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はじまりの物語⑤ 社



あの日を境に状況は一変した

ひんやりと気持ちの良い水辺で
優しい風に応えるように
涼しげに葉を揺らす木々の音
そんな中で過ごす安らぎのひとときが
にわかに騒がしくなった

昼夜を問わず
あの奇跡の正体をあかそうと
興味本位で立ち入るもの
『重い』がなくなるように
『願い』にくるもの
さらには奇跡に
正体というものがあるのなら
村に留めおき
わが村、我が一族の繁栄を長きにわたらせたい
そんな権力者がかけた報奨金目当てに
血眼になって
探りにくるものもいる


そろそろ ここも潮時か

天上に戻るとするか


その前にあれを取りに行かねば、、、


蛇はキレイなものがすきであった
そしてそれを集めて
水と光によってキラキラとキラめく様子を
眺めるのがなによりの喜びであった

思いのほか長く住み着いてしまったのは
『重い』を外に出すたびに出てくる
キラめく玉に魅了されていたからだ

よし、これで全部だ
蛇はキラキラと輝く まあるい玉を

大切にお腹にしまい込んだ

そのときだった

不意に頭の中にイメージが流れ込んでくる

気がつけば縄が張り巡らされた社の中に
入っていた

しまった
まんまとやられてしまった


蛇使いの血脈とでもいうのであろうか
人間の中には蛇を操る一族がいる


蛇語が使えるなんて話をするものがあるが
『コトバ』ではなく『イメージ』の使い手だ
蛇は『コトバ』によらず
そこにある そのままが
そのままの状態でダイレクトに入ってくる

その『イメージ』をさもあるように作り上げ
蛇を混乱させて思い通りにしてしまう

ここであったが100年目
いや、もっとであろうか
またやられてしまった


蛇は観念して社を住処とすることにした


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これは なんのはなしです果 のはじまりの物語

⑥に続く

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投稿のペースが早くてすみません💦
まとめて読みでも大丈夫です

だれへの
なんのはなしですか

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