8 大切にしていること その1

はじめに(チームより)

 フローレンスは、親子を取り巻く社会課題の解決を目指しているNPOで、現在、約数百名が所属しています。多様なメンバーの「働く」を支えているのが、法務・総務業務を主に担っている通称「オペレーションズ」です。
メンバーは、普段は現場で働く保育スタッフや、特別支援学校を卒業して入社したスタッフなど、色とりどり。

 バックオフィスの仕事現場やその思いを、個性的なメンバーがリレー形式で紡ぐ言葉から感じ取っていただければうれしいです。

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こんにちは。フローレンス総務 企業在籍型ジョブコーチです。
今回は、私たちが障害のあるスタッフとともに働く上で、大切にしていることをお伝えしたいと思います。

※この記事では、フローレンスの障害者雇用スタッフのことを所属チーム名の「オペレーションズ」と記しています。


『ビジョン』と『ミッション』への共感

 フローレンスで働くメンバーは『ビジョン』『ミッション』に共感して入社しています。

フローレンスのビジョン
みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともになんでも挑戦でき、
いろんな家族の笑顔があふれる社会

 私たちスタッフは、入社日に代表による『ビジョン研修』を受け、期待役割のトップ項目に『ビジョンへの共感』『ビジョンに基づいた業務遂行』を示されており・・と、日々『ビジョン』『ミッション』と向き合いながら仕事をしています。

もちろん、オペレーションズのメンバーにもフローレンスの職員として、『ビジョン』に共感して欲しい。『ミッション』を感じながら仕事をして欲しい。と、考えています。


就労前に「ビジョン」や「ミッション」

「フローレンスの事業」を伝える

 ともすると、障害者の方の就職活動は「自分のやりたい仕事」に就くことより「就職する」ことをゴールとしてしまいがちです。
 支援学校から受け入れている実習生も、進路指導の先生からフローレンスでの実習を薦められたのであって、事業内容を知っていたり、「フローレンスで働きたい」と考えて実習に来る生徒はほとんどいません。(もちろん、先生方は生徒の特性や個々の性格から、フローレンスとの相性を考えて推薦してくださっていて、私たちはそのことについて心から感謝しています。)

 私たちは、そんな彼らに「フローレンスで働きたい」と感じてもらいたい。彼らを「同じビジョンに共感している仲間」として迎えたい。という想いがあるので、実習中に「ビジョン」や「ミッション」「フローレンスの事業」をしっかり伝えています。


 フローレンスを就職先の1つとしてしか見ていなかったかもしれない実習生たちは『困っている人に手を差し伸べる』『社会問題を解決する』といったフローレンスの事業について、とても興味深い様子で耳を傾けてくれます。これまで、支援を必要とする立場だった自分が、「ここで働くことで誰かの役に立つ人になれる。」と感じたのかもしれません。
 フローレンスが運営する障害児関連事業に興味を持つ実習生が多いということも、彼らなりの理由があるからなのかなとも感じています。


 実習期間中にビジョン・ミッションを意図的に伝えることを始めてから、支援学校の先生方より「実習を通して、生徒の就労に対する意欲が大きく成長した」「積極性が出てきた」とのお声をいただくことが増えました。そして彼らは、毎年4月になると「困っている人の助けになる」という希望を胸に、ピカピカの社会人一年生として私たちの仲間に加わってくれています。


定期に「ビジョン」「ミッション」「事業」を伝える

 スタッフ育成のための研修は、どの企業も実施していると思います。私たちもオペレーションズメンバーのための研修を実施していて、今年度からは週1回の定期開催となりました。

 もちろん、スキルアップや社会人マナーなど、仕事に直結する内容も大切にしていますが、「ビジョン」「ミッション」「事業」については、年に数回、繰り返し伝えるようにしています。それは、日々の仕事に追われると忘れてしまいがちな『フローレンスを働く場所として選んだ理由』を思い出してほしいから。
このことが『働きがい』を持ち続けるために大切だと考えているからです。


仕事を任せるときには『関連する事業と背景』について説明する

 オペレーションズをサポートする私たちは、彼らに作業手順を説明するときに、作業の内容に関わらず(「押印作業」や「パンフレットへの修正シール貼り」といった単純な作業であっても)、依頼主が誰であるかを伝えるとともに、『どのような事業』の『どの部分』の仕事であるのか、そして、この作業の先に『どのような支援を必要としている人』が存在しているのかについて、きちんと伝えることを心がけています。

 その理由は、彼らには、日々の(小さな)作業の中でも、『親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する』メンバーの一人であることを感じていてほしいから。

 今では、私たちが伝え忘れると「この仕事は、どんなことにつながっていますか?」と質問されるほど、この説明は当たり前のことになりました。


 『自己肯定感』

 彼らはなぜ、『仕事がつながっている先』を知りたいのでしょうか。

 依頼された仕事の背景とその仕事の先にある未来を具体的に知ることで、「自分は誰かの役に立つ」の『誰か』をより立体的に感じることが出来るからなのではないでしょうか。そして、そのことは彼らが自己肯定感を高めることにつながっているように感じています。


フローレンスでの障害者雇用を通じて実現したいこと

 オペレーションズのメンバーには、「自らへの肯定感」と「未来への希望」を持って働いて欲しい。

このことは、フローレンスが運営する障害児保育のビジョンの一つである
障害のある子どもたちが、自らへの肯定感、未来への希望を持てる社会。
とつながっていています。


 障害のある子どもたちも「憧れの職業に就いて、誰かの役に立っている。」そんな未来を当たり前に想像できる社会にしていきたい。
 
 日本の社会全体を変えるには時間がかかるけれど、「障害があっても、自己肯定感と希望を持って活き活きと働いている社会」をフローレンスの中で実現することで、社会に訴えていきたいと考えています。


 いつかフローレンスの障害児保育を卒園した子どもたちと、一緒に働きたい。そんな思いを大切にしながらインクルーシブな環境を作っていきたいと思います。

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