【印象を変える】~ショットサイズを考える~

映像表現において、ショットサイズは伝え方や演出を考える上で、重要な要素の一つです。

ショットサイズとは、カメラと被写体 (キャラクターや風景など)をどれくらいの距離で映すかを表すものですが、このショットサイズによって、視聴者が受け取る印象やメッセージが変わってきます。

例えば、「新商品のモップを使うと、快適になる」という情緒的なメリットを訴求するのであれば、全身や背景が映るロングショットより、表情の変化が見やすいクローズアップの方が、効果的です。

そうではなく、「新商品のモップを使うと、部屋が綺麗になる」という機能的なメリットを訴求するのであれば、クローズアップよりもロングショットの方が効果的となります。

このように、伝えたいメッセージによってショットサイズを使い分けることで、「視聴者に伝わる動画」を作るのに、役立てることができます。

最初はフルショット。被写体が何をしているのかがわかりやすい。
その後、顔にクローズアップすることで、表情の変化が読み取りやすくなる。
ロングショットにすることで、環境や状況が見やすくなるだけでなく、
キャラクターの体の動きも見やすくなる。

今回は、実際の画像を見て頂きながら、ショットサイズの種類とそれが与える効果について、記載していこうと思います。



ショットサイズの種類

① エクストリームロングショット

被写体から極端に引いたショットです。
キャラクターの表情はもちろん、身振り手振りも読み取ることができません。
被写体の小ささと、環境の広がりが強調されたカットになります。

※アイソメトリックなどは、まさにこのエクストリームショットによって、俯瞰的に全体の環境が見える様になった表現となります。

視聴者との距離が遠くなり、孤立感などを感じさせることにも使われたりします。

②ロングショット

被写体から引いて、全身と周囲の広い部分をフレームに収めたショットです。
被写体と周囲の位置関係を明確にできたり、周囲との関係性を明確にしやすいショットです。

このショットでは表情や身振り手振りについても多少見えはしますが、この時点では視聴者の関心ごとになることはなさそうです。視聴者もフラットな感情で被写体を観察することができます。

③フルショット

キャラクターの頭から爪先まで映すショットです。
キャラクターの服装や姿勢などを視聴者に見せ、全身を観察させることができます。
この辺りのショットサイズになると、視聴者の関心ごとは背景(環境)についてでは被写体にフォーカスされることになります。

④ミディアムショット

キャラクターの腰から頭まで収めたショットです。
キャラクターの表情や身振りを中心に背景の情報も程よく見せることができるため、ニュートラルな感情で被写体を表現することができます。

⑤ミディアムクローズアップ

肩、または胸あたりから頭のてっぺんまで映すショットです。
目の動きや口の動き、微妙な表情の変化が映し出されるため、キャラクターの感情や心情の描写に適しています。
視聴者は被写体と距離の近さから、感情的なつながりを感じやすくなります。

⑥クローズアップ

クローズアップは、顔や特定の部分を拡大して捉えたショットです。キャラクターの表情や感情を強調させることができます。
この時、背景(環境)について視聴者が注意を向けることはありません。
重要なシーンであるというメッセージを込めることもできます。

ちなみに、この辺りのサイズ感になると、これまでの様な身振り手振りが邪魔になってきます。(というか、動かしすぎると酔ってきますよね..)
身体の動き自体を見せることに効果は発揮しないため、止まっていてもいいくらいです。

⑦エクストリームクローズアップ

エクストリームクローズアップは、より細部まで拡大したショットです。
大抵は、目や口元など特定の部分にフォーカスされます。
特に緊張感やドラマティックな瞬間で使用されることが多く、強力な印象づけに適しています。

※このカットでも、下の参考のように動いていることは稀です。
身体の動きは止まり、瞬きの動きだけでメッセージを伝えることができます。


最後に

今回は、アニメーションやモーショングラフィックスにおけるショットサイズの役割をご紹介させて頂きました。

呼び方や定義、意味合いなどは、人によって様々ですが、
視聴者にどのようにメッセージを送るかを考える上では、欠かせない要素だと思いますので、コンテ制作時にも考慮するポイントかと思います。

皆さんの制作において、お役に立てれば嬉しいです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?