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パスタをお箸で~?!

トレンドなパスタ屋では、お箸がセットされているらしいですね。
話には聞いていましたが某サイトのコメントにも記されていたので、この著名チェーン店では「お箸でパスタ」のスタイルが定番なのでしょう。

お箸は、食事の用具としては素晴らしいものだと思います。
古今東西の食器文化の中でも長い歴史を持っていますし、正しく使うならばその食事の際の仕草も実に美しく映るからです。
ただし、それは和食を中心とした皿の中に完成された料理が提供される食文化圏でのことだと思うのです。

包丁の調理文化の異なる西洋料理では、まだお皿の中でナイフで切るという操作が残っています。
切るという、視点を変えれば少々乱暴な行為を食卓で行い、さらにその食事をフォークで突き刺して口へ運ぶという、些か野蛮な食の形態が西洋のマナーであります。

これに対して、お箸の文化圏(特に和食)ではこんな野蛮な仕草はありません。
器の中の料理はその調理段階で既に完成されており、食する人は優雅に料理をお箸で口に運ぶだけという美しい仕草で食が完結するのです。

ちょっと日本料理を賛美しすぎましたが、それぞれの食文化にはそれに適した食事の用具がある、ということを言いたかっただけです。
本題に戻って、パスタはやはりフォークでないと食べ難いでしょう、ということなのです。

ナイフやフォークを使い慣れていない人にはお箸はそれは便利でしょうが、なんでもかんでもお箸という訳にはいくまいと思います。
だいたい、パスタなどそのツルツル具合はうどんや蕎麦どころではないでしょう。
その滑り落ちるパスタをお箸で一体どうやって食べろというのでしょうか?

さきほどのレビュアー氏も、そのコメントの中で食べるのに難儀した旨を書いてらっしゃったのですが、啜らずに食することが難しかろうことは容易に想像がつくというものです。
このパスタ屋の経営者や店長たちは、自分たち自身がお箸でパスタを食したことがあるのでしょうか? 

卓上にフォークがあった上で、お箸もどうぞというスタイルなら話が分かりますが、そのパスタ屋では卓上にはお箸のみのセットだったというのですから、それで啜り上げて食べろということなのでしょう。
江戸前の蕎麦を粋に啜っているのではないのですから、こんな食事のスタイルを提案しているということは、言い換えればイタリア料理の食文化を馬鹿にしていることに他ならないでしょうか? という疑問も出てきます。

なんでも行き当たりばったりで、トレンドの上辺だけをなぞるからこうなるのですね。
パスタ屋のお箸、何とかしてください。

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