見出し画像

[フライト日記]CAの監査フライトから学ぶこと

早朝の霧がかったオランダからおはようございます、さやです。

先ほど、ドバイ便から戻ってきました。
(と書き出してから、もう何日も経ってしまいました!汗)
往路はガラガラ、復路はパンパン、そんなフライトでした。
9月になったので子供達の夏休みが終わったんだな、と感じるフライトでもありました。

今回のフライトは年に何度かある「oordelen vlucht (監査フライト)」でした。
フライトの数日前に自分のiPadでフライトにアクセスできるようになるタイミングで(2-3日前)に監査が実施されることがひらりと伝えられます。
自分が大そうなヘマをするとは思っていませんが、やはりなんとなく緊張するもの。
シニアパーサーとパーサーにはいつも通りやってくれたらいいんだから、楽しくやりましょーって感じでいつも通り軽く言われますが、なんだかドキドキするんですよね。
チェックされる項目は多岐にわたります。保安要員として大切なこと、サービス要員として大切なこと。

往路が監査対象のフライトで、復路便の途中でその監査内容を知らされます(電子レポートみたいなのをiPadで見ながら面談みたいなことをします)

こちらのベースに移った直後に監査があった時は「コミュニケーション」という項目でスタンダード以下(3段階)を付けられたことがあります。(onder de norm(平均以下), op de norm(平均), boven de norm(平均以上)) 大体みんな「スタンダード(平均)」をもらうそうです。
「うちの会社のスタンダード(平均)ってことはよくできているってことよ。十分であるってことよ」とはるか昔(10年前)に「平均以上を目指すべきなんじゃないか。平均ばっかりでいいのか?」と質問した時にそう言われました。

前々回(ベース移動後すぐ)「スタンダード以下」と付けられたのはまだまだオランダ語が足りなかったから。
ただし補足のところに「彼女のオランダ語は当然ネイティブスピーカーたちには及びません。ただ、母国語でないのに、ネイティブスピーカーに混ざってよく頑張っていました。サービスもオランダ語を使って頑張っていました。今が踏ん張りどころです。これからの彼女の成長を期待して今回はスタンダード以下とつけました」
その時はほんとうに正当な評価をされたこと、悔しさがないかといえば嘘ですが、でもオランダ語がオランダ人と同様できてるなんて到底思えないですし、それでもパーサーの補足文の優しさにギャン泣きした覚えがあります。(アラフォーのアジア人おばさんが泣く、側から見るととんでもない光景)

そうなんです。結局母国語じゃない言語で母国語の人たちとやり合っていかなくはならないのです。すごいハンデ。
仕方がないことなんですが、やはりそこ(言語)がネックでコミュニケーションのみならず、保安面やサービス面で多少なりともハンデを持っているというのは事実。言い訳を上手にできるような言語能力なんて持ちあわせていません。

それからよく注意されるのはイニシアティブが足りないということです。
ちなみにイニシアティブとは「主導する」「リードする」という意味です。
飛行機の中にはシニアパーサーやパーサーがいるんだから、ペーペーCAはそれに付いていけばいいんじゃないかって思いますよね。日本の社会の中でリーダーを差し置いて主導を握るなんてダメですよね(ダメではないかもしれませんが遠慮も必要だと思うんです)
どうもこれも苦手。だって意見するとか引っ張っていくなんて日本の会社の中ではまずないから。今までそうやって生きてきたし、そういう文化の中で育ってきてしまったんですもの。
もちろん逆にそういう役割を充てられたら意見もするし、みんなをグイグイ引っ張っていきまよ?でも...です。

なのでそんな自分にできることは、

1.仕事を先回りして、率先して取り組むこと。

2.自分から同僚たちに声をかけて、何かできることはないか探す

3.わからないことはわからないと正直でいる

4.日本人らしくハイスタンダードなサービスを心がける

5.自分らしさを忘れない

1番難しいのは 3)の「わからないことはわからないと正直でいる」
ついわかったフリをしてしまうんですよね。
言語が不確かなくせに文脈からわかった気でいる時もあって、「わからないことをわかっていない」な気もしますが....。
ただ上記の5項目は心がけています。言葉が足りなくともできることです。

そして今回の監査フライト。
結論から言うと嬉しい評価をいただきました。

保安面は全てOK(これはできるかできないかで評価されます)
サービス面はほぼ「スタンダード」
「乗客に対する態度とサービス」という項目に関しては「スタンダード以上」をいただきました。

色々な項目(スタンダードと記されてる項目にも)にパーサーからのコメントが書いてあるのですが、1番気になっていた「コミュニケーション」の項目には「オランダ語は母国語でないにも関わらず、積極的に同僚やお客様とコミュニケーションを交わし、明るく親切に関わることができる。オランダ語に関しては時々わからないことがあるように感じました。ただ基本的問題なし。英語も同様。」とありました。
あーとっても嬉しかった!

総評にも嬉しすぎる言葉が並び、「またすぐに彼女と飛べる/仕事ができるといいな」とあり、これは何よりも光栄でした。

そして面談形式なので直接言葉でもこの評価に対して話をするのですが、
「本当にすごい楽しく一緒にお仕事ができたわ。
この評価をするにあたって他の同僚にも意見を聞いたけど、みんなも同じ意見よ。いい意味で「アジアンキャビンクルー」の枠を飛び越えたと思うの。日本人でありながらオランダの会社で私たち(オランダ人)と働く、そして同じ会社内であなたの役割はこの3年で変わったし、うまく順応してると思う。アジアには遠慮する文化があると思うけど(イニシアティブがないと言われる所以)、あなたはそれもいい感じで「こっちより」になったわ。とにかくあなたはよくやってる!これからもこの調子でね。でも、わからないなって感じたらちゃんと言うのよ」
と言われました。泣きこそはしませんでしたが、全力で感動しました。
そして「わからないのがわからない」はしっかりバレていたようですw

そしてここからがオランダっぽいのですが
この評価に「意義なし/意義あり」と今度は私が記入する欄があるんです。
そしてその下にはオプションで意見を書くことができます。
加えて「この評価に関して自分のマネージャーと話をしたい/追加のフォローは必要なし/その他」と選ぶところもあります。

評価に納得がいかない場合
「意義あり」を選んでオプションに自分の意見を書き加えます。
マネージャーのフォローが必要という欄をさらに選択すれば、すぐに2者面談、3者面談が予定されます。
このシステムはいろんなケースに用いられていて、公平さを大事にするオランダらしいシステムだなぁと思います。
(別の機会でこのシステムについてもお話ししたいと思います、経験談ありなので)

このシステムがあるので評価する方も真剣です。パーサーも生半可な気持ちで適当に評価したら反撃を受けますから(笑)


この監査フライトを通じて
何か他の人より足りないことがあったとしても、自分らしく自分ができる仕事をちゃんとこなせば、見てくれる人はちゃんと見てくれているということ。

指摘されることもありますが、それは(私の会社では)真っ当なことで、自分の成長に欠かせないものです。
オランダベースになってからこれが4回目の監査でしたが、過去3回分も読み漁り自分の強みや弱み、指摘されたところが改善されているかどうか確認できてよかったです。

次回はいつになるかはわかりませんが、その時には今回指摘された箇所も含め、成長できたらいいなと思いました。そのために頑張りたいと思います。

それでは、また!Doei!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?