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福島の酒がおいしい3つの理由 #WeLove福島の酒

福島の酒、全国新酒鑑評会金賞受賞数10回連続日本一ならず──。
本日発表された最新の結果で福島の金賞受賞数は14。山形県の20、兵庫県の19、長野県の16、新潟県の15に残念ながら及びませんでした。1位となった山形県はじめ上位の県の方々に、お祝い申し上げます。

fukunomoの先行体験レポート「林さんの今月の酒語り」を連載中のライター林 智裕さんが、このタイミングで改めて、福島の日本酒がおいしい理由を伝えるべく、特別寄稿をしてくれました。

「これまで福島のお酒が鑑評会で評価を受け続けている理由は?」「福島の酒が美味しいのってなぜ?」そんなことが気になる方はぜひご覧ください。

また、福島の日本酒をこれまで以上に盛り上げるために、 #WeLove福島の酒 キャンペーンを実施することといたしました。キャンペーン詳細も本記事の最後で説明させていただきます。



全国新酒鑑評会結果速報

今年の福島県の受賞内訳は以下の通りになります。

《今年の金賞受賞蔵(14蔵)》

・有限会社金水晶酒造店|金水晶
・有賀醸造合資会社|陣屋
・千駒酒造株式会社|千駒 大吟醸
・有限会社玄葉本店|あぶくま
・有限会社佐藤酒造店|藤乃井
・豊國酒造合資会社|東豊国
・人気酒造株式会社|人気一
・東日本酒造協業組合|奥の松
・山口合名会社|会州一
・合資会社吉の川酒造店|会津吉の川
・ほまれ酒造株式会社|会津ほまれ
・渡部謙一(開当男山酒造)|開当男山
・合資会社男山酒造店|会津男山 回
・合資会社白井酒造店|萬代芳

《今年の入賞蔵(14蔵)》

・松崎酒造株式会社|廣戸川
・三春酒造株式会社|三春駒
・株式会社檜物屋酒造店|千功成
・合資会社辰泉酒造|京の華
・花春酒造株式会社|花春
・合資会社大和川酒造店|弥右衛門
・笹正宗酒造株式会社|笹正宗
・花泉酒造株式会社|ロ万
・合名会社大木代吉本店|自然郷
・榮川酒造株式会社 磐梯工場|榮四郎
・末廣酒造株式会社 博士蔵|玄宰
・豊國酒造合資会社|學十郎
・合名会社四家酒造店|又兵衛
・たに川酒造株式会社|さかみずき

福島の酒がおいしい3つの理由


これまで福島の酒は2006年鑑評会(2005年酒造年度)以降、金賞受賞数1位または2位のみを連続して獲得し続け、2013年(2012年酒造年度)からは9回連続1位という前人未踏の大記録を更新し続けてきました。
記録はいつか必ず途切れるとは言え、今回の結果で沢山の「美味しい!」を届けてきた福島の酒の魅力が否定されたわけではありません。むしろ、福島がこれまで研究・発展させてきた技術の蓄積と成果、そして他県がそれに勝つため切磋琢磨を続けたことが日本酒の世界に巨大なインパクトを与え、全体のレベルが大きく底上げされた成果とさえ言えるでしょう。近年の極めてレベルが高い鑑評会は、長きにわたる福島の酒の貢献無しには有り得ません。福島の酒は、もはや日本酒の世界にとって不可欠な存在です。

ところが、そのように日本酒の世界に大きな影響を与えてきた福島の酒にもかつて、他県に比べ大きな後れをとっていた時期があったと聞いたら驚くでしょうか。実は、今から30年以上前の1990年(平成2年)鑑評会[1989年、平成元年度醸造]では、福島県の金賞受賞酒がゼロ。そこから福島の酒はどうやって、日本酒の世界に巨大なインパクトを与えるほどの存在になり得たのか。福島の酒が美味しいのは何故か。その理由を、3つ挙げてみましょう。

①酒造の技術研究・共有化と人材育成のシステムを確立させた

しばしば日本酒造りは「原料が3割、技術が7割」と言われるほど、高度な醸造技術と卓越した管理が求められます。福島が躍進できた理由として、第一には長年にわたる技術研究の成果が挙げられると言えるでしょう。

先述した1990年鑑評会での「金賞受賞数ゼロ」に危機感を感じた福島県は、1992年(平成4年)に清酒アカデミー職業能力開発校を設立させました。
もちろん福島にも、当時から高品質の日本酒を造り続けている大手酒造はありました。しかし、多くは小規模な蔵元というのが実情。地域に根差したかけがえない個性や文化を持ちながらも、毎年の出来映えの安定性、技術の共有と継承、後継者や人材の不足などが大きな課題でした。清酒アカデミーが誕生したことは、これらの課題の改善と蔵元の存続にも大きく寄与し、今日の実力につながったと言えるでしょう。

