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Outer Wildsのはなし⑤「地図とInsider」

注意:”Outer Wilds”未プレイの方へ

この記事には超名作ゲーム”Outer Wilds”のネタバレが含まれています。
DLCのネタバレは無いつもりです。
(そもそも未プレイの人がこの記事にたどり着く可能性は低いと思うけど)未プレイの方は読まないでください。
「今後もプレイする予定もないし、ちょっと何言ってるかわかんないです」という人も、いつかプレイする機会が来るかもしれないので読まないでください。
「(プレイ後に改めて)要チェックや」と彦一も言ってます。

7月28日 Annapurna Interactive Showcase 、こっちも要チェックですね。Switch版…おねがいします…。

前回④の続きです。ついに発射コードを手に入れて宇宙船に乗り込みました。

いかすぜ!太陽系リアルタイムマップ

いよいよ宇宙船に搭乗。航行記録を参照できる端末や、壁の掲示物などを見て、この太陽系やリトルスカウトについての知識を深めることができる。いわばこのゲームにおけるマイホーム。やすらぎを感じる木造宇宙船で、小物も多く観察するといろいろ楽しい。
宇宙服を着るときの音や、酸素補給・体力回復の音など、今後何度も聞くことになるSEもいい味をだしている。

このポスターはなんとなくHornfelsが用意してくれたものな気がする

宇宙服を着るとHUD(ヘッドアップディスプレイ)が表示されるようになったほか、太陽系のマップを開くことができるようになった。観測所の二階でも一度見ていたのだけど、このマップ機能がめちゃくちゃイケている。特に観測所でマップを開いたときは、カメラが木の炉辺の観測所からグッと引いて引いて引いて宇宙だよー…という演出が入るので、その②の記事に書いような主観視点から鳥瞰視点への移り変わりも感じられて、宇宙の遠くから自分を見ているような感覚にテンションが上がった。
更にいつでもマップを開けるようになってから、どうやらこのマップが「リアルタイムの現在の太陽系を表している」らしいということに気づいた。「マップ」の概念を超えている。すごすぎる。

ちなみに地球の民間人である我々も負けてはおらず、人工衛星や宇宙ステーションからの(おそらく)リアルタイムな航空写真を見ることができる。

これも十分すごいしずっと見ていられるんだけど、Outer Wilds Ventures製のリアルタイム太陽系マップはスケール感が2段階くらいデカい。

NASAやJAXAの方々はこれに近いマップを日常的に見ていたりするんでしょうか

そんなわけでこのマップが大層気に入った私は、プレイ中にこのマップをかなり頻繁に開いていた。クリア後に他の人のプレイ動画も見たけど、その人たちと比べてもマップを開く頻度はかなり多い方だったと思う。

そのため「マップ上にも量子の月は表示されており、量子の月はマップ上でも量子的なふるまいをしている」ことにはかなり早く気づいた。つまりマップを見るという行為は「観測」に該当するということで…このリアルタイム太陽系マップはいったいどんな技術で作られているのだ?という疑問がさらに深まった。
本編をクリアしてもここはちょっと頭に引っかかっていたのだけど…この疑問が解決するのは、また別のおはなし。

それにしても、Hearthianは宇宙関連の技術に力を入れすぎ。もうちょっと他の技術開発が進んでもよさそうな気もするけど、地球人と比べて体も丈夫っぽいし、戦争もなさそうだし、宇宙に専念することができる環境があったということだろうか。CivilizationとかのテクノロジーツリーにHearthianの持っている技術を当てはめたらムラがすごそう。

強襲!侵入者

マップに関連して…ゲームを始めた直後にこの太陽系の惑星の名前や外観を知ったときの話。一番印象に残ったのは「侵入者」だった。

異質な存在に感じた「侵入者」

ぱっと見では、他の惑星と異なる楕円の公転軌道をもつただの彗星なんだけど、Gneissさんの話にも出てこない天体だし、なんせ名前が「侵入者」だし…最初から黒目に見ていました。
(黒目に見る:人狼用語。こやつ敵対勢力じゃないか?と怪しむこと)
「侵入者」という言葉も相まって、私の眼にはさながら地球に襲来するサイヤ人の宇宙船ポッドに見えた。他ゲームのネタバレにもなっちゃうけど、洞窟物語のボスにフォルムが似ている(気がする)のも、黒っぽく見えた要因かもしれない。

