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オーダー雑感

オーダーといっても、飲食店での注文のことです。
そのオーダーを通す際の用語のことで、最近ふと気になったことがあります。

ホールのスタッフが厨房へオーダーを通すとき、トレンドなイタリアンなどではお決まりのようにイタリア語(もどき)を使うようです。
高級フレンチでは、それこそ昔からフランス語(もどき)を使ってオーダーを通していますね。
中国料理でも、少し高級なレストランでは中国語(広東料理では広東語)でオーダーしてます。
(街の中華でも「珉珉」などでやっているようですが。)

なにげなく聞いているとそれがその料理店独特の雰囲気(それぞれの国の)を醸し出し、違和感もないように思うのですが、よく考えると不思議というか可笑しいのです。
スタッフは、厨房はもとよりホールも全員が日本人なのに、なんで? と思うからです。

まだ、日本の調理人にその国の料理に長けた人材がいなかった時代、フレンチでは本国フランスから然るべきシェフを招聘したり、中国料理でも同様に現地の調理人を招いてたりした時代がありました。
そんな時代には、日本語に不自由な彼らにより素早くオーダーを伝える為に、注文伝票にメニューを原語で記入し、口頭でもその国の言語で伝達するのが正確な業務の遂行には欠かせなかったでしょう。

しかし、時代は流れました。
今ではほとんどの料理に、それぞれの調理技術に精通した日本人の料理人が多くいるのです。
また、実際に働いているスタッフは日本人だけという場合が大抵であるでしょうし、例えばイタリア料理店で働いているようなイタリア人は、ほとんどが日本語を理解するのではないですか。

スタッフの士気を向上させる為にも必要である、などという理由もありそうですが、士気は上がっても肝心の料理がそれなりなのであれば何をか言わんやであります。
日本語などでオーダーしていたら、その業界で恥ずかしいから? 
他の店に異動した際などに、通用しなくなるから? 
なんとなく、前からそうしていたから… ぐらいの理由しかない様に思うのですが。
つまりは語弊があるにしろ、はっきりいって格好を付けているだけではないでしょうか。

なぜこんな疑問を抱いたかというと、行きつけの中華料理屋でそこのスタッフは全員が中国人、在日華僑の方が家族で経営されている街の中華料理屋ですが、そのお店ではオーダーを日本語でしているからなのです。
家族全員が中国人なので、その方々同士の会話は中国語です。

なのに、料理のオーダーを通す際にはメニューに記載してある日本語の表記で通しているのです。
片言ではありませんが、すこし訛りのある日本語でオーダーを通されるのを聞いていて、この疑問に突き当たったのです。

お客は、ほとんどすべてが日本人です。
そこでは、自分たちが聞いたオーダーが正しく厨房へ伝わっているか、お客にも確認してもらう意味で、あえて聞こえるように日本語でオーダーを通しているのではないかと推測するのです。

この店の考え方でゆくならば、世の多くの格好付けのトレンド店でのもどきオーダーや挨拶は一体なんなのであろうと思います。
イタリア料理店で、日本人スタッフに「グラッツェ」と言われても、意味は分かりますがここは日本だよといいたくもなります。
なにが「ペルファボーレ」なのか、いい加減にしたらと思うのは年寄りの繰り言でしょうか… 

素人が仕事のやり方に口を出すな、と言われそうですね。(笑)

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