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いりとり

「いりとり」という煮物が好物なのです。

いろいろ入っている芋の煮っころがし、みたいなものかな。地方によって呼び方は違うのかも。私にとってはオフクロの味として、まず思い浮かぶのは、コレなのです。

嫁ぐ前は、ほとんど料理をしなかったので、母から料理をあまり習わなかった。私の料理は結婚してから、本やネットで調べて作ってきた。「いりとり」も、いくつかの似たレシピを見て作ってみたけれど、どうも、ウチの味とは違うんだよね。

実家に帰った時に母にリクエストしてみたら、味付けが思いきって濃いことがわかった。甘辛い芋と肉と白飯、、、最強ですね。最強にして最怖。

美味しいものは糖と肉と油で出来ている。

子供の頃、「いりとり」に入った里芋が大好きだった。

私の食いつきっぷりがよかったのだろう。母は、自分のお皿の里芋も、私のお皿にわけてくれた。

こんなに美味しい里芋を、どうして譲ってくれるんだろう、と子供心に思った私は

お母さんは里芋、好きじゃないの?

と聞いてみた事がある。母の返事は、そんな事もないけど、里芋、美味しいよね。みたいな感じだったかな。

今となっては、わかる。

里芋ごときで、そんなにあなたが喜んでくれるのなら、私だって娘に譲ります(笑)



このお正月は、両親と姉の家族とで、実家近くの温泉付きのシティホテルに泊まった。

チェックインして、じゃあ、大風呂に行こうか、と言うと、母は、湯冷めするから夕飯食べて寝る前に部屋のお風呂に入る、と言う。

せっかく、大風呂があるのに、気持ちいいのに、と思ったけど、大きな荷物を持って慣れない乗り換えをしてホテルまで来たら、疲れちゃったんだろう、きっと。

ゆっくり夕飯を食べて、コーヒーも飲んで落ち着いてから

明日の朝は、大風呂に行ってみる?慣れない水栓とかお風呂の段差とか、ちゃんと連れて行くから。

と言うと

そうね、せっかくだから、行ってみようかな

と。

翌朝、穏やかな朝日の光の中でつかる湯船は、とても気持ち良かった。

もう母(もうすぐ83歳)は、すっかりおばあちゃんになった。

もう全部、譲ってもらったんだなあ。

と、一緒のお風呂に入りながら思う。

こうして、少しづつ答え合わせをしながら、母の後を追いかけていくのだろう、と思う。

83才の答え合わせは、どんなくらべっこになるのかな、と楽しみにしておこう。(生きていたらねー)

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ほっこり

って何だっけ? 

と、考えはじめるとわからなくなりますが。

コチラの企画に参加しました。

みんなでほっこり。

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