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思い出は恐怖じゃない | MIYAMU

MIYAMU
SNSの総フォロワー数15万人。失恋バー【Bar citr0n】オーナー。コーチング資格を有し、恋に悩めるフォロワーたちのべ1万人以上の恋愛相談にのってきた。また香水のプロデュース業や、占い師としての顔も持ち、毎週日曜日にインスタグラムにて、占い結果を公開中。


ようこそ、MIYAMUさん。

ーお久しぶりです!最近はどうどんなことをしているの?

MIYAMU:Instagramで「失恋バー」という失恋した人たちに寄り添うコンセプトをベースに投稿したりとか、香水やステッカーの販売をやりつつって感じです。

側面としては大学の時に「株式会社ラブグラフ」を共同創業で3人で立ち上げて、立ち上げてすぐに「株式会社リクルート」ってところに新卒で入って、そこで4年弱くらい働いて辞めてまたラブグラフに戻って...

ーそっか、4年働いてたのか。

MIYAMU:今は正社員じゃなくて業務委託になって、インスタの方が調子いいから今年の1月に「株式会社GAOOO」を創業して...

ーそうなんだ!知らなかった!

MIYAMU:だから今は、肩書きとしては自分の会社の代表取締役ってことになります。

ーなるほど、久しぶりすぎて。なんとなくこれまでの話も知っときながら、全然聞いたことなかったなぁって思って。最近作ってる香水も気になってた!

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記憶を頼りに香りをつくる。

MIYAMU:香水を作り始めたのは昨年の11月からかな。失恋した方々向けにお守りとして持ってくれるグッズを制作したいなぁと思っている中で、嗅覚にリーチできるの強いじゃないですか。

ーなるほど(笑)

MIYAMU:だいたいの人に忘れられない匂いとかあるし。その中で、誰かの印象に残る匂いっていうか。あなたがつけてあなたが会う誰かに対してあなたの匂いだって認識させるための香水っていうイメージで作ってる。

ー元々香水の知識はなかったわけでしょ?

MIYAMU:うん、だから調香師さんと話して...

ー香水ってどうやって作るの?

MIYAMU:大元の匂いは、この世にあるから、花の香りや果実の香り、海の香りなどコアになる調香とそれにまつわるストーリーを文書として起こして、そこからサンプルを調香師さんに作ってもらう感じ。

ー相手の記憶に残るとか失恋した人のためって感じの匂いとかはあるの?

MIYAMU:使うシーンとか自分のファン層に手掛けたい時に、物語とかストーリー性ってやっぱり大事だから、夜中に会いに行って朝方いなくなる女の匂いとか(笑)

ー分かるような、分からないような(笑)

MIYAMU:自分が朝起きた時にはもう居ないんだけど、枕が2つあってその隣の枕についてる匂いとか。残り香を大切にする為に香水って、トップノート→ミドルノート→ラストノートって匂いが3段階で変わっていくんだけど、ラストの匂いにはやっぱり印象が強く残るようなホワイトムスクの匂いを強めに残そうとか...

ーそういう調香の仕方があるんだ。それは自分の中にあるの?
朝起きたら居なくなっちゃうっていうのはこういう感じかなぁとか。

MIYAMU:あるよ〜(笑)

ーその記憶を頼りにディレクションしてるんでしょ?

MIYAMU:フォロワーちゃんには、恋愛でいつも追っちゃう側に回る人の方が多いのね。去る潔さだったり忘れるための香りとしての印象とか、これがあることで私は強くいられるって思えるようなお守りみたいなものを作れたらねって。

ー失恋バーを始めたきっかけとか、そこにたどり着くまでを聞いてみたいんだけど。失恋バーの前に何かきっかけとかある?

みやむさん3

恋愛はしてきたけど、50戦全敗。

MIYAMU:失恋バー自体をやりたいと思ったのは6年前で。

ー結構前なんだね。

MIYAMU:ずっとTwitterで恋愛系のポエマーだったからさ。やり始めたきっかけとしてはラブグラフを創業するにあたって、幸せな人たちの写真を撮ろうと。ただ、ラブグラフが掲げた理念は、世界中の人を幸せにしようねって感じ。幸せを愛の形にしたいよねってコンセプトでやってく中で、感情をプラスマイナスに分けた時に、プラスの人にもっとプラスになってもらうのがラブグラフだと思うのね。家族がいる、恋人がいるってそこに目を向けて写真があることでもっと幸せになれるよねって。じゃあ、そのマイナスの人たちを含めないと世界中の愛を形にっていうことはできないと思って。マイナスのところを補填するというか。そこを僕が個人的にカバーしていこうと思ってやり始めた。

ーすごい!それはラブグラフとしてというよりはラブグラフを作って理念を考えた時に、個人としてはそっちも大事だなぁと。

MIYAMU:得意だったから。駒下は今ある幸せを増幅させることが得意で、僕は感傷的な文章が得意というか、そっちで。

ーじゃあ創業時から3人のうち1人としてそういう思いなんだね、すごい。それは個人としてってことだね。言葉で救いになればいいなって感じ?

