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親指の哲学

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フェイスブックでの日々のつぶやきをアーカイブするページ。ひと月ごとに投稿をまとめて、適当なタイトルをつけています。スマホでいつも入力するので、親指が思考しているかのよう。
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#親指の哲学

「ニセモノがホンモノになってしまった世界」(2023年11月)

●11月1日/1st Nov 国立民俗学博物館が発行する「月刊みんぱく」にハナムラの論考を載せて頂きました。今回は「ニセモノの創造力」という特集で、僕は「ニセモノとホンモノが反転するとき」という論考を書いております。どこかで手に入れた方は是非お読み下さい。 ●11月2日/2nd Nov 小野龍光さんとの対談を終える。東大で生物学を修められた元IT企業の社長で、社会的には成功者と言われる方が、インドで突然得度なされたという。彼は仏道を歩み始めて一年、僕もスリランカの僧侶に仏

「教育・脱教育・反教育」(2023年10月)

●10月2日/2nd Oct  土曜の「ヒトの学校」では、主にルールについての話題が中心だった。校則について疑問や不満、校則をなくせばどうなるのかの思考実験、ルールがあるからこそそれを言い訳に誰かと円満に出来るという意見など、「ルール」と「逸脱」について色々と意見が飛び交う。 その中で印象的だった一つは、「髪を染めること」との是非。髪を染めてもいい校則がある学校なのに、染め方が"あるライン"を超えるとダメになる。そのラインが微妙で、先生の都合によって決まっているのでは無いか

「内なる宇宙へ」(2023年9月)

●9月2日/2nd Sep  京都クオリア塾のOB合宿に一泊二日で講師として参加する。クオリア塾は2007年に堀場製作所の堀場雅夫最高顧問が京都の学者に呼びかけ、2007年に発足した研究会が元になっている。  今年で第9期だが、村田製作所や島津製作所、京セラや一保堂など会社を超えて企業人が研修し交流する集まりになっている。元京都テレビのディレクターの長谷川さんがコーディネートして、学者が講師として話をするが、僕は第6期と第8期でお話させてもらった。  そのクオリア塾のOB

「光と闇と色彩と」(2023年8月)

●8月1日/1st Aug  長老との対談の中で、輪廻転生のメカニズムについて何度かやり取りしているが、その中に"人工知能への転生"の可能性について二人で話している下りがある。このあたりは超絶面白い所だが、日本のアカデミズムではキワモノ扱いされてしまう。  こういう箇所を原稿整理の際に落とすべきか悩む所だが、忖度して世に出ないのも勿体ない。結局は誰が読みたいのか、そして誰が応援してくれるかにかかっているのかと。 ●8月2日/2nd Aug  後期の「環境デザイン通史」、デザ

「意図とは違うことが起こる」(2023年7月)

●7月1日/1st Jul ヒトは「正しい動機で正しい行動をし」、「間違った動機で間違ったことをする」。それはある意味で原因と結果が直線的な因果法則で結ばれている場合だ。 それに対して、自然界には運動方向に対して90度の方向に働く"プリセッション"という力があるため、直線的な因果関係で物事が進んでいかないことがある。それが未来を予測することを困難にし、物事を計画通りに行かせない要因になったりする。 このプリセッションが働くので、ヒトは「間違った動機から正しいことをする」場合が

「現実とはフィクション」(2023年6月)

●6月2日/2nd Jun 芝公園の中にある丸山古墳をフィールドワークする。今回はトリフィールドメーターを持って諸々計測もしたが、もう少し手法の検討が必要。丸山古墳とその麓にある円山随身稲荷大明神は増上寺の裏鬼門にあたり、ここは洪積層の地盤上だ。ここより下は縄文期には海だった。 当時の岬にあたるこの場所に増上寺が作られ、東京タワーが作られていることは偶然ではないように思える。我々が考えている以上に現代というのは古代からの影響を受けている。それを知っている者は意図的に場の力を

「ゆっくり育つが急に終わる」(2023年5月)

●5月1日/1st May 「しゃべる者は知らない、知る者はしゃべらない」 ●5月3日/3rd May まなざしの革命放送をポッドキャストで続けて来たが、もうそろそろ潮時かなと感じている。これまでの放送がどう受け止められたかはあまり聞こえて来ないが、続ける意味を失いつつあるということもある。 それ以上に、そもそも聞いたところでシステムに絡め取られて何も出来ず、他人事として眉をひそめながら神妙そうに理屈を語る大人しかいないならば、直接子供に語った方が良いのではないかと思い

