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FF9の感想+種運命と繋げて思ったこと(ネタバレあり)

数日前、FF9をクリアした。
プレイしながら何度も泣けてきたし、生きることの意味を教えてくれる素敵な作品だからぜひ皆さんにもプレイしてほしい。

ストーリーかなり複雑だけど、とりあえず簡単に説明すると、二つの星ガイアとテラがあって、テラは滅んでいて、テラを救うために作られたガーランドという存在は、ガイアをテラにしてテラにいた魂をガイアに送り届けるためにガイアの魂の流れを乱そうとする。

流れを乱す、というのはつまり戦乱を起こすということ。そのためにガーランドはクジャとジタン(主人公)を作り出す。それ以外にもガーランドは大量の似たような存在「ジェノム」を作る。
そしてクジャは、破壊のために大量の「黒魔道士」を作って従わせる。
…という状況だが、色々あって、ジタンは自分の正体を知らぬままガイアで育つ。

ガイアでジタンが出会った仲間の一人は、黒魔道士の見た目をした小さい存在、ビビ。
そして旅の途中で、ビビは自分のような見た目をした黒魔道士たちが邪悪な連中に服従させられ、使い捨てにされるのを見て、更には、何故か自分を守ってくれるのも見る。
その後は、逃げ出して自由に生きようとする黒魔道士たちの村で自分の寿命がとても短いということを知る。
このようないろんな経験をしながら、ビビはずっと「生きる」ことについて悩む。

この間もクジャはガイアでずっと戦乱を起こしていて、まあ色々あってジタンと仲間たちはテラに行くことになる。
そこでジタンは自分の正体を知り、とても苦しむ。けど、一人で全てを背負おうとする彼のもとに仲間が助けに来て、彼は自分はガイアで大事な人たちと生きてきたヒトであり、ガイアの破壊のために動くジェノムなんかじゃないとガーランドに宣言する。
(これができた理由の一つは仲間以外にも、育ての親が「お前の帰る場所はここだ」みたいなことを、帰る場所を探し旅に出ていた昔のジタンに言ったことがあるからなのもあると思う。)

そういう会話をしていたガーランドとジタンのところにクジャが現れ、ガーランドはクジャに、「お前はジタンが成長するまでに使うつもりだったんだし用済みで、そろそろワシが設定した寿命が来て死ぬ」みたいなことを言って、それを聞いたクジャは怒りのあまり全世界を壊すことに決める:

ガーランド「永遠ならざる時のため作られた死神……
     それがおまえの存在理由だ」
クジャ「存在……理由?」
   「……僕は……用済みだと?」
   「ク、ククク……そんなバカな話があってたまるか?」
   「やっと何者にも負けぬ力を
   得たと思ったらわずかの命だと?」
   「死ぬというのか……この僕が?」
   「失うというのか……この魂を?」
   「アハ…… アハハハハハハ!!」
   「笑えよ、ジタン!!
   作られた生命、限られた生命の黒魔道士たちを
   あざけって来た僕が今、同じように滅びるんだぞ!?」
   「アハハ、これを笑わずして何を笑う!?
   ガイアに戦乱をもたらしたこの僕が、
   虫ほどの価値すらない、ただの人形だと!?」

そして、ガーランドが敗北しテラが崩壊していくところで、わたしにとって一番印象に残ったシーンの一つが出てくる。
ジタンたちが最初にテラについた時案内してくれたのはジェノムの少女、ミコトだった。
そして崩壊していくテラからジェノムたちを連れて脱出しようとしてるジタンと彼女の会話がこちら:

