心つづれおり〜34 Red Hot and COLE〜
2019年、博品館劇場にて。この劇場は、ずっと気になる存在でした。初めて訪れてみて、古き良き映画館のような懐かしさと温かみのある場所でした。
作品は、音楽家コール・ポーターの人生を描いたもの。かつて見た映画『五線譜のラブレター』でコール・ポーターを知りました。映画では、耳にしたことのある楽曲も多く、これもコール・ポーターの曲!と驚いたものです。コールの楽曲は、オシャレな歌詞とメロディーで、その人の生き方が音楽そのもの。華やかな人生の一方で、浮き沈みが激しい生涯には衝撃を受けました。このコールの人生と音楽を日本語訳でどのように描くのか楽しみでした。
出演者は8名、まさに少数精鋭。コール役の屋良朝幸さん以外は、一人で何役か演じられました。皆さん個性が活かされる配役で、コールとその人間模様が鮮やかに伝わり、舞台に厚みがありました。
各出演者の印象について。屋良さんは、身体表現が熱く胸に迫りました。コールが落馬事故で脚を失ってしまうまでの苦悩は、屋良さんのダンスから苦しいほどに伝わりました。ダンスからこんなに感情を揺さぶられたのは初めてのことでした。
矢田悠祐さんは、コールの相手役のときに見せた美しさが印象的でした。ミステリアスな目の表情に何度もドキッとしました。
吉沢梨絵さん、コメディエンヌとして楽しませてくれました。小柄な身体から発せられるパンチのある歌声が忘れられません。
彩乃かなみさんは、「マディソン郡の橋」以来気になっていて、大人の可愛らしさと歌声が素敵だなぁ、と再確認。コールを生涯支えたリンダという役が本当にピッタリでした。
木内健人さんは、歌声に頼もしさというか、存在感がありました。また、ダンスがとにかく素晴らしかったです。
真瀬はるかさん、舞台上での立ち姿がカッコよく、役の演じ分けが鮮やかでした。
彩吹真央さん、可愛らしさと凛々しさが一体となった目を惹く存在でした。最後までコールを励ます姿にじーんとしました。
そして、鈴木壮麻さん。「エリザベート」でのフランツ以来の壮麻さんに、感激しました。変わらないあたたかみのある歌声と、周りを包み込む雰囲気が本当に素敵でした。
こうして書いていても、個性的で魅力的な俳優たちが集まった作品だったと感じます。ソワレ終演後、外に出ると、劇場入口の上に作品名が電飾で彩られていました。あぁいい舞台を観たな、という充実感で嬉しくなったのを思い出します。
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