MIYAMU:そうだね、失恋は頻度が高い且つ落ち込む幅が大きいっていうのの掛け算で考えると、内定が取れないとか、高校入学を失敗するとか、親を失うとか災害に遭うとかよりも、数が頻繁だし落ち込む幅も大きいしっていうのの掛け算で、広く人の心に刺さるかなと思って。

ーそれは自分がすごい失恋してきたなって経験があったの?

MIYAMU:いや、ないのよね(笑)

ーそうなんだ!

MIYAMU:それなりに恋愛はしてきたけど、50戦全敗です!だから僕は失恋のプロですってことではない。

ーでもマイナスの人たちにって考えて、それができるのってすごくない?

MIYAMU:本格的にやろうと思ったのは2年前にInstagramを始めるにあたって、コーチングっていうのを勉強し始めて、コーチングの資格を持ってるんだけど。人の気持ちをプラスに変えることはできずとも、0に近づけるとか。目標とか生活の全てを恋愛に捧げてる人って主軸が恋愛だから、そうなると喪失感が大きくて何も頑張れないってなるから、軸は自分で置くんだよって定着させるためにも。

ーそれを軸に発信してるんだ。

MIYAMU:そうだね。視点を自分に向けるような発信を心がけてる。

ーへぇ、そうなんだ!それを聞いた上でまた見てみよう。

みやむさん5

“止まない雨なら傘を持って行くよ“

ーそのマイナスの方に自分の意識が向いたのには何かきかっけがあるの?

MIYAMU:マイナスの方に自分が向いたのは、プラスすぎる言葉が厚かましく感じる時期があって、創業当時にも。

2014年くらいの学生の時期が、凄い嫌いだったの、”止まない雨は無い“とか、”明けない夜はないよ “とか。いやいや雨が降ってるのが嫌だって言うてんねん!とか、夜が嫌いだ言うてんねん!って。待てばどうにかなるよじゃ無いよっていう想いだった(笑)

ー乗り越えようぜじゃなくてね(笑)

MIYAMU:そうそう、だから今辛いねん!ってなって。

ーそれはそうだわ。

ーー確かに、今が辛い。

MIYAMU: “止まない雨なら傘を持って行くよ“ くらいの言葉が欲しいのになって思ったのにそういうのって無いなって思ったの。

ー大学はどこ?

MIYAMU:大学は神戸大学。
地元は熊本県。熊本で18年、神戸で4年、東京に来て7年かな。

ーへぇ〜!その高校時代とか大学時代の生活環境はそこに繋がっていたりするの?

MIYAMU:両親が離婚してるのね。別にそこを今でも引きずってるとかそういうのはないけれど。

ーいつ頃?

MIYAMU:いつ頃だろう、10歳くらいの時かなぁ。

ーお兄ちゃん?

MIYAMU:弟が1人。僕は高校まで父親に育ててもらって。

ー父側にいったのね。

MIYAMU:そう、別に離婚とかよくある話だしって思ったから、そこで深く傷つくとかはなかった。生まれる時からすごく刷り込まれてるのが槇原敬之の音楽と福山雅治の音楽を歌詞カードを見ながらよく聞いてたの。母親から「女の気持ちが分かる男になりなさいよ」って凄い言われてて。

ー素敵だ。

MIYAMU:そう、だから聴いててかっこいいなぁ素敵だなって思って。


“運転をしているお母さんの顔を良く見ておきなさい”

ー作詞力とかポエムとしての言葉の力はそこでだいぶついたのかな。

MIYAMU:そうだね。女性目線での共感というか。

ーーそんな教育が受けられる男の人ってなかなか居ないよ...

ーでも小一くらいの時でそんなことを言われても分からなくない?

MIYAMU:結構随所にはあったの。「ピアノが弾ける男はかっこいい」とか。

ーおぉ、弾ける?

MIYAMU:ちょっと習ってた(笑)でもなぜかっこいいんだろうっていうのは分からなかったね。ただ、20代後半になって、ピアノ弾ける男かっこいいよなってなる。

ーわかるわ...

MIYAMU:いや、ちゃんと習っておけばよかったなって思うし、母親なりのこういう男であってほしいみたいな。「ピンクが似合う男がかっこいいよ」とか。

ーーすごいこと言ってる!

