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星の王子さまミュージアム

 3/10、ついに、ずっと行きたかった星の王子様ミュージアムへ行ってきました。

 3月いっぱいで閉館してしまうと去年知り、行かねば行かねばと焦っていたのですがなんとか行けた……! 数年前に星の王子さまが好きなフォロワーさんに「星の王子さまミュージアムは聖地ですよ!」と言われてからずっと行きたいなと思っていたので本当に行けてよかったです。

 中学生のとき星の王子さまを読んで以来、ずっとこの作品をこころの一番大切な場所にしまって生きてきました。それくらい大好きな作品です。


 ミュージアムにはサン=テグジュペリの貴重な資料や写真がたくさんあって本当に見ごたえがありました。展示方法も目が楽しい。サンテックスの人生略歴についてももちろん一応は知っていましたが、彼の写真や再現部屋を見ながら詳しく足跡をたどっていく体験はとても楽しかったです。

 すごいな、と思ったのが、思想的な押し付けがほとんどなかったこと。サン=テグジュペリは星の王子さまをはじめとする小説作品でも、エッセイ『人間の土地』でも、独自の思想を展開しています。彼はスペイン内戦や世界大戦のただなかを生きたパイロットですから、平和というものに対しては彼なりの哲学を持っていました。

 このミュージアムでは、星の王子さまに紹介されてるサン=テグジュペリの思想を紹介しつつもそれを決して来訪者に押し付けませんでした。星の王子さま以外の作品については概要を軽く説明するに留め、その内容に深く触れることもありませんでした。

 だからとても見やすかったです。サン=テグジュペリの思想は素晴らしいけれど、どんな思想であれ第三者が紹介する場合には客観性がなくてはならないと私は思います。その意味で、押し付けがなかったのは安心できました。

 また、星の王子さまを教訓を説いた道徳的な読み物として紹介するのではなく、サン=テグジュペリという一人のパイロットの人生から生まれた愛される小説として紹介するという姿勢は共感できました。サン=テグジュペリはそんなに完璧な人間でもありませんでしたし。彼は浪費家で、浮気性で、無謀な人間でした。

 だからこのミュージアムが思想を押し付けることなく、淡々とサン=テグジュペリの人生を説明してくれたのはとても面白かった。それは星の王子さまという作品の力を信じているからできた展示構成なのかもしれません。作品を読めばサン=テグジュペリの言いたいことは伝わるから。


 ミュージアム施設以外のインスタレーションもよかったです。星の王子さまの世界観が広がっていて楽しかったし、サン=テグジュペリの幼少期に思いを馳せる経験は貴重でした。王子さまが旅の中で出会った星の住人たちがいたるところにいてかわいかった! 彼らはサン=テグジュペリが批判した「大人」像ですが、同時にどうにも憎めないキャラクターたちです。改めて彼らのことも好きだなと思いました。蛇がいて息を飲んだりもしましたし、ふらふら歩いて井戸見つけた瞬間は涙出るかと思った。


 家族連れで訪問する層がメインだろうし子供向けのミュージアムなんだろうなと思っていたら大人一人(星の王子さまガチ勢)でもちゃんと楽しめる施設でした。行けてよかった本当に……。


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