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山の中で「現在地」伝えられる?いざという時に明暗を分ける基礎知識|パラグライダー

翼を持たない人間に、自由に空を飛ぶべる”翼” を与えてくれるパラグライダーは素晴らしい遊びです。
けど、もちろんリスクもあって、舐めてかかると生死にも関わります。ぼくらはそんなリスクを理解して正しく付き合いながらパラグライダーで楽しむ必要があるのです。

今回は「位置情報の確認と伝え方」という基礎知識を身につけることで、スマホだけでいざという時のリスクを軽減するための話。

記事を全部読みたくないあなた、これだけ覚えればOKです。
1️⃣ Geographica(ジオグラフィカ)というアプリをインストール
2️⃣ アプリを起動したら画面上部に現在地の座標が表示される

保険と同じで、必要な事態にならなければまったく必要ない事だけど、もしものときには大きく明暗を分ける大切な知識です。

今回もパラグライダー初心者に向けて、なるべく分かりやすい解説を心がけて記事を書きます。


▶パラグライダーという遊びと起こり得るリスク


☑人はミスをする生き物

滑空性能も安全性も飛躍的に向上した現代のパラグライダーで移動できる範囲はとてつもなく広大。上昇気流に乗って高度が上がれば簡単に数十km移動することができます。

みんなのイメージよりもパラグライダーという乗り物は安全で、 ”墜落(落ちる)” というリスクは実際はそれほど大きくはないんです。だけど、人が操縦するからには、時にはミスをする。
そう、ほとんどの場合、人のミスによってトラブルが起こるのです。

何らかのミスをすると、広大な山の中に墜落したり、木に引っかかったりすることもあります。決して人ごとじゃない。
そして、その瞬間から空飛ぶ自由人は突然に遭難者になってしまうのです。

☑「位置情報」の大切さ

そんな時にだいじな事の一つが「位置情報の確認と伝達」。
自分のいる場所を正確に伝えられるかどうか。これによってその後の明暗が大きく分かれる事も多いです。

たとえ無傷だったとしても、自力で下山出来ない場合、どうしますか?
助けを呼ぶ
そうなると絶対に必要なのが位置情報です。正確な位置情報が分かれば最速&最短で救助に行くことができます。
けど、位置の特定が出来ないと、捜索から始めることになるわけです。

自分がどこにいるのか、地形などから判断して正確に伝えられればいいですが、ほとんどの場合、その情報はあいまいで不正確。誤った情報での救助や捜索は二次遭難になりかねないんです。

携帯電話や無線機での通信が可能な場合、やはり位置情報を数字で伝えることが一番確実であることは間違いないです。では、その位置情報を取得するためにどうすればいいか?
GPS機器が必要ですが、もはや全員が持っているスマホがあれば大丈夫

今回は、スマホだけでできる「位置情報の確認と伝達方法」としてアプリを一つを紹介します。

▶スマホアプリ「ジオグラフィカ」でいざという時の備え


🚩位置情報ってなに?

ここでいう「位置情報」は緯度経度のことです。ようするに地球上の位置を表すための座標。なので、これが分かれば救助隊はピンポイントであなたのところに行けるんです。
表し方にいろんな種類があってかなりややこしいけど、最もポピュラーで実用性のある3つの単位を紹介します。

・度(D):36.695485, 137.839344
・度分秒(DMS):36°41'43.8"N 137°50'21.6"E
・UTM座標:53N 0753667 4064850

「度(D)」
スマホのGoogleマップで地図上をロングタップ(長押し)するとその地点の座標として表示されるやつ。
10進法で、緯度、経度をそれぞれ(°)の単位で表します。

「度分秒(DMS)」
スマホのGoogleマップの検索欄で「度(D)」で検索すると地点のタイトルとして表示されるやつ。
60進法で、緯度経度を度(°)、分(')、秒(")で表します。

自分のスマホでGoogleマップを開いてみてください。

「UTM座標」
地球を60のゾーンに分け、それぞれのゾーンで位置を示す、というもの。
パラグライダーの競技でよく使用される単位。Googleマップは対応していない、など汎用性に欠けるので今回はここで紹介するだけ。


度(十進度、十進経緯度)と度分秒は桁だけ合わせても変換できないので注意です。

⚠️36度41分43.8秒は、36.41438度ではありません

変換するためには、

十進度 = 度 + (分 / 60) + (秒 / 3600)

という計算が必要になりますが、いちいち自分で計算する必要は無いので覚えなくて大丈夫です。いろんな便利ツールもあるし、だいたいの機器はどっちでも対応しています。

今回は、主流とされている「度(十進度、十進経緯度)」を使う前提で説明していきます。


🚩自分の位置情報、確認できますか?

