見出し画像

5月23日

King & Princeさんが、5月23日に5人から2人になった。

私は酷い失恋をしたことがない。だからこんな気持ちになる自分を初めて観測した。沖縄で雪が観測されたら人々はその珍しさに喜ぶけど、私はこんな思いなら経験しなくても良かったよと思った。できるだけ他人に執着したり依存したりしないように生きてきたつもりだったので、別れに涙を流す自分が新鮮だった。

こういう失恋が、世界では毎日起きてるんだなと考える。最初は自分のことしか見えていなくて、今こんなに寂しくて悔しい思いをしているのは私だけなんだと思っていた。でもふと、多くの人が経験する、結構メジャーな感情なんだと気がついた。

だからといってこの苦しさが軽くなるようなことはないけれど、この世の終わりだよ〜んと感じることは減った気がする。まぁまぁありきたりなことなんだと思うと、私もみんなと同じように乗り越えなくちゃいけないんだと思えてくる。でもこんな悲しいことがありきたりだなんて、人生はつらすぎませんか?人間ほんとにみんな偉い。

ただ救いがあったとすれば同じ気持ちでいる人たちがスマホを見れば多くいるということだった。彼らの活動を追うためのアカウントを持っている。相互フォローの人は数えるほどしかいないけど、それでも存在が心強くて何度も励まされた。戦友のようだと思っていた。
それぞれに好きなメンバーがいるので、本人たちが別々の道を歩む故それを追うためアカウントを移したり消したりする人も珍しくはなく、そこの寂しさもあった。音楽番組を見ながら実況ツイートしたり大きな仕事に大喜びしたりした、いつもそこにいた人の存在がもう感じられなくなるということは思ってた以上に寂しいことだった。でもこれもまたどうすることもできないなと思ってただ受け入れるしかなかった。残った人は、これからもよろしくねという感じで。脱退・退所の発表があった日のタイムラインは阿鼻叫喚のお葬式状態で見るに堪えないむごたらしさだったけど、5人最後の瞬間にはみんな口々に感謝を伝えていて、愛はここにある、と思った。

私は完璧主義のきらいがあるから、何かを好きだと感じても、これまでの活動すべてを履修する元気があるか…?いやないな…と考えてそこで追いかけるのを断念してしまう。にわかになりたくないのだ。しかしだからといってオタクになるぞという覚悟も持てない。

そんな私がどうしてKing & Princeさんのオタクになったか。それだけ夢中になったから、と答えることは簡単だけど、そんな都合のよい答えはしない。あの頃は、このままハマったらどういう風になるかということがただ分かっていなかっただけだった。ただの写真を何百枚も買うことになること、CDやDVDを全形態揃えることになること、ツイッターに自分のアカウントを持つようになることや、叶わない片思いに苦しくなることも、何も予想していなかった。そんなことは考えず、気になるから調べるただそれだけだった。気づいたらオタクだった。そういう点では、何も分かっていない中学生の時に出会えて幸運だった。今あのときのような勢いでずるん!と沼に落ちることができるかというと分からないから。シンデレラガールのミュージックビデオをたまたま見て岸優太さんに惹かれて、そこからは本当に早かった。いつの間にか今日だよ。

5月23日になった瞬間に、アーティストページの5人の写真が2人の写真に置き換わった。それまでどこか現実味がないと思っていたのにそれを見たとき、本当に思い出になるんだなという実感が「やっほー!」とでも言うようにやってきた。5人のKing & Princeが永遠に変わることのない過去として固定されてしまうんだと思うと、やるせなくてボロッボロ泣いた。進化した色んな姿を見せてくれるのがいつも楽しみだったのに、もう今後一切5人の形で更新されることはないんだ。完全に過去となって、時間が経つにつれて私からどんどん離れて行ってしまうんだ。もう私は亡霊間違いなしだろと思った。

それでもどうにか前を向かなくてはと思うのはKing & Princeという名前で活動を続けてくれる2人の存在があるからだ。かわいい年下組の2人が固い決意と覚悟を語ったときの顔が忘れられないからだ。私の悲しみが攻撃性を帯びるようになったらそれこそ本当におしまいだからね。
楽しかったよありがとう、たしかに幸せだった。6人の時代も5人の時代も大切にしながら、2人のことも見守っていけたらいいなと思っている。デビュー5周年おめでとう、大好きなキンプリちゃん。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?