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今注目の国産ワイン ~池田ワイン~

帯広市中心部から車で東に約40分の場所にある池田町には国産ワイン、しかも公営のワイン醸造所である「池田町ブドウ・ブドウ酒研究所」、通称「ワイン城」がその名の通り丘の中腹にそびえ立つ。

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池田ワインの始まりは、昭和27年の第1次十勝沖地震が池田町を襲い、追い討ちをかけるように翌年から2年連続の冷害による凶作に見舞われた。経済的な困窮からの脱却を図るため、森に自生していた山ブドウを使ったワインができないかという当時の町長の発想の元、製造が開始された。昭和39年この山ブドウから造られた「十勝アイヌ葡萄酒」が第4回国際ワインコンペテイション(ブタペスト)で銅賞を獲得するなどワイン製造において成功を収めている。

日照時間の長さ、秋の昼夜の気温差はブドウの糖度に作用し、豊かな風味と味わいのブドウ栽培が可能となるものの、冬の寒さと乾燥はブドウの木には致命的である。池田町独自品種で果実味と熟成香が同時に味わえる「清見」は、敢えて畑で栽培し根を乾燥と寒さから守り、冬の間はさらに人力で土の布団をかぶせて保護しなければならない。大変な手間と労力がかかるこの作業を効率化し、より一層の質の向上を図るために開発されたのが「清舞」と「山幸」だ。「清舞」が母親である清見種譲りの、うすめの色合いで強い酸味、そして軽快な味わいが特徴であるのに対し、「山幸」は色も濃く、渋味や味わいの深みは父親である山ブドウの特色だ。将来の池田ワインを担うホープとしてこの両品種への期待は高い。

池田ワインの年間生産量約600kl、事業収益約8億円(いずれも平成29年度)であり、特別会計扱いで町の収益として計上され、当初目的であった農業の振興、街の活性化にも貢献する事業にまで成長している。2019年10月から改装工事のため休業するが、来年5月のゴールデンウィーク前にはリニューアルオープンを予定しており、新たな魅力たっぷりの池田ワインが見られる日が待ち遠しい。

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【参考】

■池田町ブドウ・ブドウ酒研究所

■日本ワイナリー協会


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