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[フライト日記]お客様の中にお医者様は、まさか私が編

おこんばんは、お医者様ネタをもう一つ思い出しました、さやです

お医者様はいませんか?
このドラマっぽい流れのアナウンス、聞いたことはあってもご自身がされた方、いらっしゃいますか?

私、客室乗務員として10年ほど働いていて、
とりあえずコロナ禍中もフライトをしていた身ですが(みんなが自宅にいなきゃいけないとなった時仕事でで歩いてた)、未だコロナにも罹らず元気もりもりなんですが....
お医者様は....というの、まさか私のためにやってもらったことがあります!
まさかまさかです。

この日、私はメキシコシティに向かって飛んでいました。
もちろん家を出る時は元気でした、年が明けて寒い1月でしたが、風邪を引いていると自覚もなく、通常通り出勤、乗務していました。

出発し、一回目お食事のサービス、いつも通り配り終え、そのあとは空いたトレーの回収です。(ここまでおよそ出発から2時間半)
トレーの回収が終えたら次はコーヒーと紅茶、デザートをカートに載せ直し、もう一度キャビンへ、という流れでした。

トレーの回収が終えた時、ものすごい寒気に襲われました。
デザートをカートに載せている時に同じギャレーの同僚に「なんか調子悪そうだけど大丈夫?」と声を掛けられました。

「なんか寒気がすんの」

そういうと「ありゃ、風邪?」と言われ
粉のビタミンCと一緒になってるパラセタモールがあると同僚からそれをもらい,お湯に溶かして飲みました
すると液体だからか効き目がすぐに出たようで、なんとなく寒気も収まり、デザートサービスへ。

ただサービスから戻ると悪寒という悪寒が。
普段風邪なんて滅多に引かないし
ちょっと具合が悪くても「大和魂」で気合い乗り切るタイプですが、あれれ?これはまずい。
絶対まずいやつな気がする!
素直にまずい気がすると申し出る。
もう椅子があったら座りたい、それほど体力が低下していました。

ただこのサービスが終わると仮眠時間になります。相方にお願いして先に休憩をもらいます。
ベッドに入ってあったかくすれば元通り元気になるだろうという思いも虚しく
さらに悪化!寒すぎて寝てられない。絶対熱がある!そう思って仮眠室から出て,
稼働中のクルーに申し出ました。

見るからにやばかったであろう私。
すぐにシニアパーサーに連行されました。
熱を測れば39度超え。
自分でもびっくり、周りもびっくりの事態に。

コロナかもしれない、もしかしたらもっとやばいやつかもしれない...それが機内でサービスして菌を撒き散らかしたかもしれない....
ヨーロッパではもうすでにマスクの着用なんてはるか昔の出来事になっていましたし、なんとも嫌な空気に。(私は熱でうなだれていました)
同僚がペットボトルにお湯を入れて湯たんぽを作ってくれ、毛布を持ってきてくれました。
すると

「お客様の中にお医者様いらっしゃいませんか?」のアナウンスが。

私は自分のこと差し置いて「あぁ急病人が出てしまったの?私もこんなで、本当申し訳ない...」と思っていました
自分以外の誰かが急病になったのだと思っていました。
そばにいた同僚が「さやのためにお医者さんを呼んでるよ。いるといいねぇ」と言うではありませんか!

すると間も無くして、コロンビア人のお医者様が2人、同僚の1人に連れられてやってきました。
「急病人はどこですか?」お医者様がいうと

この子です!


まさかまさかの私を指さすではありませんか
「あああああ、私だったのか!」

なんとも言えない気持ちになりました。
通常呼ぶ側の人間なのに、自分のために呼び出してしまった!!!!!
ただ事実、お医者様がいらした時、複雑な気持ちではありましたが本当にホッとしました。

しかもこのお医者様2人は軍に仕えているお医者様で専門は「緊急外来、感染症」だそうで、会社が用意している問診票、パイロットのシステムを使って交信している会社のお医者さんからの問診も合わせてありとあらゆることを聞かれました。
クルーであるからゆえに、過去3ヶ月フライトした場所全て聞かれました
その中にアフリカのガーナ、南米スリナム共和国飛んでいたことでマラリアとデング熱を疑われました。
そして奇跡的にこのお医者様「感染症専門」ということで、以上のマラリア、デング熱などの感染症ではないか検査が機内で繰り広げられました。
機内での検査の結果「感染症ではなさそう」となり、コロナの疑いだけ残ったまま残りフライトのサービスは同僚に全投げしてメキシコへ到着しました。(あまり記憶にありません)

地上の方に迎えに来てもらい、なんと車椅子で移動。
その時は残りのフライトを寝て過ごしていたので体力も回復、パラセタモールも効いていたので歩く余裕はありました。
歩いてバスまで移動すると申し出ましたが却下され、なんとも惨め...車椅子で移動しました

そのホテルにつき、会社と契約している現地のお医者様がすぐに
診てくれ、インフルエンザとコロナの検査行いました。どちらも陰性で、結果は「ただの酷い風邪」ということでした。処方箋の薬も出してもらいました。
その後復活し、会社は別のクルーを(スタンバイしていたクルーを)メキシコに招集し、ポンコツの私の代打飛んでいただきました。(私は会社の指示により、復路はお客さんとして帰らさせられました)
そのリクエストしていた(楽しみにしていた)フライトは全てスケジュールか消え、元気になった時には人気のない路線ばかりを3本ほど飛ばさせられました(風邪ひいて迷惑かけたお前悪い、お仕置き便ですw)

機内で尽力してくださったお医者様には本当に感謝です。


ホテルに来てくれた現地のお医者様。
ちょっとすっとぼけてました。
熱が高かったという背景があったので
「コロナとインフルのテストをします🧑‍⚕️」と言いました
する同席していたシニアパーサー、パーサー、キャプテンが
「万が一コロナが陽性と出てしまった場合、彼女(ポンコツさや)はどうなる?」と聞きました。

「メキシコの規定では、コロナ陽性者は1週間の隔離」と言いました。
するとキャプテンが「僕たちは彼女を2日後の僕たちのフライトで連れて帰らなくてはいけない。1人ここに置いていくわけにはいかない。だから(陽性が出てはまずいから)コロナの検査は見送ってほしい。オランダでコロナのテストを受けさせる!」といってくれたのです(涙)

現地のお医者様は「ah si, si」と言い
その後わたしの鼻の中に棒を突っ込みました。
(誰もがこの棒はインフルの検査棒だと思っていました、私も)

そして30秒くらいしてお医者様が

「コロナ、ネガティブ!」


全員が「えっ?!」ってなりました。笑

陰性だったからよかったものの、お医者様...話聞いとらんやん!爆
危うくメキシコに1人取り残されるところでした。


兎にも角にも、機内でお医者様呼ばれるってそうそうできない体験。
感謝の気持ちでいっぱいですが(私の場合は仕事をみんなに任せたので、同僚のみんなとお医者様に)
もうこれっきりで十分!

よく言われるのが機内で風邪をはじめとする病状がよくなることは絶対にありません。
具合が悪いなと思ったら潔く、フライトを見送ることも大切です(クルーとしても!)

貴重な体験をさせていただきました。
自分の体調を過信しない....これを肝に銘じました

それでは、また!Doei!

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