くことは可能ですか?
制度的には可能です。採用する側がいて、採用される人がいるという仕組みで成り立つことを忘れないでください。免許を持っているから即採用というわけではないのです。
Q パイロット不足でも採用されないのですか?
採用される確率は非常に高いと思いますが、需要と供給の問題です。そして雇用側から天秤にかけられたらCFI候補者の資質にかかってくるという仕組みを理解しておいてください。
スクール側の声として聞こえてくる(Redbird Migrationで発表されたアンケート調査の結果)のは、「募集すればすぐ人は集まる」「1年ちょいで1500時間経ったらみんなそそくさとエアラインに卒業していく」「ベテランがいない」「”質のいい”教官を探すのが大変」とのお困りの声。
その声に耳を傾けるとヒントが見えてくるのです。
Q ヒントとはなんですか?
大学時代にMCFIの準備をしておくのです。質のいい教官とはなんぞや?という課題を持って自分の教官や周りの教官を見ておくのです。
応募提出する履歴書にMCFI取得に至らなくともMCFIと同等の活動経歴が記載されていると「目立ちます」
実際業務が始まってみると他の新米教官とはレベルが違うはずです。
フライトスクールの悩みなんでしたか。すぐいなくなる...ですよね。O1ビザは3年は勤務することになるんです。雇用主からしたら3年もいてくれる!と思ってもらえるように最初からしっかり仕事をしておくのです。
OPTやMaster CFIがO1ビザにつながる理由分かりましたか。
Q 大学でフライトスクールも同時に進めている者としてはどうしたらいいのですか?
学校のカリキュラムとして在学中にCFI(フライトインストラクター)になるケースもあれば、卒業後にCFIになるケースもあると思います。CFIを取得してからのOPTを活用し、STEM分野なので最大3年間のOPTを活用してMCFIからO1ビザの取得を目指してください。
卒業後に初めてCFIとしてOPTができるケースを考えてみます。前述の在学中にMCFIの考え方をしっかり理解して行動してください。
MCFIはO1への登竜門だとして別の記事でも書いたように、EducatorとService to the Aviation Communityに全力を尽くして「目立つ!」
MCFIにはCFIの経験が2年必要ですが、年数の規定もなく、しかもCFIではなくともGround Instructorとして500時間の教育経歴で申請できるAssociate Master CFIという資格があるので、それをできるだけ早く取得する。
アメリカでクレジットカードを持つにはクレジットヒストリーが必要というのは聞いたことがあると思います。まさに大学生活の中でO1ビザに必要なクレジットヒストリーを積み上げていくというイメージです。
学生の間にMCFIに向けての活動をしておいて記録に残しておく。短大の2年間や大学の4年間で十分できることはあるはずです。実際そうやって別の分野で大学新卒でO1ビザを取得されたケースもあるそうです。やってできないことはない!
Q Community college(短大)に通っているのですがどうすればいいですか?
1年生修了時点でCFI取得が理想です。大学にもよるかもしれませんが、そのような訓練を許可しているところであれば最高ですね。そして一年の課程を修了した時点でCERTIFICATEをもらい、それを根拠にOPTを使ってCFIとしてフルタイム教官になる。それができると理想的です。
Q 短大は1年で修了ということですか?
いいえ。1年間のOPTを使ってCFI職でしっかり経験をつけたら復学します。そして2年目の学生の間にはコミュニティーへの貢献活動含めてMCFI取得を目指して(頭の中にはO1ビザ取得を目指して)活動します。そして短大を卒業したらもう一年OPTを使ってCFIとして復職します。
Q 短大でも2年間のOPTが使える裏技になるんですね
はい。しかも3年目はCFI経験があるので学業に専念していてもMCFIやO1ビザへの道を突き進むことができるのです。なのでOPTがO1ビザへの絶好のチャンスといった理由です。
Q 短大卒業してOPT期間でビザが取れなかったらどうしたらいいのでしょうか?
短大2年間+OPT2年間=合計4年というアメリカでの経験を持ってしても、現地での実績が作れなかった場合の話ですね。
その場合は4年制大学に編入してみてがいかがでしょうか?
編入しても学生期間の間もMCFIの活動は十分できます。すでに3年の実績があります。さらに編入後の2年間の実績を加えて大学卒業時点は5年の実績です。もう十分過ぎるほどです。
4年制大学卒業後にはSTEM分野からの学士号なので3年のOPTが活用できます。期限が切れる前にO1ビザの申請要件に満たされるように活動に全力を投球してください。
Q それでもビザが取れなかった場合はどうなりますか?
短大2年間+OPT2年間=合計4年。OPT2年間でプロパイロットとして報酬をもらってフライトした飛行時間は1,200時間(月に50時間として)。
さらに学士号を取得して3年間のOPTでプロパイロットとして報酬をもらってフライトした飛行時間は1,800時間。積算3,000時間。
MCFIも取得し、大きな飛行記録と社会経験が手元に残っています。そして合計5年間のアメリカ生活で積み上げたネットワークがきっと何か別の道を見せてくれるでしょう。
その経験を欲しいといってくれる誰かがいるはずです。
アメリカ以外かもしれません。日本かもしれません。
この記事は不定期に更新していきます。追加質問があれば追加していきたいと思います。
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