ジタン「こんなところにいたのか!?
   早く逃げないとここまで崩壊が……」
少女「逃げる? どこに逃げるというの?ただの器が……」
ジタン「まだそんなことを言ってるのか!?
   本当に自分のことを器だと!?」
少女「違う! 私はガーランドに力と魂を与えられた……
  そう、クジャやあなたの代わりになるように……」
  「でも、ガーランドもテラももう滅ぶ……
  それなら私の存在はどこにあるの?
  なんのために私は生きているの?」
ジタン「……オレも思ったさ、オレは何のために……って」
少女「……わかったの?」
ジタン「わからねえな……
   わからないけど、もしかしたらそれを見つける
   ためにも生き続けるしかないのかもしれない……」
   「それはとてもつらいことかもしれない……
   でもあいつらといると思うんだ、
   それも悪くないな……ってな……」
少女「……」
ジタン「そうだ! おまえ、名前はなんて言うんだ?」
少女「え?」
ジタン「名前だよ、名前!クジャやオレの代わりに
   つくられたんなら名前があるんじゃないのか?」
少女「私の名前は……ミコト」
ジタン「ミコトか……いい名前だな……
   多くの人がこれからおまえをそう呼ぶよ」
   「時にはその意味を追い過ぎて
   悩むこともあるけど結局はそのミコトが
   何者かはおまえが決めるしかないんだ……」
   「行こう、ミコト!そして新たな地で見つければいい、
   おまえが何のために生を受け、そして生きるのか…」

その後、ジタンたちはクジャを止めるために旅を続ける。
クジャは「すべての命は結局死ぬために生まれてくるんだから全てを殺す」みたいなことを言う。
けれどジタンは

「もし、オレたちが力つきたとしても
   終わってしまうわけじゃない……」
   「オレたちのことを記憶している誰かがいる限り、
   その記憶と生命は永遠につながっていく……」
   「それが生きるってことだ!

と答える。
そしてジタンたちはクジャを倒して、イーファの木で起きてる暴走から逃げるけど、ジタンにはクジャの声が聞こえてくる。
「生きるんだ」って声が。
それを聞いてクジャがまだ生きてるということを知ったジタンは、彼を助けるために木の方に戻る。
結局クジャを助けることは叶わないけど、ジタンは生き残る。

この辺で出るのが、ミコトの言葉:

「クジャ……あなたのしたことは
   正しいこととは言えなかったわ……」
   「けれど…… あなたは私たちにたったひとつだけ
   希望を与えてくれたの……」
   「たとえ、つくられた目的が過ちだったとしても
   それを克服した生命が生まれたってこと……」
   「私たちはその記憶を絶やしたくないと思った
   そう思うのは不自然なこと?
   私たちは信じたいの……」
   「私たちがこの世に生を受けたことは
   決して間違いじゃなかった……」

だって、クジャはガーランドの言いなりにならずに抗いながら一生を生きたから。

エンディングに入ると、ビビの子供がたくさん現れ、そのあとビビ本人の最期の言葉が出るのだが、その一部をここに載せよう:
「毎日、ジタンのことを話したんだよ……
  ボクたちのとても大切なひとがいたって……
  生きてることの大きさを教えてくれたひとだって…」
「生きるってことは、永遠の命を持つことじゃない……
  そう教えてくれたよね?
  助け合って生きていかなきゃ意味がないんだって……」
「ボクが何をするために生まれてきたのか……
  ボクがいったい何をしていきたかったのか……
  そんなことを考える時間を与えてくれてありがとう」

さて、今までわたしの感想とか印象的だった言葉とかを述べてきたけど、種運命履修済みの人は気づいただろう。
かなり混ざってるとはいえ、ジタン、クジャ、ミコトの3人の関わりとキラ、クルーゼ、レイの話がとても似ているということに。

ジタンの場合、キラのように「最強」の存在として作られたけど、そういうのは知らずにとても優しい子に育つ。そして自分の正体を知ってもなお、結局はそれを否定し、仲間と世界のために頑張る。
また、ミコトやビビに対して、キラがレイにしたように、「自分」とは何かそして「生きる」ことは何かを教える。
(実際、クルーゼがフレイを殺さなかったらキラは彼を一度救済しようとしたと思うし、キラがレイの寿命のことを知らなかったら助けようとしたはずだしね)
しかも最後には、自分を殺そうとしたクジャまで助けようとする。

