召還

観音様に、千羽鶴を祀るお地蔵様に、水の中に立つお地蔵様、それから山の下の洞窟に祀られたたくさんのお地蔵様に御見守り頂きながら、敬意を込めて、歩道を歩く。
手を合わせて、祈る。
今まで、大変ご迷惑をおかけ致しました。
これからも、気を改めて精進して参ります。
これからも家族をお見守りください。
よろしくお願いします。

たくさんのお地蔵さんに手を合わせて、一つだけの想いを重ね重ね繋いでいく。
洞窟を出て、山の湧水を、とても美味しく頂き、それから、また祈りを通す。
何度も何度も家族に想いを馳せて、どこまでもどこまでも続きますようにと、天を見上げた。

お参りの後の、御神籤や御神酒を頂くと、ほっこりとして、自然と心が緩んでいる。
柴犬を連れた他の参拝の方がいる出口の風景は、のどかだった。

心の暖炉に、ほっと陽が灯り、お土産を見て回る。御神酒とお守りを家族に買って、木の周りの小さなお地蔵様にも想いをお伝えした。
ありがとうございます。
いつもお見守り頂きありがとうございます。
どうか、これからも家族をお見守りください。
私も精一杯精進して参ります。

最後の最後まで、想いが振り絞れるまで、気を見上げて、天を仰いだ。

最後の階段を下っていく。目の前は白く吹雪いていて、微かな濃い青色を残す山々を前に、再び孤独に戻りながら、寒さの中にゆっくり戻っていく。

一つ一つ、階段を下りながら、寂しさが込み上げていく。
家族にお饅頭をお土産に買っていると、たくさん余ったのがあるから、良かったらと、たくさん持たせてくれた。
私の顔を見て、目をみて、労って下さった。
ありがとうございます。
帰りのバスの中で頂きます。
元気を頂き、再びまた、駅へ戻った。
バス停の椅子に座って、バスを待つ間も、日が暮れた山々とどこまでも一人で、白い雪がずっとずっと舞っていた。

バスが来て、迎えが来たような安心感とともに、乗車して、一番前の窓際に座り、さっきのお饅頭屋さんに、やっと素直に心の内をお伝えした。
ありがとうございます。
本当にありがとうございます。
慰めを頂き、心から感謝します。
美味しいです。
暖かいです。
いつもありがとうございます。
どうか、これからもよろしくお願いします。
山々を眺めながら、暖かい想いと共に、帰りの景色と想いを重ね続けていた。