ーそれを覚えているのも凄いし、凄いお母さん。知らない間にそれが徐々にDNAになっていたんだね。

MIYAMU:助席に座ってる時に「運転をしているお母さんの顔を良く見ておきなさいね」って言われて。やっぱり助席に座った女の人の横顔を見ることって人生で少ないのよ。

ー確かに。かっこいい...

ーーすごいこと言ってる...!

MIYAMU:人生で少ないし。そういう視点を与えてくれたのは凄くいい人だなぁって思う。


ーこれはメモしておきたいやつだ、教育として。かっこよすぎる...

ーーうん、お母さんかっこいい。

みやむさん6

やることをやってから

MIYAMU:凄く頭の良い人で。熊本県内で1番頭の良い高校に行ったんだけど、おかんは成績がずっと良かったから、制服を着崩してようが何しようがあまり怒られなかったらしいのね。

ー進学校あるあるだね。

MIYAMU:対して父親は厳格で凄く厳しかったのよ。ただ母親の理念的には、やることをやってから権利を主張するのは人として当たり前だから、成績をとれたら好きなことをやっていいし、自分が主張する前に自分が果たすべき責任を全部果たしたら何してもいいんだよって言われて。

ーめちゃめちゃ本質だね、凄い。何も言えない(笑)

MIYAMU:それは結構今でも生活の中でもあって。何かやってから主張するとか、自分が体験したことのないことを否定するのはやめようと思ってるから、いろんなことをやってみようって。

ーなるほどね。めちゃめちゃルーツあるじゃん。

ーーでも、私の勝手な印象だと槇原敬之とか福山雅治に育てられた言語感覚では無いと思って見ちゃうから、もうちょっと違くない?

ー確かにその2人からめちゃめちゃインスパイアされてますって言われてもそれを凄く感じる感じでも無い。

ーー彼らは多分 “止まない雨はない“ も言うし、”傘を持って行くよ” も言える人たちだと思うから、強熱なその今の表現の感覚を彼らからもらったというよりは、そこで言葉の感覚が開いたって感じなのかな?

ーそうだね。視点は母親から。

MIYAMU:人生をめちゃくちゃ大きく変えたなって思う人は、坂元裕二さんっていう脚本家の方で、最近だと「大豆田とわ子と三人の元夫」とかドラマの脚本家をやってるの。「最高の離婚」とか「カルテット」とか。高校まではブログとか流行ったのよ僕らの世代は。そこで面白い文章とか書くのにハマってて。

ーなるほどね、じゃあ言葉は結構ずっとやってるんだね。

MIYAMU:そうそう、だから趣味になってて。ただ、大学の時に「最高の離婚」をテレビで見て、強烈に残る言葉が多くて。

ーわかる、中目黒に住みたかったもん。

MIYAMU:ね、わかる。強烈に刺さる一言を研いで、そこで一発で言葉で仕留めることって素敵だなって思って。


橋は渡らないで引いて見る

ーちなみにカメラは?

MIYAMU:カメラは大学の時に始めて。

ーその感じで言葉とかマイナスな方と向き合ってる中で、カメラを始める時ってプラスの感情でも撮ってたりしてたの?

MIYAMU:最初の最初は普通のポートレート。美女です!とか。かっこいいところです!とか。

ー確かに美女系のやつ流行ってたよね。

MIYAMU:流行った。その全盛期なのよ。普通にそれをやってて、あとは趣味で橋とか撮ってた。好きな橋。大きい橋とか(笑)

ーえ?ダムとか?

MIYAMU:そう。あとは凄い交差してる高速道路とか。

ーあー!まぁそれはちょっと分かるかも。

MIYAMU:そう。ワクワクする。橋は渡らないで引いて見えるところが好き。

ー色んな面白い橋を日本中回ったりしてたの?

MIYAMU:神戸に住んでて四国が近かったから、瀬戸大橋を見に行ったりとかしてたね。写真は言葉と共に1番視覚化して表しやすい手段かなと思って始めていて。今になって思うと、写真が心底好きでってことで始めた訳ではなかったんだなって。

ーそれで出会って繋がってって。最近は撮ってる?

MIYAMU:最近は撮ってない。

ー失恋バーとか発信みたいなテンションの写真って撮ってる人が今結構いるじゃん。そういう写真とかは撮ろうと思わないの?

MIYAMU:そうだね。言葉の方が勝ってきたなって実感があるんだろうな自分の中に。表現の幅が自分の中で広げられてきているっていう。

ーなるほどね。色んな人に寄り添う感じで、色んなシーンになって書いてるじゃないですか。全部自分の経験から100%出てる訳ではないというか、源泉はどういう感じなの?

