後悔

当時の自分にとってはとても辛いことのように思えたけれど、自分のことを想っていない人の目を気にすることを止めれば、人生を改める選択が与えられていた。
洗いざらい母と一緒にやり直せる選択が与えられていた。

寒い冬だからこそ闇雲にできた頑張りも、いよいよ春が訪れて、明るみになる時期を前に、そこに留まる条件がなくなってしまい、母の住む家に戻った。

祖父母の座る同じテーブルに、母の存在に守られるかのように、隣に座り、窓の外が見渡せる一番いい席で食事をしていた。
鶯の鳴き声が、聴こえている。

朝起きて、寝るまで、家族を守る為だけに奮闘してきた。
他の誰もが気付かないことに気付いて、全てを準備して、食べるものや飲むものをゆったりと味わうことなく、忙しく動き回って、全てが上手くいくように、全部背負って、全て以上のものを届け続けてきた。
家族を愛している命に、人生を注いできた。
考え続けている想いも、何処にも溢さずに、結晶だけを、惜しみなく届ける。
愛の奇跡を起こして、届け続けている。
母は、気が遠くなるような膨大な量の仕事を、骨の折れる作業をして、繰り返し続けてきて、少しずつ想いが私の心に届くようになった。