夢中

朝が来た。
青い空に、眩しい太陽、急に上昇した気温で、外の光がとても強く感じた。
幸せを沢山積み重ねてきたこの部屋が、急に小さな箱のように思えた。

ここで、ずっと過ごせてきたことが、急に不思議に思えた。

朝の光の中で、美味しいコ—ヒ—を淹れることが楽しみなのに、急に欲しくなくなった。

組み立てかけの電車が置いてある。
沢山の小さいパ—ツを探して、組み立て始めた。

子どもの温かさを、背中に柔らかく感じながら、子どもが大好きな電車を、無我夢中で組み立てた。

恐怖を打ち負かすように、手を休まず、目を凝らして、感覚を研ぎ澄ませ、喉の乾きも、朝から何も食べていないことも忘れるほど、無我夢中で組み立てた。

台所に行った。
既に昼食の時間だった。お腹を空かせていたんだと気づいて、急いで簡単な食事を準備した。

何をして喜ばせたリ、楽しませていいのか分からず、途方に暮れて、とても長く感じていたが、初めてあっという間に時間が過ぎた。

こどもの大好きな電車を作るために、無我夢中になったことで、小さいけれど、大きく実ったような気持ちで満たされていた。

何もかもが重たく感じて、滞らせるだろうと思っていた日々の家事を、身体が自ら進んでやり出した。
早く静かに考え込みたいと言っているが、身体が、あと少し、あと少しだけなら出来ると、一つ一つ、日々大事にしている家事をやり始めた。

洗濯機を回して、部屋を片付けた。拭き掃除をしたら、空気が澄み渡った。
いい温度のお湯を入れて、心地よくお風呂に浸かっている。
お風呂上がりの楽しい気持ちで、お腹を満たしてくれるように、美味しい食事を準備した。
気持ちがいい、いつもの家が戻ってきた。

みんなが美味しく夕食をとって、私は笑顔で、愛する子どもを抱きしめた。