参考:地球を強襲している男性サイヤ人2名

観察していると、「侵入者」は数回太陽の周りを公転した後、最終的には太陽に突っ込んでいることに気づいた。そしてその後、すぐに太陽の色が赤く変わり超新星爆発が起こっているように見える…。間違いない。

ここに私の中で、最初の仮説「侵入者を太陽にぶつけて超新星爆発を起こしている悪いヤツがいる説」が爆誕した。

便利!侵入者タイマー

ちなみにマップをちょくちょく見ていると、侵入者の楕円の公転軌道が徐々に太陽に飲み込まれていっており、侵入者が太陽の周りを2周半したあたりで太陽に突入することが分かった。
このことを利用して、マップを開いて「侵入者の公転軌道の線の位置」と、「侵入者の位置」を確認することで、いつでも22分間のおおよその時間をつかむ術を会得した。名付けて「侵入者タイマー」である。

ゲーム開始直後。太陽から遠い位置からスタート。
1周しました。
ちょっと太陽がオレンジになった。大きさには変化なし。
2週目が終わる直前。太陽が大きく、赤くなった。
プレイ時には侵入者の公転軌道が変わったと思っていたけど、
太陽が大きくなって、侵入者の公転軌道が飲み込まれてたんですね。
2.5週直前。太陽は赤黒く、男梅みたいに。
侵入者は太陽が目前に…そして…
ズンブ。
公転軌道の線も消滅しました。もうすぐ蛍の光が流れます。

ゲームを進めていけば、双子星の砂の量とか、脆い空洞の崩れ具合とか、他にも時間の目安になるものは出てくるが、この侵入者タイマーはいつでもどこでもマップボタンを押せばすぐに見ることができるので、瞑想するかどうかの判断などに役に立ってくれた。

気になる天体の名前

少しだけ話がそれますが、OuterWildsの舞台となる太陽系の天体名について。「闇のイバラ」や「空洞のランタン」など、ちょっとシャレた名前がつけられている天体ですが、これはNomaiが名付けたのを、Hearthianが翻訳してそのまま使っているのかなと思っている。
根拠としては侵入者に「侵入者」と名付けられるのはリアルタイムに侵入されたnomaiだけだから、というのが大きい。他にはHearthianが自分たちの住む星のことを「木の炉辺」と名付けるのはちょっとおしゃれが過ぎるとか。

一方でちょっと疑問なのは、あの太陽系の恒星はなぜ「太陽」なのか?ということ。時間の単位が「分」や「年」なのと同様、遊びやすくするためのゲームデザイナー様の配慮なのかなという気はしている。いろんな星系を旅するnomaiが、恒星に名前を付けないはずがないとは思うので、設定資料的には名前が付けられていたりするのかな。

天体の名前関連でもう一つ「量子の月(Quantum Moon)」について。
日本語で「月」といえば、地球の周りを回っている衛星を指す固有名詞で、兎がいたりゼーレの基地があったりする、あのお月様だけを指す言葉である。なので「量子の月」などゲーム内の日本語訳でところどころに出てくる「月」という言葉の使い方にちょっと違和感を感じていた。
調べてみると英語の「moon」という言葉には、地球の惑星であるお月様を指す以外に、衛星という意味もあるらしい。

Jupiter has at least sixteen moons. 木星には少なくとも 16 の衛星がある.

https://ejje.weblio.jp/content/moon

なので、このゲームの日本語訳に出てくる「月」は厳密には「衛星」と訳するのが正しそう。翻訳班の方も重々分かったうえで「月」って言葉の響きとかを優先されたのかもしれないですが。

そんなこんなで木の炉辺から緊張の初フライトとしていよいよ宇宙に飛び出し、最初に向かったのは…また次回。

ゾンビのみなさまのお腹の足しにしていただければ幸いです。


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