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「苦戦していたシリーズAラウンドをRBFで時間をつなぎ実現できた」株式会社HANOWA


株式会社HANOWAについて

スキマ時間に働きたい歯科医療従事者と歯科医院をマッチング。勉強、副業、理想の職場と出会う転職活動にも使えるサービス『HANOWA』。

HANOWAは、地域の歯科医療従事者のスキマ時間を共有するマッチングプラットフォームです。歯科医療従事者は、働きたい日時だけ働くことができ、自分で時給を提示することができます。 歯科医院は、来て欲しい日時に地域の歯科医療従事者へ仕事のオファーができ、固定費を抱えることなく人員を確保することができます。

現在は、累計歯科医院3,000医院、累計歯科医療人材10,000人のサービスとして成長し、多様な歯科医院・歯科医療従事者のみなさまに利用されています。現在は、歯科医院中心ですが、業種を閉じずに広げることを計画されています。


株式会社HANOWA 代表取締役
新井翔平
2016年より歯科業界の人材課題を解決する受託事業をスタートし、2019年に株式会社HANOWAを設立。大阪市(OSAP)やG-STARTUP(グロービス)などの様々なアクセラレーションプログラムに採択され、潜在医療人材の活用による日本の社会課題解決を目指している。

-創業の経緯について教えていただけますか?

新井さん:
2016年に採用受託の事業をスタートしたことがきっかけです。様々な求人媒体を活用して採用の母集団をつくったり、面接に同席して採用をお手伝いして、人が足りない歯科の課題の解決をお手伝いしていました。
しかし、採用したクリニックで離職が続き、例えて言うとバケツの穴が空いている状態で、本質的に考えると採用だけの支援をやっていてよいのか?と考えるようになりました。院長先生から、人が足りない・良い歯科衛生士がいないという声はとてもよく聞くのですが、人を定着させるための労務的な環境整備はまだまだ足りていないと感じていました。
働き盛りの20~30代女性が労務環境の整備が遅れている業界で入退職が繰り返されている現状を見たときに、本当に「フルタイム週40時間をコミットしてくれる人材」を探すことがベストなのか?と考えました。
人口動態や女性のキャリア形成を考えたときに、「1人3時間働ける方が3人リレーで働く状態が未来の形としてフィットしているのではないか?」と考え、2018年に検討をスタートし、2020年の1月にサービスローンチができました。

2年で15倍の成長をしていても苦戦したシリーズAラウンド


-Flex Capitalや、ノンバンクのデットファイナンスのサービスはご存知でしたか?

新井さん:
ベンチャーデットという表現は22年の秋ぐらいから聞くようになった印象です。株式市場のクラッシュから、それを乗り越える手法として認知していました。
RBFという仕組みは知らなかったです!

-そのなかで、Flex Capitalにお問い合わせいただいたきっかけはどんなものだったのでしょう?

新井さん:
資金調達支援のINQさんと仲良くさせて頂いていて、情報を教えて頂くことが多く、そのなかでFlex Capitalのことを知りました。
その当時でいうと、スタートアップとして先行投資し赤字の状態ではありましたが何度か銀行融資を行えている状態でした。
私たちの資金調達遍歴でいうと、2019年にシードのエクイティ調達を行い、21年にプレシリーズA調達、融資でいうとコロナ融資や資本性ローンなど5回の融資を受けていました。
エクイティ調達直後の資本が厚いタイミングで銀行融資を行う形で進めていて、次はシリーズAの調達を目指して動いていました。
2023年2月3月の3回目のエクイティファイナンスがクローズする1ヶ月前あたりは、例えて言うと「喉がカラカラの状態」でした。私の報酬ストップはもとより、自社の役員からも借り入れを行ったり、仲間内で相談して生活が維持できる範囲で支払いを送らせて貰ったりしている状況でした。トラクションがずっと伸びていたので、仲間もみんな信じて応じてくれたこともありがたかったですし、クローズ後直後にちゃんと返す事ができて本当によかったです。
そんな苦しかった2月の頭に相談をさせてもらいました。

-お話させていただいたときは、そのようなタイミングだったのですね。エクイティの調達状況はどのような状態でしたか?

新井さん:
シリーズAは苦労しましたね。経営者仲間と話しても相場がクラッシュしたという話は出ていて、その中でディレイしたとしてもアップラウンドでシリーズAを迎えられたことは良かったなと感じます。
数字で振り返ると、前回のラウンドが21年4月だったのですが、23年の2月の時点で、GMV(取扱高)が2年で15倍に伸びていました。22年の9月10月ごろから、相場が厳しくなってきたと感じており、10倍以上のトラクションをだしていてもTAM/SAM/SOMといった市場のアッパー(大きさ)や以前よりさらに厳しい事業規模拡大の見込みを強く求められるようになっていました。これはあくまで主観的な表現ですが「投資家の方が少し臆病になった」と感じました。

-そういった市場背景を感じていらっしゃったのですね。スタートアップのファイナンスの厳しさをすごくイメージできました。

企業生命を繋いでもらい、エクイティ調達を実現

-そんな中、Flex Capitalの利用体験はいかがでしたか?

