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🧠海老という奇病~人の残酷さを見る~


うちでは【海老】と呼ばれるある種の奇病が認知されている。

これは10年ほど前の出来事だ。
当時ワイは5人でハウスシェアしていた。
同居人の中の1人がある日の朝、まるで海老のように仰け反っていたことからこの奇病は命名された。

なぜそいつが海老に罹ってしまったのか。
理由は3つある。

1つはそもそも小デブであり始終腰に負担をかけていたこと
2つ目はパチンコ屋のドル箱の上げ下げで更に腰に負担をかけていたこと

3つ目だがこれが一番の要因だと思われる。

ある日、同居人は真夜中に自転車をかっ飛ばしていた。事件は池袋東口の五叉路で起きる。小石があるのに気付かずチャリの前輪でその小石を乗り上げてしまったのだ。

その結果チャリはバランスを崩し同居人はサドルから投げ出され、地面に打ち付けられるようにして1人五叉路の真ん中に手と足を前に投げ出し座る形になった。
しかも、それだけに留まらず水切りの石の如くケツで数歩弾け歩いたという。
更には、座っている同居人の頭上をチャリが弧を描いて吹っ飛んでいったというのだからまるで漫画のようである。

ワイはこの話をまだ海老に罹る前の元気な同居人に聞いたのだが、その時はぜってぇ嘘と言い放ち作り話も大概にしろよと叱責した。
しかし今目の前で海老で悶絶している同居人を見てあながち嘘ではなかったのかもしれないなぁと思い直した次第だ。

ただその海老姿はそれはもう滑稽で仕方がなく。呼吸すらままならない様でドラゴンボールで悟空がめちゃめちゃにダメージを食らった時のように「カハッ ア゙ッ ア゙ッ」などと言っているのだから拍車をかけて面白い。
当時の自分は今より更に人でなしだったこともあり助けるとか可哀想なんていう心は毛頭持ち合わせておらず悶絶する海老姿の同居人を指さし抱腹絶倒した。

さて、そこから10年の月日が経ち海老に冒された同居人とは今なおハウスシェアしているわけだが、昨日の投稿にもあったようにワイは今現在腰を痛めている。
そしてその悪化を願いワイに海老を仄めかす悪鬼と化した同居人が舌なめずりをしてこちらを窺い悪魔の言葉を囁くのだ。

誠に鬱陶しい。


めでたしめでたし。

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