迷ったらおもしろい道を選びたい

以前、Flat Share Magazineの収録後に作詞の話になったことがあった。
僕は歌詞を提供するときに、アーティストの過去のできれば全作品(ライブや楽曲)を観たり聴いたりするようにしているという話をした。
部屋のメンバーからは「そこまでする必要あるの!?」という声があがった。

書き手:中原徹也(Flat Share Magazine)

たぶん、そこまでする必要はないと思う。
商業作家(職業として曲や歌詞をアーティストに提供するひと)でも、過去の数曲を聴くひとはいると思うけれど、積極的に全作品をチェックするひとは少ないと思う。

なぜそこまでするのか。
理由はとてもシンプルで「そこまでしなくてもよさそうだから。」だ。

そこまでしなくてもよさそうなことを、やっているひとのほうがおもしろいと僕は思う。
普通の道と、おもしろそうな道があったら、できれば少々長かったとしても、おもしろそうな道を選びたくなってしまうのだ。

そもそも、作詞家になったのも社長に「作詞できる?」と聞かれて、おもしろそうだと思ってしまったからだ。
アイドル関連のプロジェクトのスタッフからは「中原さんの時間と体力が無限にあったとしたら、何します?」という誘いがあった。時間と体力は無限にないだろう。それはズルい。おもしろすぎる。
まだ原型が無かったFlat Share Magazineも「何かしらに、何かしらのかたちで」というニュアンスで最初は声をかけてもらった。ワクワクせざるを得ないではないか。

たぶん、僕がしてきたことひとつひとつは突飛でも特別な事でもなかったと思う。作詞家にとっての、ライブをひとつ観るとか、楽曲をひとつ聴くような。

どんなことでも積み重ねていくだけで「そこまでしなくてもいい」ことになる。それが僕をワクワクさせてくれる場所に連れて行ってくれたし、そこで待っていた声がまたおもしろい次の場所へと連れて行ってくれた。

秋元康さんが「迷ったら大変な道を選びなさい。」と言っていた気がする。
それを目指したいが、実践するのはかなり勇気がいるし、僕は割と臆病なタイプだと思う。

だからせめて、迷った時はおもしろそうと思える道を選び続けたいと思う。

ここから先は

0字

¥ 300

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?