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クラブの厳しいルール・パート2

クラブ組織が航空の裾野を広げ航空の安全を確保する理由】の根底にある厳しいルール【クラブの厳しいルール・パート1】でなるほど少し理解していただけたと思います。でもそれはあくまでも準備の段階。

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Flight Check

SOPやPIFを読み、学科試験を合格し、いよいよフライトチェックです。所属するインストラクターとのフライトです。学科試験と同様に以下のチェックがあります。3つとも初回で合格すると有効期限は1年間だけです。

Standardization Check

Instrument Check

Instructor Check

そしてその判定基準となるものはFAAの発行するACS/PTSという基準書に空軍本部の追加を加えて作成されている基準書を使用します。ベースとなる空軍基地のルールやローカルのルールなどFAAの知識だけでは飛べない理由があるのです。

FAA Private Pilotの試験とほぼ同じなのがStandardization Check、FAA Instrument Ratingの試験とほぼ同じなのがInstrument Checkです。FAA Instructorの試験とほぼ同じなのがInstructor Checkと考えるといいと思います。

チェックが実施できるインストラクターもクラブのInstructor Standardization Guideで決められています。その認定チェックも当然明文化されていて、実施するのはチーフインストラクターです。

チーフは誰がチェックするの?

チーフインストラクターをチェックするのはFAA試験官です。FAA試験官はFAA監査官にチェックされます。FAA監査官は別の監査官に。いつも誰かにチェックされているというパイロット業界の当たり前のスタイルです。

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人は間違いを犯す。だから第三者のチェックを必ず入れる。どの業界分野でも同じことですよね。

Make and Model Check

クラブの厳しいルール・パート1】で書いた各機種の学科試験に合格した上でのフライトチェックとなります。基準も前述したものを使用しますが、FAA ACS/PTSの中から抜粋して表として記載されいます。

基本的には一度合格すると後述するCurrency Requirementsに従ってフライトし続ければ再受験は不要ですが、そのカレンシー次第では再受験が必要になってくることもあります。

機種によってはパイロットとしての飛行時間が最低何時間と決められているものもあります。

飛行機のエンジン出力によっても、Complex機、多発機など様々な細かいルールが定められています。

一例として、Complex機の場合には最低125時間を持っていないとチェックアウトができない。それではなくチェックアウトまでの10時間の訓練がしっかり定められている細かさです。

ここには書ききれないルールが設定されています。

Cross-Country Check

特に日本国内のフライトクラブでは重要なことです。FAA方式とは異なる次の内容をしっかり理解しておくのです。

航空情報

飛行計画

無線通信

空港事務所

燃料

実際に近隣の日本の空港に行く準備・フライト・フライト後の手順をチェックされます。

厳しく楽しくない印象を受けますが、実はアメリカ人にとってここが一番楽しみにしているチェック。そのためにクラブに入る人もいるくらいです。

アメリカと違う環境へ飛んでいける絶好のチャンスなんです。地元の人たちと仲良くなれるチャンスなんです。中には沖縄県の空港を那覇空港と南北大東島空港を除き、全ての空港を行った者もいます。もちろん沖縄県のすぐ北にある与論空港から種子島屋久島までの南西諸島もほぼ行ってました。小さい小型機である意味目立ち、しかもパイロットが外国人という事で降りるところ人気者になっていたそうです。日本人のホスピタリティーは素晴らしいと、彼曰く沖縄に赴任して最高の思い出ができたと今でも仲良くしています。

こうやってやっとフライトチェックに合格し後はフライトを楽しめるようになります。しかし定期的なフライトをしないとそのフライト資格は維持されないというルール。まだまだ続く厳しいルール。それは次回お伝えします。



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