クジャの場合、最強の存在が作られるまで使われて用済みになったら捨てられ、一生を抗うように生きて、自分の寿命のことを知って、結局は生の先には何もないと言っていたクルーゼのようになり、「全ては死ぬために生まれてくる」と絶望して破壊の道を歩く。

そしてミコトの場合は、宿命に従って生きるしかないと思っていたのにジタンに「自分」が何者であるかは自分で決めるということを教えられる。
その後ガーランドという、ある意味親でもある絶対的存在をなくして、レイがギルを亡くした時のように絶望して死ぬつもりでいる彼女は、
「新たな地で見つければいい、
   おまえが何のために生を受け、そして生きるのか…」
というジタンの言葉で明日を生きる勇気を手に入れる。

ビビからもレイ味は感じられる。
支配されてただただ破壊をし続ける黒魔道士たちを見て、自分と同じような存在だというところで悩むのも(「お前もまたラウ」発言で悩むレイ)、寿命のことで苦しみ、生きる意味について悩むのも、「命」を大切だと思うところも。
彼はそこからジタンの言葉で解放され、自分は世界を壊す存在なんかじゃなく、みんなの大好きな「ビビ」ってわかるわけだもの。
あとこの辺りね:
「ボクが何をするために生まれてきたのか……
  ボクがいったい何をしていきたかったのか……
  そんなことを考える時間を与えてくれてありがとう」
投げやりになって死んでしまったら、考える時間すらなくなるわけなのよ。

ミコトとビビの話を見てると、レイはやっぱり「生きる」べきだ!!ってなる。
しかも、キラの言葉によって「自分」は「自分」ってことがわかったから、尚更。

更に、ジェノムや黒魔道士たちの「定められた運命/目的」や「寿命」の話を見てて、わたしはデスティニープラン味を感じた。
自分が作られた目的や支配者に完全に従うってのが、遺伝子によって支配されるデスティニープランに似ているなーって。
それに抗うジタンや、それで絶望するクジャ、そこから抜け出すビビ、そして助け出されるミコトの話を見てると尚更ね。

最後に、一生を抗うように生きてきたクジャが死に際にジタンに「生きろ」と言ったのは、なんだか、クルーゼがもし種運命の最後に生きていてそこで負けるような展開だったら、叶うものなら自分と同じような存在であるレイには明日を生きて欲しかったのかもって思わせた。
少なくともレイが生きていく方があの世のラウの心は少しでも救われるだろう。

結局自分が何者であるかは自分で決めていくしかない。そしてそれが「生きる」ということ。
ビビがジタンにそれを教えられて短い生でも自分の人生を「生きる」と決めたように、レイはキラの言葉で「生きる」ということがどういうことかわかったわけ。
もうそろそろ死ぬから、つらすぎるから、寂しいからなどの色んな理由でレイはあそこに残ることにしたわけだけど、まず寿命の問題がなかったらタリアはあんなことは言わなかっただろうしキラもレイを助け出しただろう。ジタンがミコトを助け出したように。
結局、それでも、「生きる」べきだから。それが唯一、自分が「自分」でいられる方法だから。
だから自分が「レイ」であることをわかった「レイ」は、生きなければ。

支配されて生きてはいけない、こんな世界だけど自分で決めることが大事でそれが「生きる」ということだ、というメッセージ。
FF9はそれをとても良く表現している。
そして種運命は、それをうまく伝えるためには、レイがあそこに残るようにしてはいけなかったんだ。
そしてこれは、わたしがレイを小説で救済した大きな理由の一つでもあるのだ。


(会話はこちらから: http://lunar.littlestar.jp/stardust/english/FF9/FFIX-script-disc1.html)

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