カツ丼とカツ重の存在意義について

ツイッターのフォロワーに頂いたお題について書いてみる。

言われて見れば「カツ丼」と「カツ重」の違いについて人生で考えたことがなかった。そもそも明確な定義があるのだろうか。「カツ丼は丸いどんぶり、カツ重は四角くて赤い高そうな箱」という頭の悪いイメージしか持ってない。

ググってみると日本が誇る叡智の結晶ことAHOO知恵袋、もといYAHOO知恵袋の回答がヒットした。「カツ丼はどんぶり、カツ重はそれが重箱になっただけ」とのこと。イメージそのまんまだった。カツ重は、単にカツ丼に高級感を付加させただけの存在のようだ。まずい。話が終わってしまいそうだ。初記事なのに。

もう少し膨らませよう。

カツ丼とカツ重ならカツ丼の方が身近でメジャーなイメージがある。そもそも自分はカツ重を食べたことがないかもしれない。カツ重は1800円くらいしそうだ。一方で、うなぎに関して言えば「うな丼」よりも「うな重」の方がよく目にする。うな丼といえば松屋だかで700円くらいで猫の額くらいのうなぎが一切れちょこんと乗ったものを想像する。よっぽど脳内がうなぎに染まっててうなぎしか食べたくない日じゃない限り注文しないやつだ。

この差はなんだ。うなぎは生まれついてのエリートなのか。うなぎは物心ついた時から重箱というファーストクラスの柔らかいシートが用意されているのか。

カツは、カツは違う。あいつは臭い豚小屋で生まれたんだ。自分が固い肉だってことを知っていながら、腐らずに努力した。柔らかくなるように自分を叩いたし、衣を身にまとっただけで油断せず、さらに卵と玉ねぎまで味方に付けた。普通は衣をまとった時点で大抵の人は満足する。「俺はもうタダの豚肉じゃない、カツに昇格したんだ」と。アイツはそれで終わらなかったんだ。

それに比べてうなぎは何だ。旨みと栄養価にあぐらをかいて、ただ焼かれてタレをかけられただけじゃないか。天然地下水で養殖された活きの良いうなぎが鮮度を保ったまま熟練の技術で素早く捌かれ、選び抜かれた国産の備長炭の上で焼きを極めた職人が何度も手返しをしてじっくりと焼き上げられたに過ぎない。秘伝のタレをつけては焼くを繰り返すことでべっこう色の艷やかな光沢と、外側はパリッと中身はふわっとした食感、芳醇な香りと旨みがぎっしりと詰まった、何の価値もない料理だ。こってりして美味いくせに各種ビタミンやカルシウム、また悪玉コレステロールを減らしてくれたり血流を良くしてくれるDHAやEPAなどの良質な必須脂肪酸も含まれていてとてもヘルシーなのが嫌味ったらしい。


うなぎ食べたくなってきたな。松屋行ってきます。