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「あのころ」のサスペンスドラマに懐かしさが止まらない

フィルムエストTVというYouTubeチャンネルをご存じだろうか? 現代のネタを昭和風に再現した映像が有名で、昭和生まれなら、いや昭和生まれでなくても、思わず懐かしさに胸がジーンとするはずだ。

そんなフィルムエストTVが友近とタッグを組んで2時間ドラマを制作。その名も「友近サスペンス劇場 『外湯巡りミステリー・道後ストリップ嬢連続殺人』」。タイトルを聞いて、思わず土曜ワイド劇場の「混浴露天風呂連続殺人」シリーズ(主演:古谷一行)を想像した私。

オープニングは80年代の火サスそのもの。竹内まりやの「シングル・アゲイン」と「告白」を足して割ったような、友近が歌うテーマ曲も、いやぁ実にあのころっぽくていい。

主人公のフリーライターを友近が、カメラマンをモグライダーの芝大輔が演じている。片平なぎさと船越英一郎の「小京都ミステリー」を彷彿とさせる役柄に思わずニヤリ。というか、役柄そのままやんけ! BGMもあのころの2時間ドラマ的で、さすがである。

芝は小京都シリーズでカメラマンを演じる船越英一郎の再現率が高すぎる! 主人公に好意を寄せていてアプローチするものの、適当に軽くあしらわれるというところまでそっくり。飄々とした姿や、せりふ回しにものすごく味がある。ちょっと抜けてる相棒役がぴったりである。

友近は2時間ドラマ特有のちょっとクサイ演技を見事にとらえている。驚き方や視線、仕草まで、とにかくすべてがそれっぽい。なんと芸達者な人なんだろうか。

ホテルや名物・名勝のどアップ。ぎこちなくも熱演する地元のエキストラ。主人公はなぜか事件に巻き込まれやすい体質で本業をおろそかにしがち。地方の刑事は基本的にボンクラ。とりあえず犯人は崖へGO! といった2時間ドラマのお約束は健在。ストリップ劇場でヌードシーンがないのは時代の流れで仕方がない。かつて昭和の時代は、すっぽんぽんのシーンが大っぴらに映って、家族でテレビを見ていたときには気まずい空気が流れたものである。

ドラマの合間のコマーシャルも秀逸。実在の企業で、映像はあのころの昭和風。こういうCM、あったよねぇ。初めて見るのに、なんか見たことあるわ、という気持ちにさせられ、懐かしさが止まらない。

2時間ドラマといえば、お決まりの展開に予定調和が特徴(※重厚な社会派ドラマも同じ枠で放送されていたが、再放送もあまりされないところを見ると、そうした社会派モノは人気がないのかもしれない)。今回の「道後ストリップ嬢連続殺人」は、まさに予定調和のオンパレード。しかし、オーバー気味なクサイ演技も、出演者でだいたい犯人が想像できる点も、崖で解決する点も、これこそが2時間ドラマの美学と言えよう。動画の再生回数は200万回を超えている。各局が2時間ドラマから撤退した今、これだけ需要があるのだから、もうシリーズ化すべきなんじゃなかろうか? 第2弾を楽しみに待とう。


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