新井さん:
率直な言葉でいうと「Flex Capitalさんに企業生命を繋いでもらった」と思っています。
はじめに2月に相談にいったときは、一般的な融資をイメージしていてDD(デューデリジェンス)に1~2ヶ月かかり、4月に着金されるのかなと考えていました。
このフェーズの創業経営者のマインドでいうと、どれだけ良い説明を受けていても「着金するまで何も信じていない」というのが本音です。

-そういったご心情だったのですね。

新井さん:
しかし、2月9日に相談し、10日に資料を提出すると、24日に条件提示をうけ、本当に2週間でくるんだ!とビックリしました。その後すぐに契約締結に進むことができて翌月3日には着金をしていました。資料もエクイティファイナンス用に準備していたことも大きいですが、特に変わった質問項目もなくスムーズに提出できました。
すべての手続きを最短で進めることができて、本当にありがたかったです。

-喜んでいただけて、嬉しいです!

新井さん:
それでいうと、何を拠り所に支援をしてもらったのか、不思議だなと思っています。
事業の成長や説明資料はしっかり準備できていたとはいえ、2月の時点で確証がない状態でした。Flex Capitalさんの着金の翌月にエクイティファイナンスが決まりましたが、エクイティのDDの決着は3月31日だったので、2月前半の審査時点では判断も難しかっただろうと思います。

-当時の審査の内容を振り返ると、取引先の数が短期間で大幅に増えておりプロダクトが課題にフィットしていることが伺えたことや、人件費や広告宣伝費のコストとのバランスを見ても高い成長率だったことが支援できたポイントでした。投資家のような目線で判断できたのかなと感じます。

新井さん:
そういう観点でいくと、エクイティ直後に融資を引くというパターンではなく、調達前のランウェイが短いときにもRBFで支援してもらうという違う使い方ができたなと思います。

-支援後の事業のご状況はいかがでしょうか?

新井さん:
おかげ様でシリーズAを迎えることができ、しっかり事業を伸ばす事ができていて、23年2月のGMVから、この1年でさらにおよそ3倍に伸ばすことができています。

無事にシリーズAを迎えられ、事業拡大しておられておりこちらとしても嬉しいです。

RBFは様々な業種で使えることが知られておらずもったいない

-Flex Capitalに対して、ぜひご意見を頂きたいです。

新井さん:
これは2つあります。1つは、RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)という言葉を聞いて、MRRなどSaaS的なサブスクリプション型のKPIがだせないと難しいのではないかと感じていました。私たちはマーケットプレイス型のビジネスモデルだったので、本当に見てもらえるのか?という負い目がありました。
藁をもすがる気持ちで相談し、しっかり対応してもらえたので嬉しかったのですが、まだまだ市場の認知が広まっていないと思うので、ぜひ多くの経営者の方に伝えていってほしいですね!自分たちも使えるのに、事業特性上、難しいのではと誤認するスタートアップの方がいるともったいないと思います。

-そういったご認識があったのですね。RBF提供企業にも様々なスタイルがあるのですが、Flex Capitalの柔軟性をしっかり伝えていきます。

新井さん:
もう1つは、Flex Capitalさんというよりは、他の利用検討されている経営者の方向けなのですが、将来債権譲渡という契約で、手数料を金利換算したときに、6~12ヶ月で10%前後という数字は一見高く見えるかもしれません。
しかしスタートアップは、平時と戦時(非常時)という見方をすると常に戦時といえると思います。エクイティで投資いただいている投資家の方からも、1年で10%程度という小さな成長の期待値ではなく、もっともっと高いラインを求めているのが普通だと思います。
RBFの手数料は、戦時の状況で考えたときに本当に高くて躊躇するものなのか、ということは考える余地があるかなと思います。Cash is KINGとして、それ以上の大きな成長を作る前提でうまく活用していくべきだなと感じます。

-経営者の目線でもそういったお声を聞けて嬉しく思います!選択肢として広がっていくと嬉しいです。

これからのHANOWAについて

-HANOWA様の今後のご展望を聞かせてください。

新井さん:
24年は単月黒字化と通期黒字化を目指しています。通期黒字化を達成しBSの状態が改善すれば、銀行との大型シンジケート・ローンなども検討しています。こういった金融機関の方々にも認めていただけるような企業にどんどん変化していっています。
それも、23年3月にFlex Capitalさんに繋いでもらった命だと思っているので本当に感謝しています。
事業でいうと、医療業界の人の流動性を高めていっていて、変化の少ないレガシーな業界を少しずつ変えようとしています。流動性が高まることで不正の発見や、衆人環視の状況が産まれて、働く立場から見ても良い医院・良いクリニックが評価されていく評価経済を作っていきたいと考えています。
その変化をさらに大きく起こすために、歯科医院のM&Aが支援できるマーケットプレイスなどを検討をしており、業界を一変させるようなインパクトのある事業運営をしていきたいと考えています。より大きな社会課題解決にチャレンジしていきたいと考えています。
Flex Capitalさんも、私たちと同じようなスタートアップを引き続き支援していってほしいですし、一緒に頑張っていけたら嬉しいと思っています。

-非常に素晴らしいビジョンを聞かせていただけました。そのご支援ができたということを本当に嬉しく思っております。一緒にスタートアップ業界を盛り上げていければと思います!ありがとうございました。

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