恩人

従姉妹は、幼少の頃からいつも側にいてくれた。
優し過ぎるあの子に甘えて、大いばりしていた。

心から楽しいと思えた時には、必ずあの子が側にいた。

あの子の方が、私よりもずっとずっと大らかで、強い人だった。
優しすぎるくらい優しくて、純粋すぎるくらい純粋な心を、ひたすら自分の都合の良いように扱ってきた。

従姉妹の乗った車を窓から見た。あの子に向けて手を振った。あの子は、一生懸命に手を振り返していた。
こんな私を、こんなに好きでいてくれた。