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男子家を出ずれば7人の敵あり

1年ぶりくらいに旧友Nと再会した。

Nとは大学の同期で、ずっと一緒にいた。卒業してお互い社会人になったあとも、時間を見つけてはともに酒を酌み交わし、意味もなく裸になっては互いに金玉を握り合ったりする関係性だった。しかし、Nが結婚し所帯を持ってからは、なんとなく誘いづらくなり、疎遠になっていた。

今回は、斎藤が仕事の兼ね合いでたまたまNの職場の近くに来たこともあり、思い切って連絡をするとタイミングが合ったため、呑むに至った。

タイミングが良かったのはここまでだった。

当日、居酒屋で落ち合うと、Nの表情が妙に暗かった。理由を尋ねると、今度はタイミングが悪いことにNは嫁と喧嘩中とのこと。嫁からの怒りLINEが鳴り止まない中、酒宴が始まった。

しばらくして旧友が「あ〜!コレだもの!」と言って携帯を放りなげ「怒るといつもコレだ!」と溜息をついた。嫁から送られてきた文面は「もう、ご飯いらない」。中学生みたいな反抗だった。

すっかりガックリきてしまっていたNを、少しでも元気づけようと「古い友人たちに久しぶりに連絡を取って、近況報告しよう」と提案した。

即返信が3人、1人目「看護師をしていて、たった今、担当の患者を看取った」2人目「おしどり夫婦で有名だったが、最近離婚した」3人目「新婚旅行に嫁の祖母がついてくることが決定した」

Nを含め4人だけど、三者三様の辛さ。逆境の30代…。男子家を出ずれば7人の敵ありとはよく言うが、この4人の苦難は前述のことわざとはちょっと違う気がした。

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