ピーターパン

 小4の1年間くらいの短い間だったけど、近所に姉妹が住んでいて、家族ぐるみのつきあいがあった。ときどきとまりにいったり、うちに泊まったり。

 上は5年生だったかな、下は同級生だった。
 上のお姉さんはイケメンだった。髪型も服も声も男の子っぽかったし、スポーツ万能で、あんまり愛想笑いみたいなことをしない、落ちついた感じのお兄さんだった。
 うちの弟は最初男の子だと本気で思ってて「小さいお兄ちゃん」と言かいってなついていた。

 僕は当時ウォークインクローゼットを改造して自分の部屋(秘密基地)にする妄想にこってて、Aちゃんはよくその話につきあってくれた。将来独り暮らしをするならとか、ここを僕の部屋にするなら、みたいな。
 一度本当に寝てみようといって本当に寝てみた記憶がある。少なくとも僕は何ら性的なものを感じてなかったから、話してて楽しくて、
 ひたすらクローゼットの改造の話をしたのかな。もう覚えてないんだよね。それで眠くなって寝ただけ。何がそんなに楽しかったのかも覚えてないけど、楽しかったことはよく覚えてるけど。
 僕は戦隊モノの基地ではなくて、現実的な家にこだわるので、なかなか理解してくれる友だちがいなかった。目的を理解して同じ目線でアイデアを出してくれる人は貴重だった。
 もちろん「お兄ちゃん」はすぐに女の人になって、僕みたいなのは相手にしなくなったけど。
 僕にとっても色気づく前の最後の女の子との交流で、印象に残ってる。

 それ以来すっかり疎遠だけど、母同士は今でも親友なので、ときどき噂が届く。「お兄ちゃん」も40歳かあ。結婚して、お子さんもいる。お母さんに似ていたがら、あんな感じかなあ?と想像しているけど、どうなったかあってみたいものだ。


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