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職人の矜持 出汁巻きの思い出

今年、2021年のお正月のことでした。
〆のお蕎麦をいただく前に、いく品か蕎麦前を頼んでいたのですが…

出汁巻き玉子もお願いしてました
厨房から卵を溶く音とのちに焼き鍋にタネを落とす音が聞こえてきます
もうすぐ焼き上がるのだと期待が膨らみます

ほどなくして店主がホールに出てきて言うのです
「すみません、卵がいつものように巻けないので、申し訳ないですがお出しできません。」と

正月休みで市場が閉まっており、いつもの玉子が入らなかったとのこと
店主の納得がゆく調理ができないので出せない
なんという浄い言葉でしょう

調理人、蕎麦職人としての矜持に満ちてます
この樹庵さんを、またより深く気に入ってしまいました

そのまま黙って出していれば、恐らく私は気がつかなかったと思います
私は鈍舌なので、ほとんどのものは美味しくいただきます

その私に、満足できない料理は出せないというのです
ありがとうございます、ご馳走様でした~

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於 樹庵(きあん) 十割蕎麦と吟醸酒 四条壬生川通下ル

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