命をいただく
仕事で牛と豚を育ててと畜して加工してるところに行ってきた。
その日は豚のと畜日。次々と畜の部屋に行くトンネルをくぐっていく。強烈な鳴き声。恐怖のあまりショック死している豚もいる。でも翌日と畜予定の牛たちは静かだった。工場の人が、牛はかしこいんですわかってるって言ってた。
牛、人懐こくてめちゃかわいい。でもその子たちは1年以内に肉になる。牛舎の人が「この子かわいいでしょ」と言ってて、でもその子もいつかと畜するわけで。その気持ちの切り替えってどうなってんだろうと、辻褄の合わせどころがわからず、頭の中がぐるんぐるんしながら帰ってきた。
牛舎はすごい匂いなんだけど、それすらだんだん気にならないくらいじっくり見てると牛たちがかわいくてかわいくて。私が動くとついてきた。
肉を食べるのは悪ではないとは思ってる。でもなんで食べなきゃいけないのか。
不意にさかなクンをググった。
「どの生き物も、他の生き物を食べないと生きていけないんですよね。だから感謝していただきましょう」
今日ほどその言葉が響くタイミングはない。
肉の加工を見た直後にお昼に肉を出してくれた。「命をいただく」というほんとうの意味を身をもって知った。忘れられないものすごい経験だった。
とはいえ、元々肉売り場とかミンチとかを見ると、もしこれが自分だったら…と想像せずにはいられない自分には、と畜を見た直後に、美味しい❤️とはきっと一生言えないんだろうと思う。
ここまで書いておいてなんだが、私は好き嫌いの理由で肉全般が食べられない。今日ほど食べられなくて良かったと思う日は今後ないかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?