では改めて、
「自分の位置情報、確認できますか?」

GPS機器を持って飛んでいる人は、その機器を使って自分の座標の確認方法は分かりますか?
GPS機器を持っていない人は、スマホを使って自分の座標を確認できますか?

こんな事にならないように「フライヤーのたしなみ」として、自分の現在地を確認する方法は覚えておきましょう。


🚩「ジオグラフィカ」で位置情報の確認

今回紹介する方法は、

「フライト用GPS機器は持っていない」
「XCTrackも使っていない」

そんな人向けに、スマホさえあればすぐに位置情報が確認できる方法です。

フライト専用のGPS機器などをもっている場合は、スマホよりもその方が確認しやすい場合も多いので、自分の使っている機種での座標の確認方法を調べておきましょう。

「ジオグラフィカ」という”キャッシュ型オフラインGPSアプリ”を使います。
他にもスマホで座標を確認する方法やツールはたくさんありますが、このアプリは他にもいろいろ便利なので、覚えておいて損はないです。

🔽公式サイト

しかもこのアプリ、無料なんです。
一部有料機能がありますが、基本的に無料で困ることはありません。

さっそくダウンロードしましょう。

📲iPhone版ダウンロード
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📲Android版ダウンロード
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キャッシュ型」ということで、事前に地図をキャッシュ(一度表示させてるだけで自動保存)しておけばオフラインでも使えるので、スマホが圏外でも大丈夫です。SIMが入ってない端末でも大丈夫です。

アプリの詳しい使い方は別記事で紹介する予定なので、位置情報(座標)の確認方法と伝え方だけご紹介します。

といっても、このアプリめちゃめちゃ分かりやすくて、インストールして起動するだけで、画面上部に現在位置のステータス(高度&座標)が表示されています。

座標の単位が「度」(度+小数点以下6桁)じゃない場合は、

「メニュー」→「設定」→「一般」→「座標形式」→「度」

で変更してください。

「度」を選んだら、右下の「✕」マークをタップすれば設定完了です。画面のメニュー以外の部分をタップすればホーム画面に戻ります。

マップ上には赤い矢印で現在位置がマークされています。もし、見当たらない場合は並んでいるアイコンから「現在位置アイコン」をタップすると、現在位置がマップのセンターに表示されます。

これさえ覚えておけば、いざという時の位置情報(座標)の確認はバッチリです。
あとは、救助に来てくれる人に座標を伝えるだけ。

🚩位置情報の伝え方

― 口頭で伝える ―

電話や無線が通じているなら、そのまま口頭で伝えればOKです。
また、携帯も無線も繋がらない場合でも、上空を飛んでいる仲間がいれば無線でエリア管理者に中継してくれることがよくあります。

単位が「度(十進経緯度)」の場合はシンプルです。それもあって、今回は「度」を推奨しています。

「分」や「秒」は無くて「度」を整数と小数点以下6桁で表されているので、そのまま読み上げれば伝わります。

表示「36.695485」→読み方(サンジュウ ロク テン ロク キュウ ゴ ヨン ハチ ゴ)

って感じです。
順番は、表示されている通り、「緯度」→「経度」の順番です。

― スマホで伝える ―

電波状況が悪く正確な数字を伝えにくい場合や、そもそもスマホで送信した方が早かったり、楽だったり正確だったりするので、テキストとして送信する方法も覚えておきましょう。

「現在地をLINEに送る」で任意の人に送る
「現在地をクリップボードにコピー」でコピーしてMessengerなどで送る
のどちらかがオススメです。

さぁ、これで万が一の時にも安心です。
ツリーラン(木に引っかかっる)しても慌てずに、落下防止の自己確保をして、自分の現在地を伝えて救助を待ちましょう。

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