「神話の考察」(2023年1月)

●1月1日/1st Jan 新年明けましておめでとうございます。旧年中はお世話になりました多くの方々にとっても、本年が良い年でありますように。  僕自身は今年は世界がどうであろうと良い年にすると決めたので、その方向に進んでいく。新年早々に、文化人類学者の辻信一先生から出版前の新刊本「ムダのてつがく」が届き、幸先の良いスタートを切る。 ●1月3日/3rd Jan 元々、初詣になどほとんど行ったことがないのだが、呪のレイヤーを理解すると里宮での遥拝からますます足が遠のく。そんな

「ほんのわずかな時間に」(2022年11月)

●11月1日/1st Nov 今日から11月に入る。世界情勢や政治的な状況について、今更ここであれこれ言うつもりはないが、報道されてることもされていないことも併せて総合的に見ると、かなりなことにはなってきているように思える。アメリカ大統領の中間選挙も迫り、今月あたりから山場に差し掛かるかもしれない。 丁度一年前に「まなざしの革命」を書き上げた頃は、まだ何とかなるような気もしていたので、ギリギリの所を書いた。もちろんその後もあちこちで訴えかけては来たが、そもそも聴く耳を持たな

「二度と会うことはあるまい」(2022年9月)

●9月3日/3rd Sep 本日は関東の桐光学園で講演。この学校は「大学訪問授業」という名物プログラムがある。現校長の中野先生を中心に2004年から続いているプログラムで、毎回講師で呼ばれる方々が豪華なことで有名。  2007年度からは講義内容が書籍化されて、20刷を超えるぐらいのベストセラーになっている。(ちなみに昨年は表紙に大友克洋のAKIRAが使われていた)  今年の講師もドミニク・チェンさんはじめ豪華なメンバーで、「まなざしの革命」の帯を書いてもらった山極壽一先生や

「世界のはじまり」(2022年8月)

●8月3日/3rd Aug  今年に入り、にわかに「戦争」がリアルに感じられる局面に入ってきた。未だ遠くの国で起こる惨事だという認識を持っているかもしれないが、もう既に着々と準備は進められていると見ていいだろう。  それは情報操作、価値観の刷り込みが浸透したままでの我々の日々の小さな選択や一人ひとりの意思表明、そして何より「関心の低さ」よって徐々に導かれてきた。  少し長いが今一度、拙著「まなざしの革命」の第三章「平和」から以下に引用する。この章は元々「戦争」というタイトルだ

「因果の賜物」(2022年5月)

●5月2日/2th May Instagramに書評を上げてくださっている方が。Amazonの書評も増え始めていてありがたい。出版より三ヶ月。そろそろ一気に拡まってくれればと願うが、こればかりは僕の手ではどうしようもない。こうやって皆さんに助けてもらうしかない。感謝。 ●5月4日/4th May 2018年に大阪のアトリエ「b」を看取り、その後、美術館での作品制作や企業のモニュメント施設のデザインなどをしている時にパンデミックとなった。 本年度から所属が変わり経済学研究科

「違和感の正体」(2021年11月)

●11月2日/2nd Nov ポッドキャスト 「まなざしの革命放送」 Vol.005 統計データは信用できるのか 私たちは実感できない何かを把握する時に統計や数値を頼りにします。でもその数字は本当に信用できるのでしょうか。多くの人が気になっている統計について少し考えてみます。 ●11月4日/4th Nov SNSはメモ代わりに使ってきたし、読んで考えさせられるという声もあったので、10年ぐらい続けてきたが、昨今の情報規制にもうそろそろ限界を感じる。大事なことは「まなざしの革

「それぞれの革命」(2021年10月)

●10月4日/4th Oct 本日、ようやく脱稿した。長い戦いだったが、結局19万5千字に及んだ。もう体力と能力の限界で、これ以上は今の自分からは出てこないだろう。 これが出版される頃に世の中がどうなっているのかはわからない。だからひょっとしたら読んだ友人の半分を失うかもしれないし、結果がどのように受け止められるのかはわからない。だが、力の限りを尽くして書いたので、どのような評価になっても甘んじて受け入れられそうだ。 結局僕らは、何かの問題が起こったとき、いつでも人や何かに原