現実は「魂を形成する谷間」
(↑ 桜の芽が少しふくらんでいます)
英国の詩人ジョン・キーツは、
「現実」は、「魂を形成する谷間」とも呼んでいたそうです。
私はこのことを、今読んでいる本
「イギリス 四季と生活の詩」(出口保夫・薬師川虹一 編著 研究社)で知り、キーツの本質を見る目、詩人としての偉大さを改めて感じました。
人間は、今、置かれている現実に対して、落ち込んだり、人のせいにしたり、抗ったりしてしまう。
しかし、その現実を受け入れて生きていくことによって、「魂」が作られるということです。
そしてその人生哲学を、キーツはシェイクスピアやワーズワースからも学び、そのことを、
「消極的受容力」Negative capability と言っていたようです。
ネガティブ・ケイパビリティ
答えの出ない事態に耐える力。
私はこの言葉を、この本で初めて知りました。
現実を受け入れるということ、ただ静かに見つめる。
そのことが、どんなに重要なことか、私は55歳で病になって初めて知ったのです。そしてそれはとても難しいことですね。
「すべては導かれている」(田坂広志 PHP)の中で、
「何が起こったか。
それが人生を分けるのではない。
起こったことを、どう解釈するか
それが 我々の人生を分ける」
と書かれています。
そして、その「解釈力」を正しく発揮させるために決して忘れてはいけないこと、それが「小さなエゴ」に左右されない心。
つまり、自分以外の何かのせいにしないということです。
そしてその「小さなエゴ」は人間である以上誰もが持っているもので、無理に消そうとすると、一時表面から姿を隠し、深層心理に入って、必ずまた姿を現す。
「小さなエゴ」に処する唯一の方法が、
それを受け入れ、ただ静かに見つめる。否定も肯定もせず ただ静かに見つめる。
こういうことを、キーツはわかっていたのです!
キーツは、「侘しい十二月」という詩の中で、
侘しい十二月、つまりこの厳しい現実から、はやく解放されたいと思うのが、われわれ人間であるが、
冬のせせらぎは、「水晶の波立ちを凍らせたまま」
「決して決して不平をこぼさないでいる」と結んでいます。
25歳の若さで結核でこの世を去ったキーツ。
地獄も天国も知っている人なのだと思いました。
そして直感的に大いなる自然からも、深いものを学びとっていた。
なんと偉大な人だったのだと、今、感動しています。
地に足のついたロマン主義 私の理想です。
読んでくださったあなたに良いことがありますように♡
ありがとうございました。
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