さらに1995年(平成7年)には、鑑評会での金賞受賞数増加を目指した高品質清酒研究会、通称「金とり会」が発足され、それまで競合相手であった県内酒蔵同士が門外不出の技術をそれぞれ持ち寄って共有して分析・研究を重ねるなど、非常に高いレベルでの技術交流が実現しました。
蔵人たちが清酒アカデミーや「金とり会」で共に学び、協力し合い、互いに切磋琢磨を続けることで、それぞれの蔵の技術向上が達成されたと同時に横のつながりも非常に強固に。福島の酒蔵全体で、強い協力体制が構築されていきました。
こうして福島の酒は県内全域での技術の底上げが進み、結果として各蔵が本来狙った通りの味や品質を安定して造りやすくなる好循環も生まれ始め、各蔵元が昔から守り続けてきた味や個性の多様性を、より高い水準で維持されることにもつながったと言えるでしょう。

さらに、福島県は日本酒の原料となる酒米や酵母の開発も続けてきました。鑑評会出品酒の多くは福島も含め全国的に兵庫県産山田錦が今も原料米の主流ではあるものの、福島ではこれを超える酒米を生み出そうと、研究が長年続けられています。
福島県オリジナル酒米の「夢の香(ゆめのかおり)」からは、その名のように穏やかな微香漂う優しい味わいのお酒が醸し出され、福島の酒造りの魅力や個性をより生かせるように設計されています。更に、開発に15年もかけ令和に新デビューした「福乃香(ふくのか)」は山田錦に勝るとも劣らず強い香りと透明感ある旨味を出す品種として福島の吟醸酒を牽引し始めています。こうした研究の継続が、今後のさらなる品質向上にもつながっていくことでしょう。

② 米の雑味を旨味に変える技術が高い

福島の酒は昔から「日常的に飲める普通酒がやたらと旨い」と言われてきました。
その秘訣は、「本来雑味となるはずだったものを、旨味に変えてしまう技術」。マイナス要素になりやすい雑味を上手に制御して、「味わい」「個性」などのプラス要素へと変換させることができるのです。福島の酒はこの技が元々得意でしたが、各蔵の技術力向上によって、近年はその傾向がますます高まっています。
また、日本酒造りにおいては食用米に比べ米を大幅に削ることが必要になります。中心部に近ければ近いほど純粋なデンプン質の割合が高くなり、これを醸造することで雑味が少ない透明感のある味わいが得られます。

一方で、外側に近い部分にはタンパク質や脂質などが多く含まれており、これがさまざまな味の要素となります。外側部分が多すぎると、一般的には酒に好ましくない雑味や臭気も過度にもたらしてしまうため、必要に応じ取り除いて醸造する必要が生じます。
米を削る割合は精米歩合と呼ばれますが、どれだけ削るかによってそれぞれ「大吟醸 (精米歩合50%以下)」「吟醸(精米歩合60%以下)」、「本醸造(精米歩合70%以下)」などの区別があり、特定名称酒の条件の一つにもなってきます。一般的には米を削れば削るほど高級品になり、なかでも鑑評会に出品されるお酒は精米歩合40%以下など、「大吟醸の中の大吟醸」のようなケースがほとんど。世の中には、さらに20%台、10%台、なかには1%まで削ってしまうような日本酒も存在しています。
もちろん福島でも全国同様に、鑑評会出品酒は原料米のかなりの割合が削られたお酒ばかりです。しかし同時に、その高い「雑味の制御力」が発揮され、透明感のある最上級の味わいの中に「さらにもう一味」の個性が加わったお酒が多くみられる。この要素が高い評価と多数の金賞受賞に繋がってきたのかも知れません。

実際、それを象徴するような出来事が2018年にロンドンで行われた世界最大規模のワイン品評会、IWC2018の日本酒部門で起こりました。過去最多456社1639銘柄の出品の中から頂点である「チャンピオン・サケ」に輝いたのは、福島県二本松市にある奥の松酒造の「あだたら吟醸」。この酒は「大吟醸」ですらない、福島県内では4合瓶(720ml)1,000円程度で市販されている日常的に親しまれているお酒です。米のポテンシャルを最大限に活かして魅力へと変える福島の酒と技が、世界で高く評価された一例と言えるのではないでしょうか。

近年では他県の酒も「福島の一味」を研究して取り入れ、鑑評会での勝負はますます紙一重の接戦になっています。まさに、福島の酒が日本酒全体をさらに美味しくしてきた一面とも言えるでしょう。

