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香料会社の社員に聞きたい10大質問

Twitter、noteなど各種SNSを初めて約1年経ちました。

おかげ様でそれなりのアクセス、インプレッション頂くことができるようになってきました。ありがとうございます。

そんな中、DMや質問箱でよく来る質問をまとめて、10大質問にお答えします。都度お返事していくのでも良いのですが、Q&Aという形でまとまっていれば少なからず役立つのではないかという思いもあります。
また自分自身で考える、思うこともあり、思考整理という一面もあります。

この記事に反応が良ければ、深堀り版、本当は聞きたい・言いたい質問集の記事も考えてみます。


Q1:文系でも香料会社に就職できますか?

A:最も多く聞かれます。何度も聞かれます。
答えた翌日に「〇〇学部はどうでしょうか?」とかも来ます。
答え、営業・開発・研究問わなければ就職できます。開発研究は理系出身者がほとんどですが、営業は文系・理系問わずいます。

Q2:香料会社に就職するのに必要なことは何がありますか?

A:必ず必要なことはありません。よくアロマテラピーは?とか資格類聞かれます。
資格は「興味がありますよー。」のレベルの話であり、業務上は不要です。
同様にソムリエ(ワインエキスパート)、コーヒー鑑定士・インストラクターなども同様です。いずれにしても、入社後に興味を持って資格取得するほうが多い傾向にあると思います。

Q3:香料会社に就職するのに優位な大学・学部はありますか?

A:文系・理系問わず採用しています。希望者の来る割合に準じて採用をしていることが多いように思われます。理系の割合が高いということはある模様です。
具体的な大学名は挙げませんが、他の業界同様で上位メーカーほど学歴がいわゆる高い旧帝大、国立大出身者が多い傾向にあります。

Q4:香りが好きなんですが、勉強するのに適した本などはありますか?

A:入門編としては、香料の化学がまとまっています。
入社後のフレーバリストが読むのはフレーバークリエーションという本が、メジャーでお勧めします。

香料の化学(KS化学専門書)/長谷川香料株式会社

フレーバー・クリエーション (KS化学専門書)

Q1で回答した各種民間資格も香りの勉強ではありますが、趣味の要素が強いので香料会社の業務上は不要です。
香料ってなんだろう。という場合にはアロマテラピー検定は悪くないかもしれません。

Q5:調香士(パフューマー・フレーバリスト)になるために必要なことは何ですか?

A:民間資格でも公的資格があるわけではありません。調香士は、各香料会社内で定められた規定をクリアした方がなるものです。規定内容は各社で異なりますが、経験年数や顧客対応での調香、社内研修の履修によって取得されるとことが多いです。こういった規定がなく、「香料開発担当者=調香士」としている企業もあるかとは思います。
調香士は、基本的に理系出身者。院卒が多い傾向はあります。学卒も一定の割合でいますので、過度に気にするレベルではないと考えています。
このように入社後に経験を積むことで、極端な言い方をすると誰でもなれる「士」ではあります。

Q6:合併や買収は今後起きると思いますか?

A:海外では香料会社の合併・買収は比較的多く行われていますが、日本市場という中では少ないと思います。
理由はいくつかありますが、1つは同族企業の多さがあります。創業家が経営にかかわっているとそのような判断はあまりとられない場合が多いです。
2つ目は買収することでのメリットが少ないということ。買収は企業の持つ技術や素材など、そこでしか手に入れられないものを獲得する手段でありますが、香料はユーザーごとに合わせた改良を行った製品ですが、100%同一のものは作れませんが、80~90%は近いものは作れます。勿論残り10%が大事という話でもありますが、香料に使われる原料も天産物ですし、ジュースなどに使われる果汁も天産物で、年ごとに出来不出来とその味が変わりますので、100%同一のものはできないのです。


Q7:今後の業界展望はどう考えていますか?

A:大きく見ると3点に焦点を当てて考えています。
グローバルで展開する企業に集中
天然資源の奪い合い
人口増に伴う香料の役割が拡大

グローバル展開:日本市場はシュリンクしていますので、海外展開が企業としては必要となってきます。規模を追わないという手もありますが、トレンドとしては海外展開ですね。そして展開する際には国と地域をどこにフォーカスするかということです。

天然資源の奪い合い:人口増による様々な原料の不足。香料原料に使われるバニラや柑橘類は増産しているものの、需要ほどの増産は進んでおりません。そうするとより高い値段を出せる企業、国が優位となってきます。それに対抗するのは、畑を持つ。ということになります。

香料の役割増大:天然資源の奪い合いは、香料原料だけでなく、食品自体も枯渇していきます。例えばプラントベース。培養肉とも呼ばれる「肉」を模した植物原料を使用した食品の増加です。このような新しい食品においては、肉の味わいを再現するために香料は必要不可欠なものとなります。

いかがでしたでしょうか。
よくある質問たちを改めてまとめてみましたが、10個質問作ろうかと思いましたが、ピンとくるものがなかったので、暫定で7個。
残り3個は今後のための余白としたいと思います。

では。

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