MIYAMU:源泉は、実体験が多いかな(笑)

ーははは(笑)まぁまぁね。

MIYAMU:誇れたことではないけど、ちゃんとクズ男をやってきた自負があって。通ってきた道で泣いていた女性はいるだろうし、それらしくその場のノリで落とすような言葉をかけて、それを成功例にしていた自分もいるだろうし。それを経てそっち側の気持ちもあり、あの時彼女たちは何を考えていたんだろうって思うこともあり、って感じかな。

みやむさん4

知り合いにこそ話せないから。

ー失恋バーはどんな感じでやっているの?

MIYAMU:11月に恵比寿に実店舗をオープンする。

ーえ!すご!今までは場所借りでやってたんだよね。失恋バーってお店ができるの?

MIYAMU:会員制にしようと思ってる。懸念しているのは、失恋した女の子たちがいっぱいいて、心弱ってるらしいから行こうやっていう人は避けるために会員制にする。MIYAMUさんに会いに行く場っていうんじゃなくて、あそこに行けば分かってもらえる人がいるとか、駆け込める、1人で辛い思いをしなくていいっていう場所を作りたいなって思ってる。

ー今まで過去にやっていたのはみんなで話を順番にしていくの?

MIYAMU:テーブル毎にバーテンダーに入ってもらって話を聞いて話を回してみたいな。

ーMIYAMUもそこで?

MIYAMU:そう、話を聞いてあげて。まぁ話しながら泣き出しちゃう子とかもいるね。

ー相談所ってところでは無いんでしょ?

MIYAMU:そうね。アドバイスしてあげるよとか嫌じゃん。そうではなくて、そもそもコーチングの思想があるから、寄り添って何が辛かったんだねとか聞いてあげて、どういう自分になりたいの?ってことを掘り出してあげて形にしていくっていうのができたらなって思ってる。

ー自分が結構そういう話を毎日聞いてたらそっちに引っ張られない?

MIYAMU:バーテンダーをやっているスタッフとかは「僕もかなりメンタルきちゃいました」とか言ってる。

ーまぁそれは悪いことでは無いよね。ずっと話を聞いてたら自分の気持ちも引っ張られるけど。凄いなぁ。

MIYAMU:人の悲しみに寄り添うのも大事だけど、人の悲しみになる必要はないと思うから。

ーそれを自分の意思でやってるわけでしょ?

MIYAMU:そうね。場所を作りたいっていうのは1番強いかな。

ーいいなって思う瞬間はそれである?

MIYAMU:第三者に話せることとかかな。友達だっていつでも聞いてくれる訳ではないじゃん、自分のことを知ってるからこそ。

ーわかる、知り合いにこそ話せなかったりするよね。

MIYAMU:ちょっとなよってるときに相談して、そのことが終わって2年3年経った時に、お前めっちゃあの時泣いとったなとか、言われるから。第三者だけど話に寄り添ってくれる人たちがいる場所って凄く心強いかなって。

ーそれで元気になったりしてる人たちを見るとやっぱり嬉しい?

MIYAMU:あとはやっぱりお守り的感覚で、香水もそうだし、あそこがあるから大丈夫って思える場所が一つでもあると行動の後押しになるし一歩踏み出す原動力にはなるかなって思って。

ー凄く素敵というか、救いになってるからな。卒業していくことが善なの?

MIYAMU:結構いる。MIYAMUさんの思想を経て前向きになれたのでMIYAMUさんのフォローを外します!みたいなことをDMしてくる人もいるし。

ー何回も来てくれてもいいんだけど、世間一般的にはね、失恋をもうしないで幸せになることを彼は彼女は求めてる訳だからね。こっちは寂しいけど。

MIYAMU:やっぱり何回会ってもさ、マサラタウンに帰ってきた時のBGMって落ち着くよね(笑)だから、一度僕をフォローしたことがあって外した人も、どこかでまたすれ違った時に、あー懐かしいなって思ってもらえるなら、一つのことをやり続けるよりも多角的に色々とやろうって。

ーなるほど。あの頃を思い出すみたいな、初心にかえるみたいなね。

MIYAMU:辛かった時期かもしれないけど、シオンタウンみたいな音楽かもしれないけど。

ー失恋バーに来ることはもうないかもしれないけど、もしかしたらの未来で小説とか色んな映画とか物とかで見てくれてね。

MIYAMU:見てくれたらいいなぁって。

ーなるほどね。そういう方を今後は作っていくというか。出していくと。

MIYAMU:やっぱり色んな多角的な感じで。


失恋をしなくなったら?

ーMIYAMUが仮に失恋をしなくなったらどうするの?その辺は聞かれたりはないの?MIYAMUさんはどうなんですか?って。

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