③ 地域ごとに味わいの多様性が顕著にみられる

福島県は広い県土に多様な地形と標高差、そして気候風土を持っています。
歴史的にも会津藩や二本松藩、白河藩、相馬中村藩などの雄藩の他、中小規模の藩や県外藩領の飛び地までもが無数に点在していました。現在は一つの県としてまとめられているものの、福島県はまるで合衆国のような多様性のるつぼであるとも言えます。
こうした背景が、同じ県内でも食や文化の違いを大きくし、お酒も地域ごとの個性が大きくなりました。これら多彩な個性が集まったものこそが「福島の酒」であり、あらゆる食材とのペアリングや需要トレンドに対して柔軟に対応可能な、いわば「守備範囲が極めて広い」状況が生み出されたと言えるでしょう。
技術が底上げされた近年は「福島の酒」の強みがさらに高まって、珠玉の「もう一味」を持つ多彩なお酒たちが鑑評会にも集結しました。そういった事情もまた、福島の酒が躍進する原動力になったとのではないでしょうか。

福島の酒の今後とさらなる課題

たとえ金賞受賞数1位の連続記録が途絶えようとも、福島はすでに世界的な日本酒名醸造地の一つといえます。カリフォルニアワインやチリワインがフランスの評価を上回った年があっても、フランスワインがその価値を失うわけではないことにも似ているのかも知れません。たとえるならば、「日本の福島にある、会津地方に日本酒を求めに行く」というのは、ワインでたとえれば「フランスのジロンドにあるボルドー、メドック地区にワインを求めに行く」贅沢に匹敵すると言っても過言ではないのでしょうか。

まさに日本酒の歴史に残る貢献をしてきた福島の酒ではありますが、一方でイメージ戦略や知名度に課題が残ります。専門家からの高い評価や国内外多数のコンクールでの好成績が続いてきた反面、そうした実績はまだ広く一般には知られておらず、大多数の消費者の中では、日本酒と福島とがつながっていないことさえ珍しくありません。昔からPRが不得意な福島県自体に地味なイメージが大きいことも原因の一つですが、そもそも小さな蔵元が多いこともあり、流通量が少ない問題もあります。たとえ世界的な表彰を受けるような蔵であっても、生産量のほぼ全てが県内どころか地元市町村内だけで消費されているケースも多々あるのが現状と言えるでしょう。

そこでfukunomoの出番です! 地元以外では入手困難な福島秘蔵の地酒や地の肴とのペアリングセットが定期的に宅配便で届く取り組みはとても稀少で、毎月のように美味しい! 楽しい! の驚きと感動を得られること請け合いです。

福島の酒は個性の幅が大きいものの、どれも飲み口が優しく飲みやすい。すっきりとしながらも柔らかいヴェールのような滑らかな口当たり、瑞々しく艶やかな香り、口の中で花開く穏やかなコクなどの共通した特徴もある。これこそが、「雑味」から変換された豊かな旨味。単に「米から造った酒」という以上に「炊き立てご飯をそのままお酒に変えた」という表現がよく似合う、福島の酒が誇る無二の魅力と言えるでしょう。そのポテンシャルを最も引き出すのは、やはり福島の地の肴のペアリング。日本酒の世界に大きな影響を与え、無くてはならない存在となった福島の酒を、地元の肴とのペアリングと共にぜひこの機会に試してみてはいかがでしょうか!

fukunomo愛好家 林 智裕


#WeLove福島の酒  キャンペーン

ここまでは林智裕さんに特別寄稿をいただきましたが、ここからはfukunomo編集部がキャンペーンについて説明いたします。

全国新酒鑑評会の結果とは関係なく、福島の酒を引き続き応援し、盛り上げるため、急遽『#WeLove福島の酒 キャンペーン』を実施することにしました。

キャンペーン内容その1|50%OFFキャンペーン

キャンペーン期間中(2023/5/24-2023/6/15)限定で、本記事にある下部にあるリンクからお申込をいただくと、fukunomoスタンダードプランまたはプレミアムプランが初回50%OFFになるキャンペーンを実施いたします!

↑キャンペーン専用ページはこちらから↑

キャンペーン内容その2|twitter拡散キャンペーン

福島のお酒がおいしいことを一人でも多くの方に知ってもらうため、 #WeLove福島の酒  をつけて、本記事をtwitter上で拡散いただいた方の中から抽選で10名様に、fukunomoスタンダードプラン(6,600円相当)をプレゼントします。

<キャンペーン参加方法>
キャンペーン期間中(2023/5/24-2023/6/15)に、 #WeLove福島の酒 のハッシュタグをつけて、本note記事のリンクを拡散いただく。

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<キャンペーン参加対象SNS>
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<注意点>
・当選者には、2023/6/16-2023/6/20の間に、twitterのDM機能を使って当選の連絡をいたします。DMの受信および確認ができるよう、設定確認をお願いします。
・当選されなかった方への連絡は行いませんので、予めご了承ください。
・プレゼント対象は、「日本国内にお住まいの方」かつ「満20歳以上の方」に限ります。

<問い合わせ先>
fukunomo運営事務局
mail:info@f-sake.com twitter:@fukunomo_sake

みなさま、この機会に福島の酒の魅力を一緒に広めていただけますよう、ご協力お願いいたします!

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