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詩を戯曲にして頂いた話

以下の詩は10年位前(多分)に書いた詩です。
自分ではすごく気に入っていて、書いた当時のことを思い出すと、今でもあの時はこんなにも辛かったんだなーと感慨にふけってしまう。
その当時の私の近辺に関することなんて一行も書いてないのに、当時抱いていた魂を込めたから読むたびに辛さが蘇ってしまって、それがまた、愛しいのです。

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「弔い人形」

なるべく私に似た人形を探す
わずかな共通点でも、あれば良い
髪の長さや笑顔の醜さ
眼のうつろな度合い
ひとつでも似ているところがあるならば、それで良い
わりと容易く見つけられるものだ
私が
人形に似ているせいなのかもしれない

贈り物用として包装してもらう
たまに、のし紙をお付けしましょうかと問われると
哂い出しそうになる衝動を抑えて
要らないと断る
のしなど貼って何と書けと言うのだ

銀色に蝶結びされたリボンを解き
私は私に似た人形を抱き上げる
薄っぺらな笑顔に微笑み返す

お前に
私の名をやろう

私と同じように髪の毛を切りそろえ
赤すぎる唇を白い絵の具で薄め
せめて頬紅を差してやり
死化粧を終えてようやく

ハサミを振り下ろす
胸を中心に何度も 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も突き刺す

私はねえ
死にはしないと約束してしまったの
私と、あの人に約束してしまったの
だからお前 私の代わりに死んでおくれよ
何がどうあろうと生きねばならない私に代わって
死んでおくれよ

ざんばらになった黒髪を整えてやり
元通り包装箱に納め
仕上げに真っ赤な絵の具をぶちまける

それからようよう
私はむせび泣く
泣きながら菊の花びらを一枚ずつちぎり
私の名を持つ人形に振りまく
ごめんねえ
かわいそうなことをしてしまったねえ
かわいそうに
かわいそうに
そして
なんと、うらやましい

リボンはかけずに
裏の庭に深く、深く埋める

さびしがらなくとも良いよ
お前に似た、同じ名の人形が
そこかしこで眠っているから

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この詩をですね、
Online Writers' Club@脚本•戯曲
(@owc_zoomengeki)
略してOWCの花緒さんに戯曲にして頂きました。

私、戯曲ってよく分からないんですよね。
シェイクスピアと、O.ヘンリーをいくつか読んだ程度で。

分からないまま、誘われるまま、この「弔い人形」を花緒さんに託してみました。
したら!!
一読した時、まず愕然とした。
それから、腹の底から嬉しさと感激が込み上げてきた。
それから猛烈に悔しくなった笑
「なんでこれ書いたの私じゃないんだろう!?」ムキーーー!!!って。
この「弔い人形」私以上にうまく書けるはずないんですよ、だって書いたの私なんですよ? 
なのにねえ、もうほんと、こんなにも面白く書かれちゃお手上げ、と思うほど、その戯曲化された「弔い人形」は最高だったんです。

あとで、その戯曲にして頂いた「弔い人形」をリポしますね。
ぜひ読み比べて頂きたいです。

非常に興奮する体験でした!
でも実はまだあと一作、お渡ししているから、もう一回この興奮が味わえるのかと思うと、ただいま現在午前2時過ぎの真夜中、ひとりでニヤニヤしちゃうのでした。

花緒さん、本当にありがとうございました。ぺこり。