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社会主義vs資本主義という構図の崩壊

1991年にソビエト連邦が崩壊し、資本主義陣営の勝利が決まってからの30年間で、資本主義も崩壊しようとしている現状を目の当たりにしている。それに変わりうるような経済および政治のシステムというのはありうるのだろうか。今や誰もが気にする問題であるが、決定的なオルタナティブが見つかる気配は一向に訪れない。

21世紀の行く末を展望するには20世紀の歩みを振り返らねばならない。20世紀はこの世界は大きく姿形を変えたが、その原因は様々だ。一つには技術革新が挙げられるが、それは「工業化」と一括りにできるかもしれない。工場と機械生産によるモノの大量生産、そして建設技術による都市化は物理的に世界の姿を変えた。その工業化をベースにしながら、「情報化」がよりドラスティックに進んでいく21世紀は、そこまで大きく物理的な風景の変更はないかもしれない。しかしそれが本当かどうかは現時点では誰もわからないだろう。


20世紀に起こったもう一つの大きな要因は、政治と経済の形態である。マルクスによる共産主義、つまり「社会主義」とも言われる政治形態。これは経済に置き換えると「計画経済」となる。それに対して、一方で個人の自由を尊重する「民主主義」や「資本主義」と言われる政治形態。これは経済では「自由経済」ということになる。政治形態と経済の形態は密接に結びついているが、我々はこうした言葉の意味を混同しがちである。20世紀は社会主義と資本主義という二つの言葉にこれらの言葉が包含されていたが、今やそれがバラバラの概念になってきている。

社会主義なのに自由経済の中国のような国が出てきたり、民主主義なのに計画経済の様相を呈してきた日本のような国もある。社会主義vs資本主義という単純な構図が崩壊する中、今一度、「資本主義」「社会主義」「自由主義」「民主主義」「自由経済」「計画経済」などが意味することをが何かを見極めねばならないだろう。それだけではなく、電子マネーの台頭、不換紙幣の流通、赤字財政、基軸通貨への不信などから「貨幣」「通貨」が意味するところも見直さねばならないし、グローバル社会や流動化の中で、そもそも「税」「国家」が意味するところも問い直さねばならないのかもしれない。つまりは全てにおいてまなざしをもう一度向け直さねばならないのだ。


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